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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:一発診断/頭蓋内動脈硬化/原発不明癌/ランバートイートン症候群

MKSAP

MKSAPまとめます。

今週は全問正解でした!祝! 

 

一発診断
Snap shot diagnosis

❶症例 

 75歳男性。7ヶ月前から顔面に無症状の滑らかな丘疹。丘疹は徐々に大きくなっており、時に外傷性に出血する。
Figure 19.
(MKSAPより)

 本患者の診断は?
A.  日光角化症
B.  基底細胞癌 
C.  粉瘤
D.  メラノーマ

E.  扁平上皮癌


 ❷基底細胞癌
  診断は基底細胞癌である。基底細胞癌は最もcommonな皮膚悪性腫瘍であり、高齢者の頭頚部に好発する。日光が主なリスク因子であり、古典的な結節型の基底細胞癌は、滑らかで透光性があり(真珠のような)、無症状、血管拡張性の丘疹である。腫瘍はゆっくり成長し、取り除かなければ最終的に局所の組織破壊を起こす。転移はめったに起こさない。

❸その他の選択肢
日光角化症鱗状の紅斑であり、日光でダメージを受けた皮膚に複数出現する。前癌病変であり、扁平上皮癌へと発展する。基底細胞癌と比べ、日光角化症は平坦で角化を伴う。実際、見るより、手で触れる方がむしろ見つけやすい。
粉瘤:良性の硬い皮下結節で、典型例では中心に陥凹を伴う。粉瘤は大量の角化物質を含んでおり、排出物はしばしば悪臭を伴う。 
メラノーマ:真皮の色素産生細胞の悪性腫瘍である。一般的に黒く着色され、いわゆるABCDEの特徴を伴っている。Aは非対称性、Bは境界不明瞭、Cは色調の多様性、Dは径6mm以上、Eは隆起/増大である。

扁平上皮癌:鱗状でもっと成長が早く、時に圧痛を伴う。基底細胞癌のような透光性はなく、血管拡張もない。日光によりダメージを受けた皮膚に発生し、時に基底細胞癌を合併する。免疫不全者に起こることもあり、基底細胞癌より活動性が高く、転移を起こしやすい。

Key Point
✓ 基底細胞癌は、滑らかで透光性があり、無症状、血管拡張性の丘疹

Ridky TW. Nonmelanoma skin cancer. J Am Acad Dermatol. 2007;57(3):484-501. PMID: 17512631

 

  

頭蓋内動脈硬化のマネージメント
Manage intracranial atherosclerosis

❶症例

 65歳女性。最近の脳梗塞の既往がある。4ヶ月前に脳梗塞を発症し、脳底動脈に90%の狭窄、左の視野欠損が残った。高血圧、2型糖尿病脂質異常症の既往があり、40-pack-yearの喫煙歴がある。内服薬はクロルチアジド、グリブリド、クロピドグレル、アトルバスタチン。
 
血圧は150/92、脈拍は62で立位・座位ともに変化なく、呼吸数16。頚動脈のbruit認めず。神経学的には左の視野欠損のみ。
 
HbA1c 6.8%  Cre 1.1 mg/dl  LDL 68mg/dl
 
心電図上、PVC散見されるが、心房細動はない。

 禁煙指導の上、治療介入するとすればどれか?
A. 
 エゼチミブ
B.  頭蓋内ステント
C.  リシノプリル
D.  ワルファリン


 ❷頭蓋内動脈硬化のマネージメント 

 血圧を下げるためリシノプリルを飲むべきである。この患者は脳底動脈の動脈硬化に起因する脳梗塞を発症しており、再発のリスクが高い。140/80以上の血圧と70%以上の血管狭窄脳梗塞再発の高リスクである。慢性期における脳梗塞患者の血圧維持は予防のエビデンスに乏しい。また、リシノプリルは糖尿病性神経症を阻止したり、進行を遅らせる効果も期待できる。

❸その他の選択肢
エゼチミブ:スタチンと併用することで動脈硬化を減少させる利点があるが、この患者はすでに至適LDLである。
頭蓋内ステント:脳梗塞再発の予防については現時点で実験的段階である。さらにこの患者は血圧を130/80以下に下げたり、血糖をコントロールしたり、禁煙したりする余地がある。
ワルファリン:臨床研究では、ワルファリンは心房細動のある場合に限り、抗血小板薬より優れている。症状のある頭蓋内動脈狭窄に対するワルファリンとアスピリンの比較試験が実施されたが、ワルファリンの致死率が高かったため中断された。

Key Point
✓ 140/80以上の血圧は脳梗塞再発のリスクになるので治療すべきである

Turan TN, Cotsonis G, Lynn MJ, Chaturvedi S, Chimowitz M; Warfarin-Aspirin Symptomatic Intracranial Disease (WASID) Trial Investigators. Relationship between blood pressure and stroke recurrence in patients with intracranial arterial stenosis. Circulation. 2007;115(23):2969-2975. PMID: 17515467

 

 

原発不明癌の管理
Manage malignancy of unknown origin

❶症例
 31歳の男性が、1,2週間前からの倦怠感と食思不振と腹痛で受診。夜間盗汗と悪寒戦慄のない発熱もある。既往歴、家族歴と薬剤歴に特記事項はない。

体温37.9℃、血圧110/70mmHg、脈拍92/min、呼吸数18/min、BMI:19。腸蠕動音は正常で腹部は膨隆。精巣に腫瘤や圧痛なく、直腸診や弁潜血反応も陰性。

血液検査では、UN30mg/dL (10.7mmol/L) でCrが1.3mg/dL (115µmol/L). 血算、T−Bil、ALPは正常。

胸腹骨盤造影CTでは縦隔と後腹膜のリンパ節腫脹が目立ち、径7cmの腫瘤を伴う。後腹膜リンパ節の生検では、未分化癌と診断された。

 次のうち最も適切な長期治療薬はどれか?
A.  ベバシズマブ
B.  シスプラチンベースの化学療法
C.  後腹膜と縦隔リンパ節切除
D.  後腹膜と縦隔に対する放射線療法

 原発不明癌の管理
 縦隔でほぼ対称性原発不明癌患者には、シスプラチンベースの治療が効果的である。縦隔や腹膜後腔に腫瘍があれば、性腺外胚細胞腫瘍の可能性がある。ヒト絨毛性ゴナドトロピンとαフェトプロテイン値を測定し、精巣腫瘍があるものとし、化学療法や外科切除、残存腫瘍の放射線療法で治療しなければならない。

❸その他の選択肢
ベバシズマブ:抗血管内皮成長因子である。いくつかの固形腫瘍に対する活性を持つが、原発不明癌に対しては持たない。
切除・放射線
この患者の腫瘍は切除や放射線による治療では治療できないほど広がっている。

Key Point
✓ 若年男性の原発不明癌で縦隔や腹膜後に位置するものは、性腺外胚細胞腫瘍の可能性がある

Hainsworth JD, Fizazi K. Treatment for patients with unknown primary cancer and favorable prognostic factors. Semin Oncol. 2009;36(1):44-51. PMID: 19179187

 

 

ランバートイートン症候群の診断
Diagnose Lambert-Eaton Syndrome

❶症例
 67歳の男性で、2日前からの咳嗽と呼吸が短くなるとのことで受診。既往歴として、COPDがあり、1年で120箱の過去の喫煙歴がある。フルチコゾンとチオトピウムとアルブテロールを使用中。

 体温37.5℃、血圧145/90mmHg、脈拍100/分、呼吸数22/分。両肺底部でラ音を聴取し、心音は異常なし。末梢の筋力低下と四肢の深部腱反射消失を認めたが、腱反射は四肢の等尺運動後は元に戻った。

 胸部CTは以下に示す。

Figure 92.

(MKSAPより)

 

 診断は?
A.  カルチノイド腫瘍
B.  線維形成性縦隔炎
C.  小細胞癌
D.  甲状腺

❷ランバートイートン症候群の診断
 過去の喫煙歴を伴う縦隔腫瘍で筋力低下を伴う症候群という点から、肺小細胞癌が最も考えられる。ランバートイートン症候群患者の半数は、小細胞癌を罹患しており、小細胞癌の3%はランバートイートン症候群に進展する。

❸その他の選択肢
カルチノイド腫瘍:縦隔腫瘍ではなく、気管支内や肺に限局して見られる。
線維形成性縦隔炎:
CTで浸潤性の画像を呈する。。
甲状腺腫:重症筋無力症と関連があり、前縦隔に位置する。

Key Point
✓ 小細胞癌+筋無力症=ランバートイートン症候群

Payne M, Bradbury P, Lang B, et al. Prospective study into the incidence of Lambert Eaton myasthenic syndrome in small cell lung cancer. J Thorac Oncol. 2010;5(1):34-38. PMID: 19934775

 

MKSAP for Students 5

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MKSAP 16: Medical Knowledge Self-Assessment Program (Set of 2 Parts)

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