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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:RCT 希釈リンゴジュースと電解質調整経口補液の軽度の胃腸炎小児に対する効果

JAMA 論文 栄養 小児 救急

希釈リンゴジュースと電解質調整経口補液の軽度の胃腸炎小児に対する効果
Effect of dilute apple juice and prefered fluids vs electrolyte maintenance solution on treatment failure among children with mild gastroenteritis*1

JAMA. doi:10.1001/jama.2016.5352.Published online April 30, 2016.

【背景】
 胃腸炎は小児のコモンディジーズである。電解質調整補水液は脱水の治療と予防に推奨されている。軽症脱水小児での効果はよく分かっていない。
【目的】
 小児の軽症胃腸炎に対して、希釈リンゴジュース+好みの水分による経口補水が電解質調整補水液と比較して非劣性かどうかを評価する。
【デザイン、セッティング、患者】
 ランダム化比較試験で、単盲検・非劣性試験がカナダオンタリオトロントの小児の3次救急外来で2010年から2015年までに行われた。組み入れ患者は6-60か月(5歳)までの軽度の脱水を伴う胃腸炎患者。
【介入】
 患児は色調を合わせた半希釈のリンゴジュース+好みの水分群(n=323人)とリンゴ風味の電解質調整補水液(n=324人)に割り付けられた。経口補水治療は施設のプロトコールで行われた。退院後、半希釈のリンゴジュース+好みの水分群は飲みたいときに水分摂取し、電解質調整補水液群は電解質調整補水液で行われた。
【メインアウトカム】
 プライマリアウトカムは、7日以内の治療失敗の複合アウトカムで、点滴による脱水補正・入院・予定外受診・症状遷延・クロスオーバー・3%以上の体重減少・重症脱水の複合とした。
 セカンダリアウトカムは、点滴による脱水補正・入院・下痢や嘔吐回数が含まれた。非劣性マージンは7.5%と設定し、片側検定でα=0.25。
【結果】
 647人の小児(平均28.3か月、331男児、441女児、脱水徴候なし)が割り付けられ、644人(99.5%)がフォローアップされた。半希釈のリンゴジュース+好みの水分群の方が電解質調整補水群と比較して治療失敗が有意に少なかった(16.7% vs 25.0%、-8.3%:-∞ to -2.0%、非劣性かつ優越性あり)。半希釈のリンゴジュース+好みの水分群が有意に点滴による脱水補正を受ける群が少なかった(2.5% vs 9.0%, -6.5%:-11.6% to -1.8%)。入院率や下痢や嘔吐頻度は両群で差を認めなかった。

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(本文より引用)
【結論】
 軽症胃腸炎の軽度脱水患者では、半希釈のリンゴジュース+好みの水分を投与することは、電解質調整補水と比較して、治療失敗が少ないことが明らかになった。多くの先進国小児の胃腸炎の脱水補正に対して。半希釈のリンゴジュース+好みの水分を投与することは、代替方法になり得る。

【批判的吟味】
・まずはいつも通り論文のPICOから
P:小児の軽症胃腸炎患者(程度はClinical dehydration scaleで算出)
I:半希釈のリンゴジュース+好みの水分を摂取
C:電解質調整補水を摂取
O:治療失敗の複合アウトカム(点滴による脱水補正・入院・予定外受診・症状遷延・クロスオーバー・3%以上の体重減少・重症脱水)
T:ランダム化比較試験/非劣性試験
・平均28.3か月、体重平均14.9kg、94%が嘔吐している。24時間以内に平均5回嘔吐、下痢回数は3回
・先進国のデータなので発展途上国などで使用して良いかはわかりません。
・単一施設の検証であり、多施設での検討が期待されます。
・盲検が不十分で味の調整などは出来ていない。
【個人的な意見】
 正直電解質調整補水って結構好みが分かれますよね。病気になって急に飲めと言われても「リンゴジュースがいい〜」となっていることは結構あります。これ、オレンジジュースじゃないところもポイントなんでしょうね(笑)。
 何にせよ、世のお父さんお母さんに朗報ということで。こうゆうのはいいですね。

✓ 小児の胃腸炎の脱水補正には半希釈のリンゴジュース+好みの水分が電解質調整補水に比べて治療失敗が少ない