栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:Retrocohort 果物摂取頻度と心血管イベントの関係

果物摂取頻度と心血管イベントの関係
Fresh fruit consumption and major cardiovascular disease in China*1

N Engl J Med 374;14 nejm.org April 7, 2016

【背景】
 西洋諸国では果物摂取量が多い方が心血管疾患が少ないことが分かっているが、果物摂取量が少なく、脳卒中発症率が高い中国のようなアジア諸国ではその関係は明らかになっていない。
【方法】
 2004-2008年の間で、中国の10地域(5地域都会、5地域地方)から、30-79歳までの51万2891人が組み入れられた。もともと心血管疾患の既往がなく降圧治療も受けていない320万人年の追跡調査で、心血管疾患死亡が5173人、新規発症の主要冠動脈疾患(致死的・非致死的)が2551人、脳梗塞が14579人、脳出血が3523人発症した。Cox回帰を用いて、新鮮な果物摂取を疾患の発症率と比較して調整ハザード比を算出した。
【結果】
 全体で18%の患者が毎日新鮮な果物摂取をしていた。全く摂取しないまたはほとんど摂取していない群(非摂取群)と比較し、毎日摂取している群は収縮期血圧が低く(4mmHg)、血糖値が低かった(9.0mg/dL)。非摂取群に対する主要心血管イベント(MACE)は調整HR 0.66(0.58-0.75)、脳梗塞は調整HR 0.75(0.72-0.79)、脳出血は調整HR 0.64(0.56-0.74)だった。

f:id:tyabu7973:20160424150851j:plain

(本文より引用)
 それぞれの臨床アウトカムと果物摂取量の間には強い線形用量反応関係が認められた。同様の傾向は、10地域全体でもベースライン特性によって分類したサブグループでも見られた。
【結論】
 中国の成人では、新鮮な果物摂取量が多いほど、血圧と血糖値が低く、血圧・血糖値・その他の食事やそれ以外の因子とは独立して主要心血管疾患のリスクを有意に低下させた。

【批判的吟味】
・まず論文のPECOは、
P:中国10箇所の心血管疾患の既往がなく降圧治療も受けていない35-79歳
E/C:果物摂取量の違い
O:心血管死亡など
T:後ろ向き観察研究
・全体で180万人に調査依頼し、実際返答があったのが51万人。その場合には調査員が調査に行き聞き取り調査を行う。
・過去の研究と異なるのは果物を加工品ではなく生のものを摂取していること。
・交絡因子は非常に多く、毎日果物を食べている人の特徴は、①若い、②都会居住、③高学歴、④高収入、⑤アルコール摂取しない、⑥喫煙しない
・興味深かったのは果物摂取群の方がBMIが高かったこと。まあ上記の交絡を見ればそうなのでしょうが、体重を跳ね返すくらいのパワーがあるのか、話題のobesity paradoxなのかは分かりませんでした。

【個人的な意見】
 基本単純なので、もう少し生の果物食べなきゃなあと自身を省みることとなりました(笑)。それにしても中国すごいですね。観察研究でもこの規模で証明されると説得力がありますが、これだけの規模の研究となると国策とまではいかなくても行政部門の協力が不可欠でしょうね・・・ため息が出ます。

✓ アジア人においても果物摂取量が増えることは主要心血管イベントを有意に減らす