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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:Prospective cohort 抗コリンリスクスコアは高齢者の抗コリン有害事象を予測するか

The Anticholinergic Risk Scale and Anticholinergic Adverse Effects in Older Persons
抗コリンリスクスコアは高齢者の抗コリン薬有害事象を予測するか

Arch Intern Med. 2008;168(5):508-513

【背景】
 抗コリン系薬剤の副作用として、高齢者の転倒やせん妄、認知機能低下と関連する。このリスクを評価するために、抗コリンリスクスケール(ARS)を作成し、一般的に処方される抗コリン作用のある薬剤のランクをカテゴリー別に分類した。

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(本文より引用)
 この研究の目的は、ARSスコアが抗コリン系の副作用を予測するかどうかを高齢者コホート(GEM)とプライマリケアコホートで検証した。
【方法】
  132人のGEMコホート患者が後ろ向きに内服薬を評価され、ARSと抗コリン副作用の可能性があるものを調査した。
 プライマリケアクリニックの117人の65歳以上の高齢者を前向きに評価し、薬の調整を行い、抗コリン副作用を確認した。ARSスコアと抗コリン副作用との関連を評価し、ポアソン回帰分析を行った。
【結果】
 GEMコホートにおいてARSスコア髙値と抗コリン副作用リスクは相対リスクRR 1.5(1.3-1.8)と有意に相関した。また、プライマリケアコホートでもRR 1.9(1.5-2.4)とリスクに相関した。年齢や内服薬数を調整しても、ARS髙値はGEMコホートで抗コリン副作用と相関(調整RR 1.3:1.1-1.6、C-statistic 0.74)、プライマリケアコホートでも相関(調整RR 1.9:1.5-2.5、C-statistic 0.77

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(本文より引用)
【結論】
 ARSスコア髙値は有意に高齢者の抗コリン薬有害事象を関連した。

【批判的吟味】
・いわゆるPrediction rulesの作成でderivation cohortとvalidation cohortでの検証が行われた訳ですが、だいぶ規模は小さいです。
・論文のPICOは
P:高齢者で抗コリン薬を内服している
I/C:ARSの値
O:抗コリン薬副作用
T:前向き観察研究
・2つのコホート研究での違いは年齢・ARSスコア・転倒・混乱・口渇などの頻度です。
・ARSスコア1点以上で抗コリン副作用と相関。ただしもっと大規模な検証が必要ですね。

【個人的な意見】
 こういった予測スコアは重要ではありますが、個人的にはTable 4の薬剤リストが勉強になりました。今後の検証が楽しみです。

✓ ARSスコアは高齢者の抗コリン薬剤有害事象を予測する