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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics ロスバスタチンは中等度心血管リスク患者の心血管イベントを減らす

ACPJC 論文 薬剤 循環器 代謝

ACPJCまとめです。
クレストールⓇの研究はJUPITERが有名でしたが、結構微妙な研究で早期終了かつ糖尿病を増やすと言う副産物ももたらした研究でした。もちろん企業サポート。うーむ・・・というわけで今回です。

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Cholesterol lowering in intermediate-risk persons without cardiovascular disease.

Yusuf S, Bosch J, Dagenais G, et al; HOPE-3 Investigators.  

N Engl J Med. 2016;374:2021-31.

 

臨床上の疑問:
 中等度の心血管リスク患者で、ロスバスタチン(クレストールⓇ)は心血管イベントを減らすか?

方法:
デザイン:ランダム化比較試験/プラセボ対象(HPE-3 trial)

割り付け:隠蔽化

盲検化:盲検化(患者・担当医・アウトカム評価者・委員会)

フォローアップ期間:平均5.6年

セッティング228箇所21ヵ国6大陸

患者12705人の55歳以上の男性と65歳以上の女性で、心血管リスクが1つ以上(手首臀部比・糖代謝異常・軽度腎障害・最近のタバコ・HDL低値・冠動脈疾患の家族歴)の心血管リスクがあるか、60歳以上で2つ以上のリスクがある患者を対象とした。
 4週間の
run-in-periodを設け血圧と脂質の治療を行った。その間有害事象は起こらなかった
 除外基準は、心血管疾患既往やスタチン・ACE阻害薬・ARB・サイアザイド系薬剤の禁忌。
 平均年齢は66歳、54%が男性だった。

介入:ロスバスタチン 10mg/日(n=6361人)、プラセボ群(n=6344人)。患者は全てカンデサルタン/ヒドロクロロチアジド群とプラセボ群の2×2に割り付けられた。

アウトカム:プライマリアウトカムは、主要心血管イベントの複合アウトカムで、心血管死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の合計だった。更に蘇生された心停止・心不全・血行再建も評価した。セカンダリアウトカムは、プライマリアウトカムの各指標、全死亡、新規発症糖尿病、副作用、薬剤中止率とされた。

患者追跡率:99%追跡されITT解析が行われた。

結果:
 メインの結果は以下の表の通りで、プライマリアウトカムの複合アウトカムと、心筋梗塞脳卒中、血行再建は有意にロスバスタチン群が少なかった。全死亡や新規発症糖尿病は有意差がつかなかった。ロスバスタチンは筋痛や筋力低下が増加したが、中止率には差が無かった。

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(本文より引用)

結論:
 中等度の心血管リスク患者で、ロスバスタチンは心血管イベントを減らす。

 まあ、これも製薬企業ファンドですが・・・このHOPE3研究自体は2×2のFactrialデザインでちょっと分かりにくい構造にはなっています。このようなデザインだと2つの薬剤がアクティブに動くので、相互作用は考慮する必要があるかもしれません。
 結果として、ロスバスタチンの心血管イベント減少効果は24%(9-35%)でしたが、カンデサルタン/ヒドロクロロチアジドの血圧低下効果は証明されませんでした。
 今回、スタチン+降圧薬のコンビネーション群の方が薬剤関連有害事象が多かったとされており、筋力低下やめまいなどの訴えがありました。

✓ ロスバスタチンは中等度の心血管リスク患者の心血管イベントを減らす