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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics アスピリンは中等度リスク患者の大腸癌発症と死亡を減らす

ACPJC 論文 薬剤 消化器 内視鏡

ACPJCまとめ。
まあ、確かにそうなんですけど、でも内服による長期リスクもありますよね。さすがに一次予防はきつい気がするなあ・・・

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Aspirin for the prevention of cancer incidence and mortality: systematic evidence reviews for the U.S. Preventive Services Task Force.

Chubak J, Whitlock EP, Williams SB, et al. 

Ann Intern Med. 2016;164: 814-25.

 

臨床上の疑問:
 心血管疾患(CVD)一次予防の対象患者では、アスピリンは全癌や全癌死亡を減らせるか?大腸癌リスクが中等度の患者では、アスピリンは大腸癌や大腸癌死亡を減らせるか?

レビュー範囲:
 含まれた研究:経口アスピリン(少なくとも75mg以上連日)とプラセボまたは治療なしを比較した研究で、1年以上フォローし、40歳以上の成人対象。
 抗血栓薬使用や化学予防、過去の悪性腫瘍既往、家族性悪性腫瘍症候群患者は除外。
 アウトカム:①全癌:死亡と発症率、②大腸癌:大腸癌死亡と大腸癌発症率

レビュー方法:
①全癌:PubMed・MEDLINE・Cochrane Register of Controlled Trials(2011-2015)とUSPSTFのリファレンスリストを検索し、英語でRCTと比較試験が検索された。11RCT(平均47-65歳、女性0-100%)とRCTのメタ解析で2つの個別患者データを評価した。

②大腸癌:MEDLINE・Cochrane Register of Controlled Trials(2004-2015)・2007USPSTFレビューとリファレンスリストで、英語のRCTが検索された。メタ解析データの個別患者データ3件(男性>75%)。

結果:
 ①全癌:
  メタ解析では、冠動脈一次予防対象患者では、アスピリンは癌死亡も癌発症も減らさなかった。
 ②大腸癌:
  メタ解析では、アスピリンは18年時点で大腸癌死亡を減らすが、0-12年では減らさなかった。

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(本文より引用)

結論:
 心血管疾患(CVD)一次予防の対象患者では、アスピリンは全癌や全癌死亡を減らさない。大腸癌リスクが中等度の患者では、アスピリンは大腸癌や大腸癌死亡を減らせる。

 今回の報告では、アスピリンは少なくとも全ての悪性腫瘍を減らすと言うわけではない様子です。一方大腸癌予防についてのエビデンスはかなりしっかり証明されたとも言えそうです。相対危険減少33%ですから、2/3になるという感じ。ただ、問題はアスピリンの予防的内服期間で、5-10年ほどは必要になりそうです。
 しかもNNTは145ですから、1人の大腸癌死亡を減らすのに、145人が長期間アスピリンを飲む必要があります。
 

✓ アスピリンは大腸癌死亡を減らすが、その効果は大きくはない