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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

NEJM Knowledge+:68歳男性 意識障害

Knowledge+ NEJM 診断 感染症 集中治療

NEJMのKnowledge+です。
珍しく設問長いっす。
まあ、でも時節に従っているなという感じです(笑)

症例:68歳男性 意識障害

 施設入所中で2型糖尿病、糖尿病性足感染症、末梢動脈疾患、高血圧、変形性関節症既往のある68歳男性が、意識障害を主訴に救急車で救急外来に搬送された。
 施設のスタッフは、昨日は元気だったが、今朝起床時から混乱していると報告した。本人に病歴を伺うもほとんど答えることが出来ない。過去の既往歴を簡単に聴取すると、直近 HbA1c 9.6%で、安静時ABI 0.95/0.58であり、足部糖尿病性感染症に対して、アモキシシリン・クラブラン酸が開始されていた。
 身体所見では、体温 35.4度、HR 106bpm、RR 19/分、BP 88/58mmHgだった。聴診では肺野は正常で心音は頻脈があり、腹部に圧痛はない。左下肢は発赤し、明らかに悪臭のある腫脹と踵部分に6cm程度の潰瘍を認め、足背動脈は触知しない。患者は足潰瘍部分への痛み刺激や触診でうめき声をあげる。延命治療に関連したPLOSTフォームで事前指示は出ていない。
 血算では、WBC 22000(Band 11%、Neutrophils 78%、Lymphocytes 11%)だった。Cr 1.6mg/dL、乳酸値は2.4mmmol/L。
 血液培養が施行され、点滴は2本太い末梢静脈カテーテルが留置されている。蘇生目的に静脈内輸液が開始となった。

質問. ICU入室前に行うべき初期治療はどれか?

  1.   左足のX線を撮影する
  2.   VCMおよびTAZ/PIPCを開始する
  3.   中心静脈の酸素飽和度測定
  4.   中心靜脈圧測定
  5.   外科医にコンサルトする

 

Key Learning Point

After initiation of a continuous intravenous insulin infusion in a patient who is in a hyperosmolar hyperglycemic state, the serum sodium level is expected to increase. - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1232/answer/E/?source=qowemail&inf_contact_key=17b5698a6684a395d9fc82ffb22e1fa91de10b4fde895a56d5112390edd38a2a#sthash.U24I63Zx.dpuf
高 血糖高浸透圧状態にある患者において持続静脈内インスリン注入の開始後、血清ナトリウムレベルが増加すると予想される。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1232/answer/E/?source=qowemail&inf_contact_key=17b5698a6684a395d9fc82ffb22e1fa91de10b4fde895a56d5112390edd38a2a#sthash.U24I63Zx.dpuf
患 者に害を引き起こす医原医療ミスを伝えるための適切な方法は、エラーのオープンで正直なアカウントを提供し、患者に正式に謝罪することです。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1015/answer/B/#sthash.vBmBG3vd.dpuf
慢 性閉塞性肺疾患の増悪と高炭酸ガス呼吸不全や肺炎の証拠で入院した患者は、気管支拡張薬治療、全身グルココルチコイド、およびフルオロキノロンまたはマク ロライド系抗生物質で治療すべきである。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/235/answer/A/?source=qowemail&inf_contact_key=5867c46d2a7fbaecc6edeccb8b5f2d7372c2badebfd1c8e5638e924cb4d6a052#sthash.X4dusLJi.dpuf
The gradual development of arm weakness and Horner’s syndrome in an older former smoker is most indicative of a diagnosis of an apical bronchogenic cancer known as a Pancoast’s tumor. - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/932/answer/A/?source=qowemail&inf_contact_key=8b697793f3c2f6a9d68dcdc1826ffea87b269461ef7de16dbcbb80275770fc7a#sthash.YmYXCOj2.dpuf

 2型糖尿病患者で血圧低下があり敗血症が疑われるような場合には、死亡率や合併率を低下させる効果があるのは、早期の経静脈的抗菌薬投与である。

回答 2. VCMおよびTAZ/PIPCを開始する 

解説:

 本患者の病態は、糖尿病足感染症からの敗血症として矛盾しない。2016年に発表された新しい敗血症ガイドラインでは、SOFA≧2点以上を敗血症とし、”感染に対する自己調節能が破綻し、致死的な臓器障害を呈する病態”と定義している。敗血症性ショックは、平均血圧を65mmHg以上を保つために昇圧剤が必要な状態、循環血液量減少がない状態で乳酸値2mmol/L以上と定義されている。本患者では敗血症の基準は満たすが、敗血症性ショックの定義は満たさない。


 積極的な点滴による蘇生は敗血症ケアにおける最も重要なコンポーネントのひとつであり、本患者では開始されている。最も重要な次に行うべきは、出来る限り速やかに広域抗菌薬を開始することであり、これによって劇的に死亡率が低下する。VCM+PIPC/TAZは合理的な第一選択レジメンであり、VCMがグラム陽性菌カバー、PIPC/TAZがグラム陰性菌をカバーする。

 中心静脈圧や中心静脈酸素飽和度の測定は、2001年の敗血症のEGDTでは鍵になるコンポーネントとされており、臨床試験の結果、これらの血行動態パラメータを積極的に測定し維持することが利益があるとされていた。しかし、最近の研究ではこららの測定は抗菌薬や積極的輸液と比較すると重要ではないことが示唆された。

 感染肢の外科的切断術が必要かを評価することは考慮されるが、コンサルテーションの必要性は抗菌薬投与開始よりも緊急性が高いと言うことはない。足のX線などによる骨髄炎の評価も、精査の第一ステップではあるが最も重要な行うべきことではない。

 

Citations

  • ProCESS Investigators. A randomized trial of protocol-based care for early septic shock. N Engl J Med 2014 May 1; 370:1683.

  • Mouncey PR et al. Trial of early, goal-directed resuscitation for septic shock. N Engl J Med 2015 Apr 2; 372:1301.

  • Singer M et al. The third international consensus definitions for sepsis and septic shock (sepsis-3). JAMA 2016 Feb 23; 315:801.

  • Kritek P. Keys to treating sepsis are early recognition, fluids, and antibiotics. NEJM Journal Watch Gen Med 2015 Apr 7. 

 敗血症で行うべきこと、最低限の集中治療関連の現状は押さえておく必要があります。EGDTが役割を終えたというのは感慨深いですが、一方で現場の敗血症診療はまだまだという感も否めません・・・

Dr.竜馬のやさしくわかる集中治療 循環・呼吸編〜内科疾患の重症化対応に自信がつく!

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