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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics 血管リスクの高い高齢者ではスタチンは、4.5〜5年間の認知症や認知機能低下を予防できない

ACPJCそろそろ4月分終わり。
そろそろ5月分が公開されるので楽しみです。

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Statins for the prevention of dementia. 

McGuinness B, Craig D, Bullock R, Passmore P.
Cochrane Database Syst Rev. 2016;1: CD003160.


臨床上の疑問:
 年齢や血管イベントなどで認知症リスクのある患者では、スタチンが認知症を予防できるか
?害は無いのか?

方法:
①Review範囲:スタチンとプラセボを12か月以上認知症リスクの高い方(平均年齢≧65歳、脳血管リスク高い)に投与した研究を組み入れた
アウトカムは認知症、認知期の変化、薬剤副作用とした。

②Review方法:ALOIS(Cochrane dementia and cognitive improvement Group specialized register)、MEDLINE、EMBASE/Excerpta Medica、CENTRAL、PsychoINFO、CINAHL、LILACS、Web of science、ClinicalTrials.gov、WHOのInternational Clinical Trials Registry Platformで2015年11月までの研究を評価し、二重盲検のランダム化比較試験が検索された。
 2つのRCTが組み入れ基準を満たし、1つは英国のRCT(患者数20536人、年齢40-80歳、28%が70歳以上、フォローアップは5年)で、シンバスタチン 40mg/日を評価した。認知症患者や長期コンプライアンスに影響しそうな病態の方は除外。
 もう1つのRCT(患者数 5804人、年齢70-82歳、平均年齢 75歳、フォローアップ3.2年)はスコットランドアイルランド・オランダで行われ、プラバスタチン 40mg/日で血管リスクが高い患者で行われた。MMSE<24の認知機能低下した患者は除外された。
 どちらの研究も割り付けは隠蔽化され、適切なデータフォローアップが有り、患者・医師・アウトカム評価者ともに盲検化されていた。

結果:
 スタチンは5年後の認知症および認知機能低下を減らさず、3.5年時点での認知機能試験の結果を改善しなかった。
 スタチンとプラセボは副作用による中止率は両群変わりが無かった。

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(本文より引用)

結論:
 高齢で血管イベントなどの認知症リスクが高い患者では、スタチンは認知症を予防できず、プラセボと比較しても認知機能を改善しなかった。

 高齢社会において、認知症発症や認知機能低下の幅を出来る限り少なくすることが重要です。年齢とともにAlzheimer型認知症も脳血管性認知症もどちらも増える傾向にあります。
 スタチンのみでは効果無く、重要なのは多角的介入では?とのことで最近フィンランドでFINGER trialというのが行われ、これによると食事・運動・認知機能トレーニング・血管リスクのモニタリングが重要とされていました。