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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

デスカンファ:死に目に会うこと

デスカンファ 緩和 家庭医療 在宅

デスカンファも定期開催しています。 
今回はグループホームでの看取り症例を、施設職員と診療所職員と振り返りました。この会もだいぶ定着してきました。

(※一部プライバシーの観点から内容を変更しています。)
 90代女性。10年来のAlzheimer型認知症の患者さんでした。施設入所から5年。訪問診療開始から1年半で施設で最期を迎えています。

 もともとは早くに夫と死別し、その後も長男家族と同居しつつも75歳までは仕事を継続していたというから驚きです。元気なおばあちゃんという印象で、食べることが楽しみで、神社に向かって毎朝手を合わせるなどの一面もあった様です。
 
 今回大変だったのは周辺症状でした
。徘徊や大声が多くあり、施設管理には様々な困難を伴いました。本人のQOLを損なわないようにしながら、施設で生活を継続していけるように、診療所医師と施設職員で協力しながら、時には薬剤を使用しつつ、工夫を重ねました。「食べる」ことが本人にとって幸せで、笑顔が見られると施設の職員も幸せだったと言います。結果として、あれだけのBPSDがありながら、寝たきりにはならず、亡くなる1週間前まで歩行が出来ていました。

 逆に比較的急な経過での看取りになったので、ご家族が最期の瞬間には間に合いませんでしたが、長年の経過で施設職員と家族との間に信頼関係が出来ていたことで、「死に目に会う」ことだけを重視しすぎない合意が出来ていたのだと思います。

  時々話題になる「死に目に会う」ことについて改めてみんなで考えました。もちろん、息を引き取る瞬間に居合わせたいという思いはあるかもしれません。でも、そこを最大の目標にしてしまうと、一瞬も目を離せなくなってしまいます。トイレに行っている間に・・・ちょっとウトウトとしている間に・・・少し買い物に出ていたら・・・

 キリがないですよね。そこにこだわるのではなく、看取るプロセスに一緒に関われたことを良かったと思える様にサポートしてあげるのが大事かもしれません。最期の瞬間に立ち会えたら、それはオマケがついてきたくらいの気持ちで。
 それでも文句を言ってくるご家族・親族は一定頻度いらっしゃるとは思います。「どうしてもっと早く呼んでくれなかったんですか?」なんて詰め寄られることも。そんな時は、「この人にとって、こうやって怒りをぶつけることが死を受け入れるために重要なプロセスなんだ」と考えるようにしましょうっていう話題が出て、素晴らしいなあと感じました。今回も多くの学びをありがとうございました。 

家族と迎える「平穏死」--「看取り」で迷ったとき、大切にしたい6つのこと

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