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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:喘鳴がでない喘息/皮質症状まとめ/自己免疫性副腎不全

今週のカンファまとめておきます。
なかなか盛りだくさんでした。結構興味深いディスカッションも多かった気がします。

喘鳴がでない喘息 Silent chest

 このエントリー以前も書いた気がするのですが再掲。
 喘息がハイリスクかを判定する場合のkeyにはいくつかあると言われています。一つは既往的な部分、もう一つは臨床症状の部分です。ただ、このあたりは教科書的な話にとどまっており、エビデンスによる裏付けはほとんどありません。以下にまとめておきます。

既往特徴:
・過去に相関したりCO2貯留を来したりする重度の発作
・頻回の救急外来受診
・1年以内の入院
・最近のステロイド使用
ステロイド使用中の悪化
臨床症状特徴:
・心拍>130bpm
・奇異呼吸
・silent chest
・混乱・倦怠感
・会話できない
・徐脈

 今回もsilent chestが話題になりましたが、正直なところsilent chestになっているような方ってその割に苦しがっているのでわからないということはないのかなとも思います。
  NIHが提唱している重症発作の定義では、
①症状が一日中持続、②夜間眠れない状態が毎日、③SABA使用が1日に何度も、④日常生活に支障が強く出ており、⑤1FEV1.0%<60%
が言われています。

 ✓ 重症喘息発作の徴候としてsilent chestに注意

 

皮質症状まとめ Symptoms of cerebral cortex

 脳卒中診療に携わる場合に皮質症状を丁寧に取る必要があります。small vesselとlarge arteryを区別する上で重要ですし、何より病変部位が皮質を巻き込んでいるかの評価につながります。
 ただ、この皮質症状というやつが非常に悩ましく、幅広いです。多くの臨床医にとって苦手分野なのではないでしょうか?例えば有名なのは、左優位半球の角回が障害されると出現するGerstmann症候群では、手指失認・左右失認・失算・失書が出ます。

 色々あるのですが、今回はちょっと失行についてまとめてみようと思います。
①肢節運動失行
 概要:対側上肢に現れる運動稚拙。細かい手指の動き。
 部位:左右中心溝周辺
 方法:硬貨をつまむ、ボタンをかける
②観念運動失行
 概要:目的に沿った行為ができない。
 部位:左頭頂葉
 方法:敬礼をしてもらう、物を使う真似をしてもらう
③観念失行
 概要:個々の運動は可能だが、複雑な一連の動作を統合して物品を使用したりが困難。Alzheimer型認知症でも同様の症状が出る
 部位:左頭頂後頭葉
 方法:物品の名前は言えるが使えない。
④着衣失行
 概要:空間認知が困難となり衣服を着ることができない
 部位:右頭頂葉
 方法:服を着てもらう
⑤構成失行
 概要:空間認知が困難となり、立体構成が出来なくなる
 部位:右頭頂葉
 方法:形を作ることができない。四角形描画

そう考えてみると、NIHSSにもMMSEにもきちんと皮質症状を含めた高次脳機能障害が含まれているんですよね。勉強になりました。

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 ✓ 失行などの高次脳機能障害を適切に評価できるようにしよう

 

 

自己免疫性副腎不全 Autoimmune adrenalitis  

 原発性副腎不全の最も多い原因が上記の自己免疫性副腎不全と言われています。これらは自己抗体の存在を証明するのが重要で、現在ではp450c21抗体やp450scc抗体、p450c17抗体などの存在が言われています。
 
 自己抗体の存在は他の自己免疫性疾患を合併することが言われており、抗体保有率として、甲状腺の自己抗体が50%、副甲状腺が26%、膵島が8%、卵巣が22%、精巣が5%などと言われています。

 特にこの中では甲状腺機能低下症がもっとも合併頻度が高いことが知られ、補充の順番に注意が必要になることもあり、頭に置いておく必要があります。

 ✓ 自己免疫性副腎不全は甲状腺機能低下症の合併が多い