栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:水疱性病変/高Ca血症/SLE×妊娠/肺結節影の評価

MKSAPなかなか更新できずすいません~!!

水疱性病変
Blistering rash

❶症例 
 77歳男性。3-4週間前から掻痒感のある水疱性病変が、胸部、背部、上下肢に出現。蕁麻疹のような発赤から始まった。環境曝露なく、化学物質や化粧品などへの曝露もない。保湿剤や亜鉛華軟膏塗布してもよくならない。既往歴なく、OTC含め内服はない。

 
 身体所見ではgeneralよく、バイタルも異常なし。緊満した1㎝程度の水疱性病変が体幹、四肢に散在している。結膜、口腔内に粘膜疹はない。
Figure 56.
(MKSAPより)

 治療は?
A.  アシクロビル
B.  セファレキシン
C.  ヒドロキシジン
D.  プレドニゾン

 ❷水疱性病変
 この患者は類天疱瘡である。自己免疫性の水疱性病変であり、高齢者によく起こる。ステロイドによる治療で症状、皮疹の治癒が早い。類天疱瘡は数ヶ月から数年の経過をたどるので、ステロイドの投与期間短縮のためにもアザチオプリンやミコフェノール酸による代替療法を行うべきである。一部の患者ではテトラサイクリンとニコチン酸アミドの併用が効果を認めている。病変が軽微で局所的な場合は外用ステロイドでも治療できる。水疱性皮膚病変の鑑別は広く、自己免疫性、アレルギー性、接触性皮膚炎、感染症、薬物反応などがある。診断には水疱と数mm離れた所からの生検、免疫染色が必要である。

❸その他の選択肢
アシクロビル:この患者の大きな水疱はヘルペス性の水疱にしては非典型的で、分布からも帯状疱疹は疑われない。アシクロビルは不適切である。

セファレキシン全身に広がる水疱にしては全身状態よく発熱もないため感染症の可能性は低い。セファレキシン投与は必要ない。二次感染のモニターは必要で、痛みが増したり、発赤、化膿、発熱、白血球上昇に注意する。

ヒドロキシジン:ヒドロキシジンのような抗ヒスタミン剤は痒みを緩和できるが、水疱を起こしている炎症の治療はできない。

Key Point
✓ 類天疱瘡の治療はステロイド全身投与

Kirtschig G, Middleton P, Bennett C, Murrell DF, Wojnarowska F, Khumalo NP. Interventions for bullous pemphigoid. Cochrane Database Syst Rev. 2010;(10):CD002292. PMID: 20927731

 

 

高Ca血症
Hypercarcemia

❶症例
 58歳女性。定期診察。頭痛、胸やけ、胸部不快感、無気力、落ち込み、骨痛はない。変形性関節症があり、1年前、旅行で歩いている時に脛骨遠位を骨折している。尿路結石の既往はなく、内分泌疾患、尿路結石、骨疾患の家族歴はない。内服はイブプロフェン頓服とマルチビタミン

Albumin

4.1 g/dL (41 g/L)

Blood urea nitrogen

20 mg/L (7.1 mmol/L)

Calcium

11.1 mg/dL (2.8 mmol/L)

Creatinine

0.7 mg/dL (61.9 µmol/L)

Estimated glomerular filtration rate

65 mL/min/1.73 m2

Parathyroid hormone

63 pg/mL (63 ng/L)

T-scoreは腰椎-1.8、骨盤-2.0、大腿骨頚-2.2、橈骨遠位―2.2

 次の一手は?
A.  ビスホスホネート
B.  骨シンチ
C.  副甲状腺切除術
D.  PTHrP測定

E.  1年後のCaフォロー

 ❷高Ca血症の評価

  この患者は副甲状腺切除術をすべきである。高CaでPTHが正常高値なのは原発副甲状腺機能亢進症のパターンである。PTHは正常範囲を超えないが、高カルシウム血症の状態からすれば不適切に高値である。副甲状腺機能亢進症の患者は無症状であれば、密に経過観察し、非外科的に治療可能だが、尿路結石不整脈に代表される症状がある場合は副甲状腺切除術の適応がある。他に外科的切除が推奨されるのは、症状に寄らず、正常値を1.0mg/dl超えている、CCr<60ml/min、T score<―2.5、脆弱性骨折、50歳以下が挙げられる。この患者の手術適応は脆弱性骨折(自身の身長程度の高さからの落下での骨折)である。骨粗鬆症はないが、骨折の既往は将来の骨折のリスクを上げる。手術の目的は骨密度減少の予防、骨折の予防、副甲状腺機能亢進症の症状出現予防である。

❸その他の選択肢
ビスホスホネート:手術を拒否した場合に有効であるが手術ほどの効果はない。

骨シンチ:骨転移の検索に有用であるが、この患者には不要である。

PTHrP測定:ある種の悪性腫瘍に伴って産生されるが、この患者の高カルシウム血症は明らかに原発副甲状腺機能亢進症によるものであり検査の意義は低い。

1年後のCaフォロー:1年後の再検は手術適応のない原発副甲状腺機能亢進症の患者では適切かもしれない。

Key Point
✓ 脆弱性骨折のある副甲状腺機能亢進症は外科的治療の適応

Bilezikian JP, Khan AA, Potts JT Jr; Third International Workshop on the Management of Asymptomatic Primary Hyperthyroidism. Guidelines for the management of asymptomatic primary hyperparathyroidism: summary statement from the Third International Workshop. J Clin Endocrinol Metab. 2009;94(2):335-339. PMID: 19193908

 

 

SLE×妊娠
Pregnancy with SLE

❶症例

 SLEと最近診断された22歳女性が妊娠前相談で来院。疲労感と朝15分持続する手の痛みを訴えている。バイタル正常、頬部の紅斑あり、IP関節に圧痛あり、滑膜炎はない、視野異常なし。

Leukocyte count

3300/µL (3.3 × 109/L), with an absolute lymphocyte count of 1200/µL (1.2 × 109/L)

C3

Normal

C4

Decreased

Serum creatinine

Normal

Antinuclear antibodies

Titer of 1:160 (homogeneous pattern)

Anti–double-stranded DNA antibodies

Positive

IgG-specific anticardiolipin antibodies

Positive

Urinalysis

Normal

 適切な治療は?
A.  アザチオプリン
B.  ヒドロクロロキン
C.  ミコフェノール酸
D.  プレドニン

E.     無治療

 ❷妊娠中のSLE治療
 ヒドロキシクロロキンは近年、多くの研究でSLEの治療薬としての有用と証明されており、紅斑を予防したり、生存率を上げたりする。また、非可逆的な臓器障害や塞栓症の防止にも効果があるとも言われている。  

❸その他の選択肢
アザチオプリン・ミコフェノール酸:steroid-sparing effectがあり、この患者にはステロイド使用歴がないため、両薬剤は不適。特に、アザチオプリンは、妊娠中の人にはカテゴリーDである。
プレドニン
この患者は、身体所見上も血液検査上も疾患活動性が低く、症状が悪化しない限りは、プレドニンによる治療は不要である。

Key Point
✓ ヒドロキシクロロキンはカテゴリーCであるが妊娠中、比較的安全

Ruiz-Irastorza G, Ramos-Casals M, Brito-Zeron P, Khamashta MA. Clinical efficacy and side effects of antimalarials in systemic lupus erythematosus: a systematic review. Ann Rheum Dis. 2010;69(1):20-28. PMID: 19103632

 

 

肺結節影フォロー
CT follow-up

❶症例

 62歳男性、腎結石フォローで施行したCTで見つかった3mm大の左下肺野の肺結節の評価で来院。35箱/年の過去の喫煙歴があるが、10年以上前に禁煙。身体所見やバイタルは正常。

 フォローは?
A.  3ヶ月後
B.  6か月後
C.  12か月後
D.  不要

 ❷肺結節影のフォロー

 肺がんのリスクのある人において、4mm以下であれば、がんのリスクは1%未満であり、リスクのない人では、フォローの必要もないというStudiesがある。4 mm以上であればガイドラインに沿ってフォローすべき。過去の画像のない8mm以上の肺結節であれば、さらなる画像検索や生検が必要。胸部CTで2年間同様の大きさである固形の結節は良性と考えられる。4mm以下のサイズは悪性の可能性が低いので、短期間でのフォローは不要である。

Key Point
✓ 喫煙歴がある4mm以下の結節は1年後フォロー

Gould MK, Fletcher J, Iannettoni MD, et al; American College of Chest Physicians. Evaluation of patients with pulmonary nodules: when is it lung cancer?: ACCP evidence-based clinical practice guidelines (2nd edition). Chest. 2007;132(3 suppl):108S-130S. PMID: 17873164

 

MKSAP for Students 5

MKSAP for Students 5

 
MKSAP 16: Medical Knowledge Self-Assessment Program (Set of 2 Parts)

MKSAP 16: Medical Knowledge Self-Assessment Program (Set of 2 Parts)