栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:片頭痛関連めまい/腸管嚢胞様気腫症/敗血症性肺塞栓症

カンファネタです。
少しまとめるの遅くなってしまいました。
来年辺りここをやる人いないかなあ?(笑)

片頭痛関連めまい migraine associated vertigo/vestibular migraine

 めまいの鑑別診断に片頭痛を挙げる人がどのくらいいるでしょうか?外来教育的にもあまり注目されていないようにも思いますが、実は疫学的に頻度が多いと言われており、外来を受診するめまい患者の5-15%が片頭痛関連かもしれないと言われています。

 よく誤診されているのがメニエール病。あとは原因不明の反復性めまいと言われていることもあるそうです。そもそも名称も片頭痛関連めまい(migraine associated vertigo)や片頭痛性めまい(migraineous vertigo)、前庭性片頭痛(vestibular migraine)など呼称も確定していないという状態であり、長らくneglected diseaseの様相でした。

 片頭痛関連めまいの診断基準としてもまだまだぶれている様で複数の診断基準が提唱されています。最も用いられているのが国際頭痛分類第3版(ICHD-3)の分類です。一応以下に掲載しておきます。

■診断基準
A. CおよびDを満たす発作が5回以上ある
B. 前兆を伴うもしくは伴わない片頭痛の既往もしくは現病歴がある
C. 中等度から重度の前庭症状が少なくとも5分以上72時間程度まで持続する
D. 発作の少なくとも50%以上は下記の3つの片頭痛の特徴的な基準の内1つを満たす
 1.少なくとも以下の2項目以上を満たす頭痛
  a) 片側性
  b) 拍動性
  c) 中等度〜重度
  d) 日常生活に支障が出る
 2.聴覚過敏・視覚過敏
 3.視覚的前駆症状
E. その他のICHD-3の頭痛疾患および前庭疾患によらない

 こうやって改めて診断基準を眺めると、めまい診療で重要なのは、持続時間と随伴症状だなあとつくづく思います。”回転性”、”浮動性”とかはあまり役に立たないです。
 もちろん若い人に多いのですが、初発が72歳だったという報告もあり、高齢者にも多い様です。もちろん、急性前庭障害の様相を呈するので、中枢神経疾患との鑑別は難しいときがあります。痛みがあると椎骨・脳底動脈解離とか・・・

 ✓ 片頭痛関連めまいは思っている以上に多いかも

 

腸管嚢胞様気腫症 Pneumatosis cystoides intestinalis

 まあ見たことない人はゲゲゲという感じでしょうね。ポイントはガスが腸管壁内であるということ。小腸でも大腸でも起こり得ます。
 こんな感じ。

http://www.jrheum.org/content/37/10/2194/F1.large.jpg

http://www.jrheum.org/content/37/10/2194/F1.large.jpgより引用)

 以前は致死的な病態と考えられていましたが、昨今の画像診断の進歩から偶発的にみつかり自然に改善していく症例も多く報告されています。現時点では病態生理としてハッキリしたものはありませんが、仮説として検討されているのが、以下の3つです。

①機械的刺激説
 腸管壁の表面粘膜の傷からガスが入り込むという仮説で、腸管内圧が上がるとより起こりやすくなると考えられています。また、COPD患者などでもこの疾患が多いことから、肺胞破裂によって空気が縦隔内〜後腹膜を介して腸管漿膜下に気腫を形成するのではないか?とも言われています。
②細菌感染説
 ガス産性菌による感染が有力視されており、Clostridium perfringens(これの培養見るとガスぶくぶく産生してますよね)の感染があるのかもしれません。また、嫌気性菌に活性のある抗菌薬使用で改善したという報告もあることも細菌感染説を支持しています。
③化学物質説
 化学物質説として、細菌が産生する水素が問題になるのではないか?と考えられています。同様に消化管ガス産生を増やすαーグルコシダーゼ阻害剤を内服している患者でも多く報告されており、関連性が言われています。

 治療方針のアルゴリズムもありましたが、結局無症状の患者さんでは多くの場合、経過観察の方針になると思います。

✓ 腸管嚢胞様気腫症は思ったより遭遇することが多い

 

 

敗血症性肺塞栓 Septic Pulmonary embolization

 敗血症性肺塞栓は時折お目にかかりますが、一応復習をしておこうかと思います。基本的には血栓の一部に細菌または真菌・寄生虫などの微生物を含んでいる場合に発症し、他にも肝臓や髄膜に塞栓を起こすこともあります。すなわち、そのorigin(起源)となる感染部位を特定することが最も重要です。

 古典的には、薬物常習(麻薬等)の感染性心内膜炎で特に右心系由来の三尖弁の心内膜炎で多いと言われていました。また、有名なのはルミエール症候群などの深頸部感染から頚静脈血栓を来して塞栓を起こす状態です。

 近年増えているのがデバイス感染。そして、歯周病関連も増えているという報告も散見されます。問題は培養が生えないもの。画像上の特徴としては、両側肺の末梢に多発結節影が出現し、時間が経過すると内部壊死に伴い空洞化が認められること、feeding vessel sign(以下)と呼ばれる栄養血管芽あることなどが特徴です。この空洞化影の判断が悩ましく、鑑別に結核や真菌、悪性腫瘍、血管炎など多彩な疾患を検討する必要が出てくることがあります。

http://www.myesr.org/facebook-tabs/Casebook/24_FTE/RES/slide4answer_1.jpg
http://www.myesr.org/facebook-tabs/Casebook/24_FTE/RES/slide4answer_1.jpgより引用)

  ✓ 敗血症性肺塞栓症は詳細な病歴・身体所見で感染源検索を