読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

デスカンファ:最後は本人の思う通り

デスカンファまとめ。
再びT先生です。宜しくお願いしま〜す。

 

悪性腫瘍末期の男性でした。
とっても印象深い方です。
少し経過からまとめてみます。

1)経過

まず、泌尿器科の癌が見つかり高次医療機関での通院精査加療となりました。
しかし途中で通院を中断します。

はっきりした理由は聞けず仕舞いです。

その後肝臓の付近の癌が見つかりますが精査拒否。
その後、お子さんの説得に応じ紹介受診し診断確定。しかし手術前に自主退院し、治療せず。
その後何度か体調悪化し短期間の入院を病院で行いましたが、次第に病院スタッフとの関係性も悪化し入院が困難になっていきました。

そういった事で訪問診療の依頼となりました。

ただ、自宅で介護を担える家族がいないこともあり、ご家族の調整で高齢者施設入居となりました。
自宅と高齢者施設での行ったり来たりの生活を開始し、お正月は自宅で過ごされました。
比較的安定して過ごされていましたが、亡くなる一月ほど前からは施設に戻るのを拒否し、施設を退去。

そこからはだんだん具合も悪くなりましたが、介護サービス利用を増やしながら最後まで自宅で過ごすことができました。

ご本人は一貫して自宅にいたいと口に出して希望していました。
(※内容は個人情報を加味して適宜調整しています)

 

2)もやもや
 ご家族は介護困難を口にすることもあったのですが、最後は担当医が在宅療養の方針で説得したような印象。本人の意向通りとは言え良かったか?

 

3)ディスカッション
・治療拒否していたが疼痛など強い苦痛はなかったし、本人も訴えなかった。
・自宅にいる時間で、自分でやらなきゃいけない整理が出来たので家にいられて良かった。
・長年の家なので家や土地への愛着が強かった。
・おむつ交換など介護の負担が出始めたときにヘルパーさんを増やして家族の負担は増えないようにした。
・治療の経過も含めて、本人に振り回された感じがあるが、本人の思う通りになったように感じる
・施設と自宅の行ったり来たりで訪問する際の距離がだいぶ違ったが訪問看護や訪問診療医も変更するほどの距離でなくて良かった。
・家族も良い在宅医療チームに出会えて良かったと言っていた。
・残された家族の在宅療養に再度関わることになった。

 

カンファレンスの内容は以上です。

 

 やはり、苦痛が少ないと言うのはとても大切で、在宅医は苦痛の緩和を得意としなければなりませんね。本人の意向がしっかりと表明されることも大切で、本人の意向に迫る努力が在宅療養を支えるチームには求められます。
 また、他の方の振り返りでも感じられますが、それまでの家族との関係性や生き方を無視しては終末期のケアは成り立たないのだと言うこと。患者さんを知り、家族を知り、苦痛を取り除き、みんなが幸せを感じてお別れできるような終末期ケアのできるチームに成長して行きたいと思いました。

 

本日のポイント
・苦痛が少ない事、本人意向が明確なことが在宅療養継続につながった。
 →苦痛は取り除こう。
・本人の意向にしっかりと迫っていこう。

家で看取ると云うこと―人生の旅立ちは家族の声に包まれて

家で看取ると云うこと―人生の旅立ちは家族の声に包まれて