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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics 抗血小板薬内服中の脳出血では、血小板輸血は死亡や後遺症が増える

ACPJCまとめ。
こういった病態生理での論理を実際に検証する作業は重要ですよね。何が良くないんでしょうかねえ。原文読んでないので、どのくらいの血小板値で輸血したかは分かりませんが・・・

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Platelet transfusion versus standard care after acute stroke due to spontaneous cerebral haemorrhage associated with antiplatelet therapy (PATCH): a randomised, open-label, phase 3 trial.

Baharoglu MI, Cordonnier C, Salman RA, et al; PATCH Investigators.

Lancet. 2016;387:2605-13.

 

臨床上の疑問:
 抗血小板薬内服中の脳出血患者では、血小板輸血が死亡や後遺症を減らせるか?

方法:
デザイン:ランダム化比較試験(Platelet Transusion in Cerebral Haemorrhage:PATCH trial)

割り付け:隠蔽化

盲検:二重盲検(アウトカム評価者やデータ解析者)

フォローアップ期間:3ヶ月

セッティング:オランダ・英国・フランスの60カ所の医療センター

患者:18歳以上の成人190人(平均74歳、男性59%)で、画像で確認された非外傷性のテント上脳出血で、意識レベルがGCS 8-15、COX阻害薬(アスピリン等)、ADP受容体拮抗薬(プラビックス等)、アデノシン再取り込み阻害薬を出血前に7日以上内服していた患者。
 除外基準は、血小板輸血を6時間以内に受けている、出血前のmRSが≧2、日常生活が自分でできない、硬膜下・外出血、動脈瘤、動静脈奇形、入院24時間以内に手術予定、ビタミンK拮抗薬使用や凝固異常症の既往、心室内血腫、血小板減少症、致死的な状態。

介入:通常ケアに加えて血小板輸血群(n=97)、通常ケア群(n=93)。白血球除去血小板輸血が出血症状出現6時間以内、画像診断90分以内に投与された。COX阻害薬の場合1単位、ADP受容体拮抗薬では2単位投与とした。

アウトカム:機能予後であるmRSが3ヶ月後に評価された。セカンダリアウトカムは、3か月時点での生存率と重度の有害事象。

患者フォローアップ:100%(ITT解析)

結果:
 血小板輸血群の方が機能予後が悪く死亡もしくは障害度が高い傾向だった。

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(本文より引用)

結論:
 抗血小板薬治療中の脳出血患者では、血小板輸血は死亡率と後遺症を増やす。

 理論的には良いはずなんですけどね。この辺りが病態生理だけで、医療介入をしてはいけないという典型例でしょうか。もともとは、絶対リスク減少が20%あると見積もられていた様ですが、結果は逆になってしまいました。
 血小板輸血の出血増大に対する効果は出血後24時間時点ではほとんど認められず、重篤ではなかったものの出血・血栓合併症が輸血群で有意に増えた。
 今回初めて見た用語「Screening to inclusion ratio」。これは用はどのくらい組み入れに至ったかという指標ですよね。これがあまりにも低すぎると、現実の症例には適応しにくいということになるかもしれません。

✓ 血小板輸血群の方が機能予後が悪く死亡もしくは障害度が高い傾向だった