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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:中枢性尿崩症の診断/副腎不全と退職率/肩は肩か?

カンファ 内分泌 脳外 整形 診断 病歴

新入院が少ない週でして・・・
たいした話はしていないのですが、過去のネタも含めてまとめてみます。

中枢性尿崩症の原因 Causes of diabetes insipidus

 中枢性尿崩症自体を自分で診断する機会は非常に稀だと思います。これはもちろん診療セッティングによって違うのでしょうが、総合内科的に診療している医師で、しょっちゅう診断しているという方は少ないのでは無いでしょうか?

 患者数は本邦では10万人に7-10人とも言われ、やはり稀少疾患です。日本国内では4000-5000人程度で、下垂体性ADH分泌異常症として難病指定となっています。視床下部〜下垂体後葉系の異常が原因ですが、脳腫瘍やリンパ球性下垂体炎などの器質疾患が原因となって発症する続発性中枢性尿崩症が60%、特に器質性疾患のない特発性が40%弱、常染色体優性遺伝形式をとる家族性が1-2%と言われています。

 続発性で最近注目されているのは、リンパ球性漏斗下垂体後葉炎です。ただ、前葉ホルモンも同様に欠乏する汎下垂体炎を呈することもあり、視床下部性と下垂体性が混在することがあります。
 また、鑑別として、胚細胞腫・ラトケ嚢胞・全身性肉芽腫性疾患(サルコイドーシス・Wegener肉芽腫症・ランゲルハンス細胞組織増加症など)・炎症性肉芽腫(結核・真菌など)・IgG4関連疾患などが挙げられます。

 ✓ 中枢性尿崩症の原因で最も多いのが続発性

 

 

副腎不全と退職率 Resign with adrenal insufficiency

 副腎不全の診断をつけるにあたって、後医は名医だよなあと自戒を込めて(自分が見逃している可能性も含めて)思うわけですが、結構うつ病などの精神疾患と間違われている方がそれなりにいらっしゃいます。レジデント時代にも精神科に紹介されていた患者が、「これは精神科疾患では無いからもう一度内科で診てもらいなさい」と言われたと来られた方がACTH単独欠損症でした。
 
 そもそもが副腎不全の症状として精神症状が報告されています。具体的には記憶障害やせん妄、混迷などの神経症もあれば、抑うつ症状については20-40%で報告され、無気力・思考力低下などがあると言われています。これらの精神症状は病初期から診られることも多いため、副腎不全の診断に至るのはさらに難しくなります。

  これと合わせて仕事への影響が出る方もいると言われていて、いつもお世話になっているHospitalistさんのブログでも

Hospitalist ~病院総合診療医~: 副腎不全②: 症状, 検査, 治療

 副腎不全の方で仕事を退職した方が25%、転職やシフト変更なども数%あると言われており、特に二次性では退職率が高いんだそうです。Am J Med Sci 2010;339(6):525–531
 
 まあ、他の病気の退職率はよく分からないのですが、色々な意味で影響が出るのだなあと改めて感じました。

 

内分泌機能検査実施マニュアル (診断と治療社内分泌シリーズ)

内分泌機能検査実施マニュアル (診断と治療社内分泌シリーズ)

 

 ✓ 副腎不全の精神症状に注意。退職率も増える

 

 

肩は肩か? Shoulder is real?

 「肩が痛いです」と言われて、あ〜肩ですね。なんて言って、診察もせずに肩のレントゲンを撮ると、レントゲンの技師さんから、「先生、あの人 肩じゃなくて背中が痛いみたいですよ」って、電話がかかってくるのは、整形外科あるあるでしょうか?

 患者さんが訴える「肩」はしばしば肩関節部分ではなくて後頚部〜僧帽筋付近を指していることがあるように思います。確かに、そこを首と表現するのは微妙ですし、背中とは呼びにくいという部分があるように思います。

 これ、実はレントゲン撮るときの問題だけではなく、病歴でも同様です。「肩が痛いです」を文字通り肩関節と取るのと、項背部と取るのとでは、鑑別が全く変わります。研修医のプレゼンを聞いて実際に診察に言ったら「肩じゃないね、ここは・・・」ということはたまにある気がします。まあ、まずは痛いというところをよく確認しましょうね。

  ✓ 痛い場所はきちんと診察して確認を