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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:甲状腺機能亢進症/胃潰瘍/インフルエンザワクチン/パーキンソン病らしさ

MKSAP

M先生は内科認定医の試験で忙しそうなので2週分から4題で許してください!

MKSAP16は情報古いんじゃないか説→最新版に変わるかも 

甲状腺機能亢進症
Hyperthyroidism

❶症例 

 55歳男性。不安感、暑がり、体重減少(6週間で2.3kg)で来院。視力障害あり。頚部の違和感なし。内服薬なし。

 神経質。血圧150/70、脈拍110、呼吸数16、BMI27。頻脈以外、胸部診察は正常。眼も正常。甲状腺は腫大しており、滑らかでbruitなく結節を触知しない。前脛骨に粘液水腫なし。TSH 1.5  T4 2.4  T3 220 甲状腺抗体陰性。放射性ヨードの取り込みは一様で55%(24時間)

 次の一手は?
A.  メチマゾール
B.  下垂体MRI
C.  プロピオチオウラシル
D.  放射性ヨード療法

E. 甲状腺切除術


 甲状腺機能亢進症の評価
  この患者は下垂体MRIを撮るべきである。有症状であり、身体所見上も、検査所見上も甲状腺機能亢進症を示唆している。ヨードの取り込みは亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎が除外される。TSHが感度以上であり、Graves病や中毒性多結節性甲状腺腫、Plammar病による甲状腺中毒症では普通感度以下である。甲状腺機能亢進症でTSHが上昇している場合は、下垂体腫瘍や抗体の存在、検査ミスが考えられる。後者2つでは臨床的、血清学的に甲状腺機能の亢進は起こらない。よって、この患者はTSH産生下垂体腫瘍が考えられ、T3、T4の上昇に対してTSHが不適切に高い。下垂体MRIで腫瘍検索をし、他の下垂体ホルモンの計測を行う。治療の第一選択は腫瘍の切除である。。

❸その他の選択肢
メチマゾール・プロピオチオウラシル・放射性ヨード療法:残存病変に対する薬物療法として、ソマトスタチンアナログが用いられ、80%の患者で、TSH低下、甲状腺機能亢進症のコントロールが可能である。しかし、メチマゾール、放射性ヨード、プロピオチオウラシルでは治療できない。

甲状腺切除術:甲状腺には腫瘍がないため切除する必要はない。

Key Point
✓ 甲状腺機能亢進症でTSH高値の場合は下垂体MRI            

 

胃潰瘍
Gastric ulcer

❶症例
 55歳男性。心窩部痛と黒色便で来院。大工の仕事で3週間前に腰を痛め、イブプロフェンを飲んでいる。

 血圧104/62、脈拍110。頻脈以外の身体所見は正常。Hb 10.2。適切な輸液で循環動態は安定し、内視鏡では、1㎝の前庭部潰瘍と出血のない露出血管を認めた。エピネフリン注射と焼灼で治療、PPIが開始された。

 無症状と仮定して、内視鏡後、どれくらい経過観察すべきか
A. 
 12時間
B.  24時間
C.  48時間
D.  72時間


 胃潰瘍再出血の評価 
 この患者のように内視鏡で高リスクの場合は少なくとも72時間は入院させるきである。消化性潰瘍はForrest分類でⅠAからⅢに分類される。拍動性の出血を伴うものをⅠA、oozingを認めるものをⅠB、出血のない露出血管はⅡA、着色した瘤、血餅付着はⅡB。消化性潰瘍の1/3~1/2に高リスクの出血を認める。Ⅰ、Ⅱ群では内視鏡的治療をしないと20~50%で再出血する。扁平な着色斑点を伴うⅡC、きれいな潰瘍底を持つⅢはリスクが低い。この患者は高リスクの病変を内視鏡的に治療されており、72時間以内が最も再出血しやすい。さらに低リスクの潰瘍へと変化するのに72時間ほどかかる。よって72時間は入院すべきであり、他の選択肢は正しくない

Key Point
✓ 胃潰瘍があったらForrest分類をつけましょう

 

インフルエンザワクチン
Infruenza vaccination

❶症例

 48歳女性。関節リウマチに対するリツキシマブ投与前の11月来院。7年前に関節リウマチと診断され、メトトレキサート、エタネルセプトで十分な効果が得られなかった。それ以外の既往はなく、インフルエンザワクチンを受けに来た。多関節の腫脹以外特記すべき身体所見はなく、バイタルも正常。

 適切な対応は?
A. 
 インフルエンザワクチン筋注
B.  インフルエンザワクチン点鼻
C.  ザナミビル
D.  ワクチンを打ってはいけない

❷インフルエンザワクチンの適応
 この患者にはリツキシマブ前にインフルエンザワクチン筋注が推奨される。ワクチンには2種類あり、不活化ワクチン筋注はすべての年齢で使用され、生ワクチンの点鼻は2-49歳の患者で使用される。生ワクチンは妊婦、慢性の代謝疾患、糖尿病、腎機能障害、ヘモグロビン異常、免疫不全、呼吸器機能や分泌能を下げる疾患では避けるべきである。TNF-α阻害薬使用時にワクチンへの反応が変わるかどうかは証明されていないが、リツキシマブ、アバタセプトはT細胞とB細胞の共刺激をブロックすることが知られている。よって、可能であれば、リツキシマブ、アバタセプト投与時にはワクチン接種状態を刷新すべきである。卵やワクチンアジュバントへのアレルギーと比べると、関節リウマチや自己免疫疾患へのインフルエンザの不活化ワクチンは禁忌とは言えない。

❸その他の選択肢
インフルエンザワクチン点鼻:ウィルス感染の播種が懸念されるため、免疫不全者や免疫抑制剤治療をしている患者への生ワクチン接種は禁忌である。
ザナミビル:オセルタミビルやザナミビルなどの予防としての抗ウィルス薬は、即時的な保護作用があり、ワクチンを打っていない患者や抗体形成が期待されない患者、抗体形成が有効になるまでの予防薬として有効である。しかし、高くて、副作用の危険がある。インフルエンザが流行している病棟に勤務するレジデントや合併症の危険性が高い患者、インフルエンザのシックコンタクトがある患者に使用される。この患者は上記を満たさない。

Key Point 

✓ 生物学的製剤開始前には不活化インフルエンザワクチン

van Assen S, Holvast A, Benne CA, et al. Humoral responses after influenza vaccination are severely reduced in patients with rheumatoid arthritis treated with rituximab. Arthritis Rheum. 2010;62(1):75-81. PMID: 20039396  

 

パーキンソン病らしさ
PD-like

❶症例

 50歳男性。新患外来。2年前から右上肢の固縮があり、歩行は止まりがちで、右下肢を使おうとすると硬くかくかくとして使いにくい。振戦はない。最近パーキンソン病と診断された。声は柔らかくなり、若干高音となった。10年前から嗅覚障害があり、2年前から字を読む際の複視、9ヶ月前からは尿切迫感とインポテンツを認めている。認知症抑うつ、精神症状はない。高用量のレボドーパを使用したが改善は見られない。

 パーキンソン病として最も非典型的なのは?
A.  振戦がないこと
B.  複視
C.  インポテンス
D.  嗅覚障害
E.   レボドーパへの反応性

パーキンソン病らしさ
 最も非典型的なのはレボドーパの反応が乏しいことである。パーキンソン病の診断は振戦、寡動、固縮、姿勢保持反射障害で特徴づけられる。症状は非対称性であり、レボドーパによる改善が期待されるところがパーキンソン病の診断に有用である。パーキンソニズムがある場合、レボドーパは試してみるべきであり、反応が悪ければ、黒質線条体以外の基底核も含めた神経変性が示唆される。

❸その他の選択肢

振戦:振戦がない時、非典型的なパーキンソニズムが疑われるが、パーキンソン病でも30%は振戦を認めない。
複視:集中力低下はパーキンソン病で見られやすく、複視も起こりうる。
インポテンス:多くのパーキンソン病患者で自律神経障害が見られ、便秘や尿意切迫感、インポテンス、体温調節障害が起こりうる。自律神経障害がひどい場合は他の自律神経障害の検査が推奨され、多系統萎縮症などを鑑別する。
嗅覚障害:パーキンソン病でしばしば見られ、発症の数年前からあることもある。

Key Point

✓ パーキンソン病らしさ=レボドーパへの反応良好

Rao G, Fisch L, Srinivasan S, et al. Does this patient have Parkinson disease? JAMA. 2003;289(3):347-353. PMID: 12525236

 

MKSAP for Students 5

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MKSAP 16: Medical Knowledge Self-Assessment Program (Set of 2 Parts)

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