栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:RCT 糖尿病ケア目標達成のための多角的な質改善戦略の効果 

糖尿病ケア目標達成のための多角的な質改善戦略の効果
Effectiveness of a multicomponent quality improvement strategy to improve achievement of diabetes care goals*1
Ann Intern Med. doi:10.7326/M15-2807

【背景】
 世界的に糖尿病ケア目標への達成は十分とは言えない。糖尿病にフォーカスした質改善(Quality Improvement)は、効果的だが南アジアでは検証されていない。
【目的】
 コントロール不良の糖尿病患者に対して、多角的な質改善戦略と通常ケアを比較し、心血管代謝プロファイルを比較する
【デザイン】
 オープンラベルのpragmatic RCT
【セッティング】
 インドとパキスタンの糖尿病クリニック
【患者】
 1146人の2型糖尿病患者で、介入群 575人、通常ケア群 571人。心血管プロファイルは不良で、HbA1c ≧8%かつ収縮期血圧≧140mmHg ± LDL ≧ 130mg/dL
【介入】
 多角的質改善戦略には、非医師によるケアコーディネートと、電子カルテでの意志決定サポート(DS-EHR)が含まれる
【アウトカム測定】
 プライマリアウトカムは、HbA1c 7%未満の到達率+血圧<130/80mmHg ± LDL<100mg/dL
 セカンダリアウトカムは、危険因子の減少・健康関連QOL・治療満足度
【結果】
 ベースライン特性は両群で同等だった。糖尿病の平均罹病期間は7.0年で、6.8%が心血管疾患、39.4%が微小血管合併症に罹患していた。平均HbA1c 9.9%、平均血圧 143.3/81.7mmHg、平均LDL値 122.4mg/dLだった。
  平均28か月フォローされ、介入群の方がプライマリアウトカムに達成する割合が高かった(介入群 18.2%、対照群 8.1%、RR 2.24:1.71-2.92)HbA1cは介入群で0.5%(0.69-0.32%)有意に低下、収縮期血圧は4.04mmHg(5.85-2.22mmHg)、拡張期血圧は2.03mmHg(3.00-1.05mmHg)、LDLコレステロールは、7.86mg/dL(10.90-4.81mg/dL)低下していた。また、健康関連QOLと患者満足度も介入群の方が高かった

f:id:tyabu7973:20160821230955j:plain(本文より引用)

【限界】
 都市部の糖尿病専門クリニックのデータである
【結論】
 糖尿病ケア目標達成のための多角的な質改善は資源が不充分なクリニックでも効果がある。
【資金提供】
 国立心臓・肺・血液研究所・UnitedHealth Group

【批判的吟味】
 まずはいつも通りの論文のPICOから。
P:インド・パキスタンの都市部糖尿病専門クリニックに通院するコントロール不良の2型糖尿病患者
I:多角的な質改善戦略介入群
C:通常ケア群
O:HbA1c値・血圧値・LDLコレステロール
T:ランダム化比較試験
・気になるのは、多角的な質改善介入って何よ?ってとこですよね。中身として、医師以外にケアコーディネーター(CC)がいて、患者のリスクレベルやアドヒアランスに合わせてフォローアップを個別化し、3ヶ月毎に検査や予約をアレンジ1か月に一度は患者と電話連絡し、糖尿病の自己管理や、食事・運動療法の遵守や禁煙、やくざいしよ
う、自己血糖測定やストレスマネージメントについてアドバイ
する。
・意志決定支援電子カルテ(DS-EHR)を用いて、エビデンスに基づいたアルゴリズムを作成。CCはDS-EHRのアクセス権を持ち、患者情報を入力し、実際に治療を行う医師に確認・修正をお願いする。
・CCは事前トレーニングを受けて対応方法を学んでいる。
【個人的な意見】
 非常に興味深いです。このCCの皆様はある意味コンシェルジュみたいな感じですよね。過去の類似研究にSteno-2研究がありました。何にせよ、実臨床ではこの診療の質改善が重要であり、ここへの介入だけで血糖も血圧も下がるよ〜ということですかね。真のアウトカムは未検証ではありますが、求む!コンシェルジュ!といったところでしょうか・・・

✓ 糖尿病ケア目標達成のための多角的な質改善は資源が不充分なクリニックでも効果がある