栃木県の総合内科医のブログ

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ACPJC Etiology:65歳未満の成人では抗うつ薬は心血管リスクを増やさなかった

ACPJCまとめ。
抗うつ薬の負の側面って色々検証されていますが、当初出てくるセンセーショナルな部分から徐々に落ち着いた論調になってきますね。
まあ、きちんと検証することが大事です。

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Antidepressant use and risk of cardiovascular outcomes in people aged 20 to 64: cohort study using primary care database.

Coupland C, Hill T, Morriss R, et al.

BMJ. 2016;352:i1350.

 

臨床上の疑問:
 65歳未満のうつ病成人では、抗うつ薬治療と心血管リスクが関連するか?

方法:
デザイン:英国プライマリケア研究データベース(QResearch)観察研究データの解析、5年フォローアップ

セッティング:英国687カ所のプライマリケア診療所

患者:2000-20011年の間に新規にうつ病と診断された20-64歳(平均40歳、61%女性)の238963人が対象となった。
 除外基準は、うつ病診断前12か月以内の組み入れ、過去のうつ病既往、統合失調症双極性障害、他の精神疾患、過去にリチウムや気分安定剤の使用、診断から3年以上経過など。
 対照期間は、抗うつ薬曝露がない期間とした。

リスク因子抗うつ薬曝露(三環系抗うつ薬:TCAs、選択的セロトニン再取り込み阻害薬:SSRIs、他の抗うつ薬:ベンラファキシン・ミルタザピン等)。曝露期間は薬剤中止から90日までとした。

アウトカムプライマリアウトカムは、不整脈心筋梗塞脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA。HRは非曝露期間と比較して算出された。

結果:
 88%の患者が抗うつ薬を1種類以上処方されていた。71%がSSRIsで16%がTCAs、その他が13%だった。抗うつ薬と心血管イベントとの関連は以下。

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(本文より引用)

結論:
 65歳未満のうつ病成人では、抗うつ薬治療は不整脈心筋梗塞脳卒中/TIAなどの心血管リスクと関連しなかった。

 うつ病性障害はプライマリケア領域でも診療の一翼を担う必要があり、SSRIsなどの抗うつ薬の使用にはプライマリケア医も精通しておく必要があります。そして、薬剤使用の負の側面の情報収集は重要なポイントです。
 たとえば、過去のもので言うとシタロプラムエスシタロプラム(レクサプロⓇ)はQT延長との関連が報告されています。
 今回のコホート研究でシタロプラムは最も処方され全体の32%を占めたと言われています。本邦では未発売ですが・・・そしてフルオロキセチンに至っては不整脈心筋梗塞が少なかったというサブ解析もありました。

✓ 65歳未満のうつ病成人では、抗うつ薬治療は不整脈心筋梗塞脳卒中/TIAなどの心血管リスクと関連しなかった