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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics 75歳以上の高齢高血圧患者では、厳格降圧治療および通常降圧治療のどちらが心血管イベントを減らすか

ACPJC 論文 循環器

ACPJCまとめ。
有名なSPRINT研究に対するACPJC
コメントがとても勉強になります。

f:id:tyabu7973:20160822230343j:plain

Intensive vs standard blood pressure control and cardio- vascular disease outcomes in adults aged > 75 years: a randomized clinical trial.

Williamson JD, Supiano MA, Applegate WB, et al; SPRINT Research Group. 
JAMA. 2016;315:2673-82.

 

臨床上の疑問:
 75歳以上の高齢高血圧患者では、厳格降圧治療と通常降圧治療で臨床アウトカムは改善するか?

方法:
デザイン:ランダム化比較試験のサブグループ解析(Systolic Blood Pressure Intervention Trial:SPRINT)

割り付け:隠蔽化

盲検:二重盲検(アウトカム評価者)

フォローアップ期間:平均3.14年

セッティング:米国100カ所の医療機関

患者:2636人の75歳以上の高齢高血圧患者(平均80歳、62%が男性、平均血圧 142/71mmHg)が対象
ベースラインとして、
収縮期血圧130-180mmHgで内服薬0-1種類
収縮期血圧 130-170mmHgで内服薬2種類
収縮期血圧 130-160mmHgで内服薬3種類
収縮期血圧 130-150mmHgで内服薬4種類
が組み入れられた。
 除外基準は、2型糖尿病脳卒中既往・左室収縮能<35%・起立1分後の収縮期血圧<110mmHg・施設入所者

介入:厳密降圧群<120mmHg(n=1317人)、通常降圧群<140mmHg(n=1319人)

アウトカムプライマリアウトカムは心血管イベント(心血管死亡・心筋梗塞・急性冠症候群・脳卒中・急性非代償性心不全)の複合アウトカム。他には、全死亡や腎合併症、重篤な副作用など。

患者フォローアップ:95%

結果:
 厳格降圧群の方がプライマリアウトカムが有意に少なく、全死亡も有意に少なかった。

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(本文より引用)

結論:
 75歳以上の高齢高血圧患者では、厳格降圧治療は通常降圧治療と比較して心血管イベントと全死亡を減らす

 有名なSPRINT研究。厳格治療群は結果123mmHgに到達し、通常治療群は135mmHgだったので、当初設定した<120mmHg vs 140mmHgとは若干目標値が異なっています。
 
はたして血圧目標値を120mmHg以下に変更すべきでしょうか?コメントでは現時点では時期尚早かもとされています。一つは、血圧の測定方法の問題で、SPRINT研究ではスタッフがいない静かな部屋で5分間経過した後で1分間隔で3回血圧を測定するというおよそ現実的にはあり得ない方法で血圧測定が為されています。
 もう一つは絶対リスクが比較的少ないという部分で、アウトカムを1件防ぐために30-40人の治療と降圧薬を1剤追加する必要があります。これはポリファーマシーが問題となっている高齢者では大きな問題であり、絶対リスクを3%減らすと言う目的のために薬剤を1種類追加することが看過できるかは微妙なところです。
 何にせよこの結果を直接額面通りに受け取って介入を行うというのは現時点では意見の分かれるところだろう。

✓ 高齢高血圧患者では厳格降圧治療は通常降圧治療より心血管イベントを減らす