読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:術後脾静脈瘤/痰かX線か/出血性梗塞の降圧目標

カンファ 外科 放射線 感染症 呼吸器 神経 循環器

今週のカンファまとめますね。
知らない概念を知るのは楽しいですね。
日々学びを続けております。 

術後脾静脈瘤 post-operative splenic vein aneurysm

 脾臓に静脈瘤が出来るんだなあと改めて勉強です。かなり稀と言われていましたが、昨今画像診断の進歩とともに、無症候例も見つかるようになってきて頻度も増えてきている模様です。脾静脈瘤も含めた門脈系の静脈瘤の事をportal system anurysm(PSA)と呼ぶこともある模様で、破裂や血栓形成などの合併症をきたすことが知られています。

http://www.academyih.org/journals/editor/uploads/images/image011%283%29.jpg

http://www.academyih.org/journals/editor/uploads/images/image011(3).jpgより引用)
 発症機序が分からないことも多いですが、先天性と後天性に分かれており、先天性では原発性・先天的な門脈壁低形成や門脈閉鎖に伴う異常血行動態、後天性では、門脈圧亢進・手術や外傷に伴う門脈壁の物理的損傷・門脈壁の硬化や線維化などが報告されています。

 ✓ 外科的手術後に脾静脈瘤を来すことがある

 

痰かX線か Sputum or X ray?

 肺炎治療のジレンマがあります。そもそも、こんなに肺炎に抗菌薬を出すか否かでごちゃごちゃ言うところは多くないかもしれませんが・・・例えば、肺炎の診断における胸部X線。もちろんgold standardだという方もいると思いますが、CTをgold standardとする流れもある模様です。一方で、肺炎球菌性肺炎の診断は培養法であり、培養で陽性だった時に初めてその菌の肺炎と診断できます。

 ところが、このcommonな病態において、胸部X線は病初期や脱水を合併した場合には浸潤影を同定できないということを経験します。「翌日撮像すれば明らか」とか「X線では分からなかったがCTでは明白」ということもあります。培養検査もそもそも良好な喀痰Geckler 4-5程度でないと判断できませんし、最も多いとされている肺炎球菌に至っては、培養では生えにくいという限界も抱えています。

 胸部X線では写っていないけど、喀痰には肺炎球菌がhomogenousに存在します!と言った場合には、所見の信頼度は痰>X線になるでしょうし、X線では浸潤影で痰はGeckler 2の不良喀痰ですとなったら、X線>痰を信頼することになります。

 そして何より重要なのはClinical judgeです。「この方の臨床所見は肺炎である」と判断した上で、胸部X線や喀痰検査を利用するだけで、所見の解釈の仕方が全く変わってきます。この辺りをいかに教育していくかが重要になりますし、Clinical judgeの摺合せ作業は結構重要だったりします。

 ✓ X線も痰も限界がある。最も重要なのはClinical judge!

 

 

出血性梗塞の降圧目標  Target BP for hemorrhagic infarct

 出血性梗塞は虚血性脳卒中患者の1/3に発症すると言われ、比較的よく遭遇する病態と思われます。特に心原性塞栓に合併することが多いと言われており、抗凝固療法などの導入が惹起することも多いです。そもそもCT撮像タイミングによっては、出血性梗塞と脳出血を鑑別することは結構難しいことも多いです。診断を間違えると、その後の急性期治療や慢性期の再発予防策も異なります。

f:id:tyabu7973:20160427213922j:plain(Radiology Research and Practice Volume 2012, Article ID 475497, 11 pages


 ただ、一方で、出血性梗塞が症候性になることは非常に少なく、0.6-3%程度と言われており、ほとんどが無症状の出血と言うことになります。

 現時点で出血性梗塞の患者の降圧目標を脳出血に準ずるべきか脳梗塞に準ずるべきかの結論は出ていません。ただ、いくつかの報告で脳梗塞に準じた管理を行うことが推奨されていることを読みました。
http://www.medmerits.com/index.php/article/hemorrhagic_transformation_of_ischemic_stroke/P11
 過度な高血圧は避けるべきであり、必要に応じて降圧を考慮するというところでしょうか。t-PA症例での報告になりますが、出血性梗塞発症と関連する因子として、NIHSS髙値・再潅流までの時間が長い・血小板低値・血糖高値が報告されています。

 ✓ 出血性梗塞は身近な病態であり、原則は脳梗塞に準じた対応を。