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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

Dトレ(ポリファーマシー連載9月号):毒を以て毒を制す!?

連載第6回目です。
今回の症例はある意味思い入れのある症例です。
引き続きお付き合い頂ければ・・・
そして今週中にもう1本は挙げなくては!

ご興味ある方は「治療」か「薬局」どちらかに掲載されておりますので是非本文をお読み下さい。 
今回の薬局の特集は「トレーシングレポート」。
ポリファーマシーへの取り組みにあたり一つの核になりそうです。

薬局 2016年 09 月号 [雑誌]

薬局 2016年 09 月号 [雑誌]

 

 

症例) 87歳女性

 もともと慢性心不全、心房細動、高血圧、慢性腎臓病で他院A病院にかかりつけでした。今回は左頬部分が腫れてしまい、頬部蜂窩織炎の診断で当院に入院されました。もともとはADLは自立していて認知症などもない方です。心不全については15年前に一度入院歴がありますが、それ以降は入院はしていません。

 バイタルは、血圧 132/68mmHg、脈拍 52回/分 不整、酸素飽和度 97%(大気下)、呼吸数 16回/分でした。
 身体診察では、意識清明、眼球結膜貧血なし、頸静脈怒張なし、甲状腺腫大なし、胸部聴診で心尖部にLevine Ⅱ/Ⅵ程度の汎収縮期雑音聴取、心音不整、呼吸音正常、下腿浮腫なしでした。

 採血では、BUN 32.1mg/dL、Cr 1.76mg/dL、Na 142mEq/L、K 5.4mEq/L、Cl 102 mEq/L、UA 5.8mg/dL、Mg 2.3mg/dL、PT-INR 1.82
 心電図では心房細動あり、明らかなST-T変化や異常Q波などなし。心臓超音波検査では、壁運動異常なくEF 56%、有意な弁膜症なく、軽度の左房拡大と左室肥大がある程度だった。
 
 入院時に持参した内服薬は以下の通りです。
・アダラートCRⓇ 20mg 1錠/分1 朝食後 29.7円
ザイロリックⓇ 100mg 2錠/分1 朝食後 46.2円
・ワーファリンⓇ 1mg 2錠/分1 朝食後 19.2円
・ダイアートⓇ 60mg 1錠/分1 朝食後 31.7円
・アンプラーグⓇ 100mg 3錠/分3 毎食後 339円
ラシックスⓇ 20mg 1錠/分1 朝食後 9.6円
・サンリズムⓇ 50mg 3錠/分3 毎食後 227.4円
・アテレックⓇ 10mg 1錠/分1 朝食後 53円
・ブロプレスⓇ 8mg 1錠/分1 朝食後 126.3円
・アーチストⓇ 10mg 1錠/分1 朝食後 56.9円
・ノルバスクⓇ 5mg 1錠/分1 朝食後 48.7円
・エパデールⓇ 900mg 3C/分3 毎食後 316.2円
・アミティーザⓇ 24μg 2錠/分2 朝・夕食後 322.2円
マグラックスⓇ 330mg 3錠/分3 毎食後 16.8円 合計 1642.9円/日

 

質問)この患者さんの処方について正しいものはどれか。1つ選べ。
A「慢性心不全があるのでβ遮断薬による心不全の予後改善効果が期待できる」
B「心房細動があるのでβ遮断薬による心不全の予後改善効果が期待できる」
C「心房細動があるので、サンリズムⓇ継続内服によるリズムコントロールをが必要である」
D「心不全などの心機能低下がある患者にはサンリズムⓇは使用しない方が良い」
E「心房細動に対しては、ジギタリス製剤が心不全の予後改善効果が期待できる」

Key Learning Points!)
・本当に長期投与が必要な抗不整脈薬は案外少ない・・・
・抗不整脈の開発の歴史からその効果と限界を知ろう
・高齢者のジギタリスには要注意


そして!
治療のテーマも素晴らしいですね。
コーチング!
これも今度PC学会の秋季セミナーでポリファーマシー症例に適応していきたいスキルの一つです。やっぱり色々繋がってますね。 

治療 2016年 09 月号 [雑誌]

治療 2016年 09 月号 [雑誌]