栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:左側門脈圧亢進症/主訴以外に興味ない!?/鼠径周辺部痛症候群

今週のカンファは自分は十分参加出来ず申し訳ない感じ。
以前のまとめていない内容もあわせてシェアを。 

左側門脈圧亢進症 psinstral portal hypertension

 左側門脈圧亢進症は、肝外門脈圧亢進症の一病態で非常に稀な病態です。主に先週とりあげた脾静脈閉塞に起因することが多いのだそうで、肝外門脈圧亢進症の5%程度でみられるのだそうです。

 膵炎や膵腫瘍などの膵疾患が原因で起こったり、手術によって起こることがあり、これらの疾患によって非常脈圧亢進状態→静脈瘤・破裂・出血などで発見されます。静脈瘤は食道ではなく胃に出来ることが多く、脾静脈血流が短胃静脈や左胃大網静脈を介して流入します。

 これらの病態は肝硬変がなくても起きることがポイントであり、肝硬変がないのに静脈瘤が存在する場合には、門脈圧亢進症の一つとして頭に置いておく必要がありそうです。治療法としては脾臓摘出によって圧を逃がすことが最も有用な模様です。

 ✓ 脾静脈圧亢進に伴う左側門脈圧亢進症という病態がある

 

主訴以外に興味ない!? Not interested in outside chief complaint?

 この思考停止は結構尾を引くものです。もちろん主訴にきちんと対応できてなんぼなのですが、実は主訴の原因となった疾患の診断が終わると急速に興味が無くなっていってしまうことって良くありませんか?でも、実はその背景に超重要な疾患が隠れていたりして、主訴の病気なんかよりよほどそっちが大事だったり、全体像の中の一部でしか無かったりする・・・そんな経験ないでしょうか?

 すごく分かりやすい単純な例で言えば、肺炎を治療したけど、実は肺癌による閉塞性肺炎でしたとかね。低ナトリウムの人が入院してきて原因考えてないとか。もちろん、そんなに単純じゃなかったり、すごくさりげなかったりしますが(笑)。


 私自身もまだまだこの思考停止とは戦っています。色々な臨床医を見てきて、ここの部分の抽出が上手な人と下手な人がいると思ってます。見つけ方が上手な人は、主訴だけでなく患者さんの全体像に違和感を持ってるんです。誤嚥性肺炎で入院して原因Alzheimerって言ってるけど経過おかしくない?って言ってCreutzfeldt Jakobを見つけたりするわけですわ。ここは意識の変革、思考停止の回避が不可欠です。日々是訓練也。

 ✓ 主訴だけでなく患者さんの全体像や経過に興味を持とう

 

 

鼠径周辺部痛症候群 Groin pain syndrome  

 意外と科内の有病率が高いことが分かった(笑)。まあ、あくまで症候群なので、この中に多くの疾患が包括されている概念です。

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http://www.dellon.com/publications/ipnsbrochure43_Groin.pdfより引用)
 894人の若年成人運動選手(サッカー・ラグビー等)のレビューでは、慢性的な鼡径部痛の患者では、実に24種類の疾患病態が関与していたというから、実にheterogenousな症候群であるかが分かると思います。もちろん外傷が最も多く56%くらいは外傷なんだそうですが、股関節インピンジメント症候群(femoroacetabular impingement:FAI)などの関与も男性では多い様です。

 ✓ 鼠径周辺部疼痛症候群(Groin pain syndrome)の原因は多彩