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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:IgG4関連疾患/低カリウム血症の原因/みんな大好き爪/関節リウマチフォロー

MKSAP 診断 膠原病 代謝 身体所見

MKSAP16まだまだ終わりが見えてきません!
今回は皆さんが大好きなあれも登場しますよ!  

IgG4関連疾患
IgG4-related disease

❶症例 
 81歳男性。2週間前から無痛性の黄疸、掻痒感で来院。体重減少、発熱、悪寒、嘔気なし。既往、内服なし。
 体温36℃、血圧122/76、脈拍72、呼吸数18、BMI31。強膜黄疸。肝硬変の皮膚所見なし。腸蠕動音亢進。腹部平坦。膀胱触知せず。肝脾腫なし。
 ALP343U/l ALT172U/l AST181U/l T-Bil14.1mgCTで浸潤性の画像を呈する/dl D-Bil9.8mg/dl IgG4 576mg/dl CA19-9 12.1U/ml
 造影CTではびまん性(ソーセージ様)に腫大した膵臓と膵管狭窄。肝外胆管は10mmに拡大し、膵管合流部は狭い。CTとEUSではmassは認めなかった。

 適切な治療は?
A.  広域抗菌薬
B.  コルチコステロイド 
C.  ERCP+ステント留置
D.  膵頭十二指腸切除術


 ❷IgG4関連疾患の治療
  この患者は自己免疫性膵炎であり、コルチコステロイドで治療すべきである。びまん性に腫大した膵臓と膵管狭窄はこの病態に特徴的である。EUSとCTで膵臓のmassはなく、CA19-9が正常であることは膵癌除外の一助となる。IgG4の上昇は自己免疫性膵炎を示唆するが、膵癌でも上昇する。自己免疫性膵炎治療のためコルチコステロイドは試すべきであり、生検は膵炎や膵管損傷の危険があるため普通はしない。3-4ヶ月の投与で画像的に炎症所見の評価を行う。フォローの画像で改善が認められない場合は他の診断を考える。治療への反応が悪かったり、減量中に再発した場合は、アザチオプリンなどの免疫抑制剤を考慮する。

❸その他の選択肢
広域抗菌薬:胆管炎や感染性膵壊死に使用するが、この患者はそれほどsickではなく熱もない。自己免疫性膵炎に抗菌薬は効かない。
ERCP+ステント留置:自己免疫性膵炎に伴う胆道狭窄の多くはコルチコステロイドに反応する。そのような症例ではERCPやステント留置は避ける。この患者は画像によるフォローを行い、胆道狭窄の改善を確認すべきである。
膵頭十二指腸切除術:AIPの治療に用いられない。

Key Point
✓ 自己免疫性膵炎にはコルチコステロイドを

Sugumar A, Chari ST. Diagnosis and treatment of autoimmune pancreatitis. Curr Opin Gastroenterol. 2010;26(5):513-518. PMID: 20693897            

 

 

カリウム血症の原因
Cause of hypokalemia

❶症例
 86歳男性。心不全で入院。冠動脈疾患はプラバスタチン、メトプロロール、ニトログリセリンアスピリンで治療されている。
 体温37.1、血圧105/60、脈拍98、呼吸数18、BMI31。頚静脈怒張、Ⅲ音、肺のcrackle、四肢の浮腫を認める。
 初日にフロセミド、エナラプリルの投与したところ、心不全症状は改善したが、腹痛、嘔吐、下痢が出現した。 
 腹部レントゲンでは回盲部から脾彎曲までハウストラの保たれた腸管の拡張を認めた。CTでは機械的閉塞は認めなかった。NGチューブで300mlの排液を認めた。

 受診時:BUN26 Cre1.3 Na136 K3.8 Cl98 HCO3 30
 3日後:BUN12 Cre1.2 Na134 K2.8 Cl94 HCO3 28 尿Cre120 尿K16 

 K血症の原因は
A. 
 偽性腸閉塞
B.  フロセミド
C.  胃管からの排液
D.  電解質の再分布


 カリウム血症の原因 
 低カリウム血症は偽性腸閉塞により起こっている。この患者では酸塩基平衡異常は起こっていない。随時尿Kは低K血症への腎臓の反応を評価するのに用いられるが、本来は畜尿すべきである。Urine Potassium (meq/L) × 100 [(mg × L)/(dL × g)] ÷ Urine Creatinine (mg/dL)で計算される尿中カリウムクレアチニン比で代用される。これが20を超えると腎性排泄と考えられ、15を切ると腎外排泄、再分布異常、摂取不足が考えられる。この患者で計算すると13であり、腎外排泄か再分布異常が示唆される。偽性腸閉塞では結腸でカリウムチャネルのアップレギュレーションが起こり、分泌性下痢、低カリウム血症を引き起こす。

❸その他の選択肢
フロセミド:ヘンレのループでカリウムの再吸収を直接ブロックし低K血症と続発性アルドステロン症を引き起こす。尿中カリウムクレアチニン比は20以上である。
胃管からの排液:嘔吐と胃管排液では皮質集合管での重炭酸ナトリウムの運搬が増えカリウムの尿中排泄が起きる。体液量が減ると続発性アルドステロン症となる。胃液中のカリウム濃度は比較的少なく、胃管排泄の場合のカリウム枯渇は尿中排泄により起こる。
電解質の再分布:この患者は病歴上、細胞外から細胞内へのカリウムのシフトを示唆せず、重炭酸濃度からシフトを起こすようなアルカレミアは疑われない。

Key Point
✓ 偽性腸閉塞では結腸でカリウムチャネルのアップレギュレーションが起こり、分泌性下痢、低カリウム血症を引き起こす

Sandle GI, Hunter M. Apical potassium (BK) channels and enhanced potassium secretion in human colon. QJM. 2010;103(2):85-89. PMID: 19892809

 

 

みんな大好き爪!
Nails you love!

❶症例

 爪の変化を主訴に来院した30歳男性。1ヶ月前にAMLで化学療法を施行された。特に症状なくバイタルも正常。肝腎機能は正常。爪の所見を示す。

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(MKSAP16より) 

 この爪の診断は?
A.
 Beau線
B.  扁平苔癬
C.  爪の中央部ジストロフィー
D.  乾癬

❷Beau線
 爪基質の成長が障害されて生じ、その状態自身は有害ではなく、いづれ正常に戻る。

❸その他の選択肢
扁平苔癬:くぼみや翼状片、剥離など様々な爪の変化を生じ、20分位の爪全て、粗く、縦のラインが出るが、横線は出ない。
爪の中央部ジストロフィー:縦のラインの成長抑制や爪の正中に溝ができ、爪の長さが短くなる。典型的に指1、2本、特に母指に起こる。
乾癬:くぼみが出来たり、剥離ができたりと様々な形態をとるが、横のラインはできない。

Key Point 

✓ Beau線は、化学療法や敗血症といった全身ストレスの結果として現れる

Holzberg M. Common nail disorders. Dermatol Clin. 2006;24(3):349-354. PMID: 16798432 

 

関節リウマチフォロー
Follow-up of RA

❶症例
 42歳男性の定期再診。1年前にRAと診断され、中手指節関節の早期びらんと抗CCP抗体陽性で診断された。疾患活動性からはMTX使用が推奨されたが、アダリムマブ開始後6ヶ月で良くなった。現在は、朝のこわばりや疼痛、腫脹などなし。シックコンタクトなく、他の疾患もなし。バイタル正常、筋骨格系の身体所見の異常なし。赤沈やCRPも正常である。
 9ヶ月前の血液検査:HBs抗体陽性、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性、ツ反陰性

 適切な診断的検査は?
A.  抗CCP抗体の測定
B.  両手・両手関節のレントゲン
C.  HCV抗体の再測定
D.  ツベルクリン反応再検
E.   水痘ウィルス抗体の測定

❷関節リウマチフォロー
 疾患活動性はコントロールできても、その背後でびらんは進行していることもある。びらんが進行していれば、臨床的に疾患をコントロールできているように見えても、将来新たな治療のレジメンが必要となることを示唆する。

❸その他の選択肢
抗CCP抗体:RAの診断の際には重要であるが、疾患活動性の評価には役立たない。
結核HCVの検査:アクティブな感染が疑われる状況でなければ、1年以内の検査は推奨されない。
水痘ウィルス抗体:IgG抗体が血清学的に持ち合わせていない医療従事者は、水痘ウイルスを摂取が有効であるが、ルーティーンのスクリーニングではないし、生ワクチンの接種は免疫抑制された人にはリスクを伴う。

Key Point

✓ レントゲン再検により、早期びらんの変化やRA患者の新たなベースラインを評価することができる

 Østergaard M, Pedersen SJ, Døhn UM. Imaging in rheumatoid arthritis-status and recent advances for magnetic resonance imaging, ultrasonography, computed tomography and conventional radiography. Best Pract Res Clin Rheumatol. 2008;22(6):1019-1044. PMID: 19041075

 

MKSAP for Students 5

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MKSAP 16: Medical Knowledge Self-Assessment Program (Set of 2 Parts)

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