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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics 糖尿病患者では血圧を下げる効果はベースラインの血圧が140mmHg以上の場合期待できる

ACPJCまとめです。
糖尿病の方の血圧コントロールの話題。
是非是非ご参考に。

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Effect of antihypertensive treatment at different blood pressure levels in patients with diabetes mellitus: systematic review and meta-analyses. 
Brunstrom M, Carlberg B. 
BMJ. 2016;352:i717.

 

臨床上の疑問:
 糖尿病患者では、降圧治療の効果は血圧によって異なるかどうか?


方法:
①Review範囲:糖尿病歴が12か月以上で100人以上の患者がある比較研究で、降圧薬治療 vs プラセボ、1剤 vs 2剤を比較したもの。除外基準は、2つの薬剤効果を検証したものや組み合わせ介入。アウトカムは、全死亡・心血管死亡・心筋梗塞・脳卒中・心不全・末期腎不全

②Review方法:MEDLINE、EMBASE/Excerpta Medica、Cochrane CENTRAL、BIOSISを2013年2月まで評価し、referenceリストも合わせてランダム化比較試験を検索した。
 著者・製薬会社などに連絡をとって元データを確認した。49RCT(n=73738人、平均フォローアップ3.7年)が組み入れ基準を満たした。24RCTは糖尿病のみの患者、25研究はサブグループに糖尿病ありだった。多くの患者が2型糖尿病だった。
 38RCTが降圧薬 vs プラセボ。無作為化(45RCT)、隠蔽化(39RCT)、被験者の盲検化(26RCT)、アウトカム評価者の盲検化(36RCT)のバイアスリスクは低かった。
 メタ解析が行われ、研究中の平均血圧によって調整された。

結果:
 ベースラインの平均血圧>150mmHgでは、降圧治療が、全死亡・心血管死亡・心筋梗塞・脳卒中・末期腎不全を有意に減らした。
 ベースラインの平均血圧 140-150mmHgでは、降圧治療は全死亡・心筋梗塞・心不全を減らす。
 ベースラインの平均血圧<140mmHgでは、降圧治療は心血管死亡を若干増やすかもしれず、他は有意差なし。
 メタ回帰では、血圧がベースライン血圧が10mmHg下がる毎に、降圧治療は心血管死亡や心筋梗塞を増やすかもしれない。

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(本文より引用)

結論:
 糖尿病患者では、収縮期血圧≧140mmHgでは降圧治療が全死亡や心筋梗塞が減る。
 収縮期血圧<140mmHgでは、降圧治療は全死亡を減らさず、心血管死亡増加と関連する。

 結局糖尿病だから厳しめに血圧下げようというのは幻想かもしれませんね。むしろ低い群で血圧下げると心血管死亡増えるという・・・どちらにせよ、ベースラインリスクの評価がまず重要とも言えます。