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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics 40歳以上の平均的なリスクの女性に対する乳癌スクリーニング

ACPJC 論文 検診 外科

ACPJCです。
ここら辺は今だいぶデリケートな部分ではありますが・・・。
害の部分だけ切り抜いて検証するstudyがこんなにあるとは驚きです。

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Harms of breast cancer screening: systematic review to update the 2009 U.S. Preventive Services Task Force recommendation.

Nelson HD, Pappas M, Cantor A, et al.
Ann Intern Med. 2016;164: 256-67.


臨床上の疑問:
 40歳以上の平均的な乳癌リスクの女性では、乳癌スクリーニングの害は何か
?年齢によって害が異なるか?

方法:
①Review範囲:マンモグラフィーMRI・乳腺超音波検査
の害について評価した40歳以上の平均的な乳癌リスクの女性の研究を組み入れた。アウトカムは、偽陽性・再検査率・過剰診断(上皮内乳管癌等)・精神反応・疼痛・放射線被曝などと設定された。

②Review方法:MEDLINE、Cochrane Central Register of Controlled Trials,Cochrane Databases of Systematic Reviews(2014年12月まで)とリファレンスリストで、言語英語のランダム化比較試験・観察研究・システマティックレビューが評価された。専門家にもコンサルトし、2009年のUSPSTFの推奨も組み入れられた。より米国の診療内容に近い研究が多く評価され、59研究、10のシステマティックレビューが組み入れ基準を満たした

結果:
 研究は方法や所見に関して非常にheterogenousなものた。メインの結果は以下。

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偽陽性毎年検査すると偽陽性は61%で起こり、2年に一回だと42%に起こる。偽陽性の中で生検しなくてはいけない患者が、1年ごとで7-9%、2年毎で5-6%とされている。
再検査率:乳癌触診の方がマンモグラフィー単独よりも再検査率は高い(8.7% vs 6.5%)
過剰診断:40-49歳代は50-59歳よりも過剰診断が多い(23% vs 16%)
精神反応:乳癌への心配が多く、日常生活への影響や気分障害、精神機能障害が多く出ていた。抑鬱症状は多いが診断基準は満たさなかった。
疼痛:検査関連の疼痛はスクリーニング群で多い
放射線被曝スクリーニングによる放射線被ばくは3.7-4.7mGyで臨床的には特に問題の無い量だった。
(本文より引用)

結論:
 40歳以上の平均的な乳癌リスクの女性では、乳癌スクリーニングによって偽陽性・再検査率・過剰診断(上皮内乳管癌等)・精神反応・疼痛・放射線被曝などが引き起こされる

 害だけ取り上げればもちろんこうなりますよね。あとはリスク・ベネフィットと患者さんの価値観とで相談ということになりますね。スクリーニングは患者のPreferenceの部分への配慮がどうしても少なくなりますよね。難しいところです。
 なんか最期は言いがかり的な部分もありますし、難しいですね。