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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:間欠的菌血症/肺炎球菌尿中抗原の偽陽性/髄膜炎合併症としての脳膿瘍

カンファ 感染症 神経 診断 検査

カンファねたは夏休みの突入中ではありますね。
今週私も休む予定ですよ笑

間欠的菌血症 Intermittent bacteremia

 血液培養が生えたり生えなかったりすることがあるわけですが、多くの菌血症は持続性ではなく間欠的なことが多いわけです。
 
 菌血症は主に3つに分類されます。これはCIDのThe Clinical Importance of Microbiological Findings in the Diagnosis and Management of Bloodstream Infectionsに良い表が掲載されていたので、載せてみます。

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(文献より引用)

 上記によれば歯ブラシや消化管生検などの際に一瞬だけ菌血症になるtransient bacteremiaは数分から数時間と言われています。

 今回カンファで話題になったのは、Intermittent bacteremiaで間欠的菌血症とも言います。間欠的な菌血症は同一病原微生物が、血中から検出されたり、排除されたりを繰り返しているものを指します。これは脾臓などの網内系で捉えられ殺菌処理されていると考えられます。この場合、多いのは閉鎖腔の感染症であり、具体的には腹腔内膿瘍や軟部組織膿瘍、肝膿瘍や胆管炎、肺炎や骨髄炎なども鑑別に上がってきます。実際にはほとんどの血液培養陽性患者が間欠的菌血症です。そうなるといつ取るべきか?というのがポイントですが、過去の1400人の菌血症患者での発熱と血液培養採取タイミングには明確な関係性は無かったと報告されています。難しいところですね。
 ちなみに持続的菌血症は感染性心内膜炎など感染の主座が血管内にあることが多いとされています。

 ✓ 間欠的菌血症は閉鎖腔の感染症を考慮する

 

レジデントのための感染症診療マニュアル 第3版

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肺炎球菌尿中抗原の偽陽性 Pseudopositive of pneumococcal urinary antigen

 結論としては、出さなくて良かったよね〜ってのが話題なんですが。研修医の方から、「この検査出したせいで訳分からなくなっちゃったから、出さない方が良かったです」っていうコメントが聞かれるようになるって本当に嬉しいです。

 尿中肺炎球菌抗原の特異度は80-100%程度と言われておりますので、逆に言えば偽陽性(1-特異度)は最大で20%程度あるとも言えます。特異度が80%ってかなり高いですが、こういった検査の走査特性を考える場合、最も重要なのは検査前確率です。そもそも肺炎も無いような人に出すような尿中抗原は、検査前確率がかなり低い方に出す検査になりますので、たとえ尿中抗原が陽性になっても十分信頼できないわけです。

 特に尿中抗原が弱陽性を来すことがあり、例えば臨床上改善している肺炎球菌性肺炎の患者で、1ヶ月後に陽性と判定された患者の64%は弱陽性だったという報告もあります。更には保菌やワクチン接種などが影響する可能性も報告されており、やはり検査前確率の低い患者さんに対する検査は努々行うなかれですね。

✓ 尿中肺炎球菌抗原は特異度が高いとはいえ偽陽性がありえる。検査前確率が重要!

 

 

髄膜炎合併症としての脳膿瘍 Complication of bacterial meningitis

 市中病院で細菌性髄膜炎を診る機会はそれほど多くはありませんが、ある程度診断・検査・治療に習熟しておく必要があります。さて、細菌性髄膜炎の神経学的合併症について、493人の患者のレビューによると約28%の患者さんに1つ以上の何かしらの神経学的合併症を来すことが報告されています。
 具体的には、

精神障害
・頭蓋内圧上昇・脳浮腫
・痙攣
・神経巣症状(脳神経障害・片麻痺
・脳血管障害
・感音性難聴/伝音性難聴
知的障害

 などが多く報告されています。また、稀ですが脳膿瘍を合併する症例も報告されておりますが、この場合問題になるのは髄膜炎治療中の合併症としての脳膿瘍なのか、当初から脳膿瘍を見逃していなかったか、血流感染が隠れている可能性がないかどうかを検討する必要があります。
 脳膿瘍の原因として、炎症の直接波及があり、具体的には副鼻腔・歯科感染・中耳・髄膜炎などが言われています。

  ✓ 髄膜炎の合併症としての脳膿瘍は稀だが気をつけるべき合併症