栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:狭心症の原因としての大動脈弁狭窄症/畳目模様/コリン作動性クリーゼ

今週のカンファまとめ。
ようやく追いついてきた。

狭心症の原因としての大動脈弁狭窄症 AS as a cause of angina

 狭心症症状の原因としてASをあげられるか・・・ASの患者の症状としては想起しやすいんだけど、狭心症なのに冠動脈狭窄がないときに、ASを考えようねという話題です。ただ、一方で重症の大動脈弁狭窄症患者には半数に狭心症を合併することもまた事実なのだそうです。

 基本的に冠動脈疾患の合併がない大動脈弁狭窄症で狭心症を起こす機序は、左室肥大が関与しているといわれています。

・左室心筋量が増大した結果として左室の酸素需要が増大

・長時間の収縮と心筋弛緩障害による冠動脈圧迫
・頻脈の際には拡張期の冠動脈灌流時間が減少
・冠血流予備能の低下

などが複雑に絡み合っているのだそうです。TAVRも普及してきますし、きちんと診断・治療まで持っていく必要がある疾患でしょうね。

 ✓ 狭心症の原疾患として大動脈弁狭窄症を考えよう

 

 

畳目模様 tatamime sign

 これは初めて聞きました。確かに畳の様に見えなくもないですが・・・食道内視鏡観察時の所見です。写真の様な細かい輪状のひだを指した所見と言われています。
 名前の由来通り日本の内視鏡専門医達の間で名付けられた所見です。実は、この所見が「食道表在癌の深達度診断」に有用な所見と位置づけられています。通常観察でも見られますが、ヨード染色後に多く見られる様です。
  これ、そもそもこの所見の出し方というのが、ハッキリ決まっていなくて、「空気量を調節して、弱進展で待っていると現れやすい」とあって、何だか「虹を見た」的な所見とも言えるかもしれません。
 通常はきれいに輪状ひだになりますが、深達度が深い表在食道癌ですと、このひだが途中で途絶もしくは消失するといわれています。

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http://medicalfinder.jp/doi/abs/10.11477/mf.1403113276?journalCode=1403

 ✓ 畳目サインは表在食道癌の深達度評価に有用

 

 

コリン作動性クリーゼ Cholinergic crisis

 忘れた頃にやってきますね。やはり注意すべきはウブレチドⓇ(臭化ジスチグミン)です。コリンエステラーゼ阻害剤として神経因性膀胱に対して処方されていることが多い薬剤ですが、ChEが必要以上に阻害されると、呼吸困難を伴う重篤な症状が出ることがあります

 初期症状は下痢・腹痛、悪心・嘔吐、唾液分泌過多、発汗、徐脈、縮瞳など、ACh過剰による副交感神経の優位な状態を作り出してしまいます。どうも日本で報告が多い模様ですが、何故かというと、日本で認可されている5-20mgという量が通常よりも多すぎることに起因する模様です。本来は、5mg頓用くらいで使われているのが一般的な模様ですから、だいぶ過剰に使いすぎなのかもしれません。

  ✓ 口渇・流涎・発汗・徐脈・縮瞳・下痢でコリン作動性クリーゼに気付こう。