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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:SR 外来の皮膚手術や歯科手技時の滅菌手袋と非滅菌手術の比較

外来の皮膚手術や歯科手技時の滅菌手袋と非滅菌手術の比較
Comparison of sterlie vs nonsterlie gloves in cutaneous surgery and common outpatient dental procedures*1

JAMA Dermatol. doi:10.1001/jamadermatol.2016.1965 Published online August 3, 2016.

【背景】
 外来の皮膚科手技時に滅菌手袋を使うか通常の手袋を使うのかによって、術後感染の頻度が増えたりするかについては結論が出ていない。
【目的】
 外来皮膚処置時の滅菌・非滅菌手袋着用時の手術部位感染(SSI)の違いを評価する
【データ元】
 システマティックレビューとメタ解析が行われ、MEDLINE(1946年〜)、Cochrane cenrtral regitter controlled trial(1991年〜)、EMBASE(1988年〜)、EBSCO Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature (1980〜)、Scopus (1996〜)、Web of Science (1975年〜)が検索された
【選択研究】
 外来手技での滅菌・非滅菌手袋を使用した研究が抽出された。ランダム化比較試験と観察研究が最終解析された。
【データ抽出】
 研究デザイン・外科手技の特徴・アウトカムなどが報告・未報告データも含めて毒散るして抽出された。
【メインアウトカム】
 ランダム化比較試験は、ランダム化・割り付け隠蔽化・盲検化・フォローアップ率が適切であれば良いクオリティと評価された。相対リスクと95%信頼区間は術後創部感染について算出された。
【結果】
 14研究が組み入れ基準を満たしシステマティックレビューで評価された。全体で12275人のデータであり、何かしらの外科的手技が施行され、滅菌もしくは非滅菌の手袋を利用して術後の手術部位感染が評価されていた。観察研究の一群1204人が除外され、13研究11071人がメタ解析された。
 228患者(2.1%)が術後手術部位感染を発症していた。非滅菌手袋群で107/5031人(2.1%)、滅菌手袋群で121/6040人(2.0%)だった。手術部位感染の相対危険度はRR 1.06(0.81-1.39)で両群に有意差を認めなかった

f:id:tyabu7973:20160806163956j:plain

(本文より引用)
【結論】
 外来での外科手技の際には滅菌手袋でも非滅菌手袋でも手術後創部感染の頻度は変わらなかった。

【批判的吟味】
・まずは論文のPICOから
P:外来外科的手術を行う患者
I:滅菌手袋使用
C:非滅菌手袋使用
O:手術部位感染の頻度
T:ステマティックレビュー・メタ解析
・Supplementalも見ていますが、SSI発症頻度はどんなに多くても10%はいかず、多くは5%未満です。
・そもそものイベント発症頻度が少なく個々の研究では、95%信頼区間が広くて有意差がついていません
・今回はそういった意味では過去最大規模の検証と言えます。
・Funnel plotなしで出版バイアスの評価は客観的に出来ませんでしたが、各研究は比較的risk of biasが低いと言われていました。観察研究も多いです。
・サブグループ解析で見ると、歯科領域の術後感染は有意差はつかないものの非滅菌手袋の方が多い傾向が見られています。ここは興味深い。
・非滅菌でも良いのでは?という理由の一つは医療費の問題。某通販会社で調査してみると、滅菌済み手袋1枚で300円、非滅菌手袋 100枚で3240円でしたので約10倍ほど違います。
【個人的な意見】
 まあ、最終的に差がないので、どちらでも良いという結論にもなりますかね。滅菌手袋による害はそれほどないでしょうから。ただ、医療コストを考えると、どっちでも良いよねとなります。
 でも研究で実際の臨床は違いますよね。この辺りは現場感覚で最終判断していくのだろうなと思いました。

✓ 外来での外科手技の際には滅菌手袋でも非滅菌手袋でも手術後創部感染の頻度は変わらなかった