栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:寝ないと良質な睡眠が待っている/メソトレキサート過剰投与に伴う骨髄抑制/病歴のウソ

今週のカンファまとめておきます。
耳学問を調べ直すことは重要です。指導医の言うことはウソが多いですから・・・

寝ないと良質な睡眠が待っている Good sleep will wait for you after insomnia

 カンファ中にうちの不眠症博士がこうのたまっておりました。

「不眠の方って眠れないって言って眠ろうと頑張るけど、実は寝ないで起きて起きて頑張るとその後にむしろすごく質の良い良質な睡眠が待ってるんですよ〜」 

 みんな「へー」「へー」って言ってたんですが、一応何か記載がないかを確認してみました。そしたらUptodateにこんな記載が・・・まあ、参考文献はないのですが、こういったものが書いてあるのがUptodateの良いところですよね

A return to normal sleep quotas after a period of sleep deprivation results in rebound sleep.
不眠時期を経てから正常の睡眠に戻ると睡眠のリバウンドが起こる

This means that deep sleep and rapid eye movement (REM) sleep will appear in quantities higher than expected for several nights after normal sleep duration has resumed if these stages of sleep had been reduced below their usual quantities during sleep deprivation.
これは、睡眠不足期間で睡眠量が通常よりも減少していた場合には、その後通常の睡眠が再開された後は数日間は予想以上に深い睡眠・REM睡眠が出現すると言われている。

 眠れない人に「松岡修造的に」がんばれ〜!!寝るな!!って言い続けると、頑張った先にめっちゃ良い眠りが待っているということでしょうか。まあ、実体験でもそんなことあったような気がするな。「泥のように眠る」もまさにそんな感じかもですね。

 ✓ 眠れない方は頑張って寝ないでいると良いご褒美が・・・?

 

メソトレキサート過剰投与に伴う骨髄抑制 Myelosuppression of Methotrexate overdose 

 まあ、正直トラブル対処が適切に出来ないクスリは使うべきじゃないと思うんですよね。もちろん自施設で完結できないとしても、薬剤性を考慮してしかるべき医療機関に紹介できる必要があります。

 メソトレキサート(MTX)。なんでこう知識の無い方々が使うんでしょうか・・・まずは、飲み方。これは以前研修医の処方事故が出たことがありますが、週1〜2回を2〜4回に分けて内服するのが通常です。この際の葉酸が処方されていないこともしばしば見かけます。

 そしてやはり怖いのが血球減少です。特に白血球や血小板減少が目立ち、口腔内出血や口内炎が治らないなどの症状で受診されることも多いです。また、間質性肺炎や非特異的リンパ節腫張、肝機能障害、リンパ増殖性疾患などが原因になります。

 通常は薬剤中止および補助療法になりますが、重症の場合(Hb<8g/dL、白血球<1500/ml、血小板<50000)では、ロイコボリンレスキューの適応になります。
 Uptodateによればロイコボリンの救済はMTX投与後24-36時間以内には開始すべきです。レジメンは様々で一定のものはありませんが、日本で使用できるのはホリナートカルシウムの錠剤で、15mg/m2経口を6時間毎に投与し、MTX血中濃度が0.05-0.1μMを下回るまで使用するように勧められています。連日電解質・腎機能・MTX血中濃度をフォローとのこと。濃度によって用量調節だそうです。
 豆知識だとPPI併用していると排泄が遅くなるので併用を避けるように勧められていたりします。

 ✓ メソトレキサート過剰投与の時のトラブルシューティングを押さえておこう

 

 

病歴のウソ Patient tell a lie  

 病歴がウソがあると聞くと思い出すのはDr.houseです 

 「患者はウソをつく everybody lies」が口癖なわけですが、この病歴の信頼性という意味では結構悩ましいことが多いです。経験的に”ウソ”が多いのは、妊娠や性交渉歴、性の嗜好など性的なプライバシーに関する病歴です。あとはアルコールや薬物などの名誉に関わる問題も過小評価して”ウソ”に繋がる可能性があります。

 あとは疾患によっては、きちんとした病歴が言えないもしくは病状から出にくいということがあると言われています。病歴・症状をゆがめてしまう因子として、志水先生の著書によるとMODIFIERで覚えると良い様です。

M:Mental illness 精神科疾患
O:Orofacial disorder 口腔顔面疾患
D:Diabetes 糖尿病
I:Immunosuppressants 免疫抑制剤
F:Factitious disorder 虚偽性精神障害
I:Impaired cognitive function 認知障害
E:Elderly 高齢者
R:Regulated autonomic system 自律神経系の障害

何より患者さんが病歴を話しやすい環境や関係性の構築が必要なのは言うまでも無いですよね。怒ったりするのは言語道断です。 

診断戦略: 診断力向上のためのアートとサイエンス

診断戦略: 診断力向上のためのアートとサイエンス

 

  ✓ 適切な病歴をとれる様にしていこう。