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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

NEJM Knowledge+:17歳女性 術後の低ナトリウム血症

Knowledge+ NEJM 代謝 腎臓

NEJMのKnowledge+です。
今日は朝から〜。典型的症例です!

症例:17歳女性 術後の低ナトリウム血症

 17歳女性が特発性脊椎側彎症の後方固定術のために入院した。周術期合併症はなし。維持輸液を施行し、疼痛は経静脈的オピオイドベンゾジアゼピン系薬剤でよくコントロールされていた。

 尿道カテーテルが留置され、看護師が尿量をチェックし、この数時間で尿量が3ml/kg/hrから0.5ml/kg/hrまで減少した。

 脈拍90bpm、BP 122/68mmHg、意識清明で反応良好だった。心肺診察の結果は正常で、浮腫なし、CRT<2秒だった。

 採血結果は以下の通り

f:id:tyabu7973:20160907064347p:plain(本文より)

尿検査では尿中Na 29mEq/L、尿中浸透圧 600mOsm/kg、比重は1.03(1.001-1.035)だった。

質問. この患者で行うべき適切な対応方法はどれか

  1.   経口ナトリウム補充
  2.   輸液制限
  3.   フロセミド静注
  4.   半生食に5%ブドウ糖液を付加
  5.   3%生理食塩水の点滴

 

Key Learning Point

After initiation of a continuous intravenous insulin infusion in a patient who is in a hyperosmolar hyperglycemic state, the serum sodium level is expected to increase. - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1232/answer/E/?source=qowemail&inf_contact_key=17b5698a6684a395d9fc82ffb22e1fa91de10b4fde895a56d5112390edd38a2a#sthash.U24I63Zx.dpuf
高 血糖高浸透圧状態にある患者において持続静脈内インスリン注入の開始後、血清ナトリウムレベルが増加すると予想される。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1232/answer/E/?source=qowemail&inf_contact_key=17b5698a6684a395d9fc82ffb22e1fa91de10b4fde895a56d5112390edd38a2a#sthash.U24I63Zx.dpuf
患 者に害を引き起こす医原医療ミスを伝えるための適切な方法は、エラーのオープンで正直なアカウントを提供し、患者に正式に謝罪することです。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1015/answer/B/#sthash.vBmBG3vd.dpuf
慢 性閉塞性肺疾患の増悪と高炭酸ガス呼吸不全や肺炎の証拠で入院した患者は、気管支拡張薬治療、全身グルココルチコイド、およびフルオロキノロンまたはマク ロライド系抗生物質で治療すべきである。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/235/answer/A/?source=qowemail&inf_contact_key=5867c46d2a7fbaecc6edeccb8b5f2d7372c2badebfd1c8e5638e924cb4d6a052#sthash.X4dusLJi.dpuf
The gradual development of arm weakness and Horner’s syndrome in an older former smoker is most indicative of a diagnosis of an apical bronchogenic cancer known as a Pancoast’s tumor. - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/932/answer/A/?source=qowemail&inf_contact_key=8b697793f3c2f6a9d68dcdc1826ffea87b269461ef7de16dbcbb80275770fc7a#sthash.YmYXCOj2.dpuf

 無症候性SIADH治療の最初のステップは輸液制限である。

回答 2. 輸液制限

解説:

 本患者はSIADHであり、自由水の排泄障害が原因である。通常のADH分泌反応は、体液量減少や高ナトリウムが原因で起こる。これらの原因がどちらもなければ、腎臓は尿を浸透圧100mOsm/kg程度まで希釈することができる。SIAHD患者では尿中Na値は25mEq/L以上となり、体液量減少は存在せず、RAA系は活性化されていない。更に、SIADHの診断には体液量が正常であることが不可欠である。

 SIADHの原因は多岐に渡っており、腫瘍性、肺・中枢神経感染、内服薬、術後疼痛や嘔気などがある。


 SIADHの管理は程度や重症度、低ナトリウム血症の持続期間によって異なる。多くの軽症から中等症の入院患者の場合には、輸液制限で十分管理可能である。今回の症例は無症状で有り、輸液制限がまず行うべき初期治療であろう。SIADHが改善すれば、速やかに自由水排泄が期待できる。

 高張生理食塩水(3%)は致死的な低ナトリウム血症の治療として用いられ、明らかな急性の神経学的症状を有する患者で適応になる。

 半生理食塩水(0.45%)に5%ブドウ糖を付加することは不適切で、自由水を増やして低ナトリウムを悪化させるかもしれない。

 本患者で経口ナトリウム補給を行うことは信頼できる治療とはいえず、口渇を増加させる可能性がある慢性経過の症例の場合に使用を検討しても良いかもしれない。

 フロセミドの様なループ利尿薬は、髄質の勾配を変化させることによって、最大限に尿濃縮を阻害し、自由水の排泄を亢進させる。うっ血性心不全の様な体液量増加のある低ナトリウム血症患者には適切であり、自由水制限や中等度の症状がある患者に適応となり得る。

Citations

  • Ellison DH and Berl T. Clinical practice. The syndrome of inappropriate antidiuresis. N Engl J Med 2007 May 18; 356:2064.

  • Moritz ML and Ayus JC. Preventing neurological complications from dysnatremias in children. Pediatr Nephrol 2005 Aug 5; 20:1687. 

 さらっと復習でございました。輸液制限からが重要です。時々症状の無い方にがっつり濃い輸液が入ってるのを散見してしまいます。 

Dr.須藤の酸塩基平衡と水・電解質―ベッドサイドで活かす病態生理のメカニズム

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