栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Etiology 高齢者ではマクロライド系抗菌薬は心室性不整脈増加とは関連しない

ACPJCまとめです。
このテーマはこれでほぼ決着で良い気がしますが・・・

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Macrolide antibiotics and the risk of ventricular arrhythmia in older adults. 

Trac MH, McArthur E, Jandoc R, et 

CMAJ. 2016;188: E120-9.

 

臨床上の疑問:
 高齢者では、マクロライド系抗菌薬は他の抗菌薬よりも心室性不整脈を増やすか?


方法:
デザイン:地方のデータベースにリンクした人口レベルの後ろ向き観察研究のデータで、フォローアップ期間30日。

セッティング:オンタリオ、カナダ

患者
 
50万3612人の65歳以上の外来患者(平均74歳、57%女性)で新規に傾向マクロライド系抗菌薬(アジスロマイシン・クラリスロマイシン・エリスロマイシン)を開始した患者を2002年4月から2013年3月までリクルートし、他の抗菌薬(アモキシシリン・セフロキシム・レボフロキサシン)を内服した患者とPropensity Match scoreを用いて1:1でマッチさせた。
 除外基準として同時に2種類以上の抗菌薬処方、180日以内に抗菌薬処方がある場合、投与2日以内に入院歴あり、標準治療量ではない抗菌薬処方。

リスク因子:マクロライド系抗菌薬の新規処方。Propensityスコアはマクロライド系抗菌薬と非マクロライド系抗菌薬を、7つの人口統計学的変数(年齢・性別等)、30の合併症(悪性腫瘍・脳卒中等)、36の薬剤(降圧薬・三環系抗うつ薬等)、5つのヘルスケア利用(入院や診療所受診)、25の検査(大腸鏡、肺機能検査等)、3つのその他の変数(専門家、処方薬剤数・血清Cr値)の全106項目で調整を行った。

アウトカム:プライマリアウトカムは、心室性不整脈(心室頻拍または心室細動)による病院入院または救急外来受診。病名はICD-10コードから取得。セカンダリアウトカムは全死亡。

結果:
 マクロライド群では49%がクラリスロマイシン、48%がアジスロマイシン、3.1%がエリスロマイシンを内服していた。非マクロライド系抗菌薬は、心室性不整脈も全死亡も増やさなかった。

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(本文より引用)

結論:
 マクロライド系抗菌薬は心室性不整脈も全死亡も非マクロライド系抗菌薬と比較して増やさなかった。

 この問題の発端はFDAがアジスロマイシンに対して、QT延長と心室性不整脈のリスクを警告したことに端を発しています。過去の大規模観察研究ではマクロライド使用群で心血管死亡が2.9倍という衝撃のデータもあります。今回その結果が大規模な後ろ向き観察研究で覆されたという形です。
 最後に書いてありますが、まあ、マクロライド出す前に、本当に必要な抗菌薬か?と自身に問いかけるようにしましょう〜とのことでした。

抗菌薬の考え方、使い方Ver.3

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