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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

デスカンファ:最後までつきあえなかった「もやもや」

デスカンファ 高齢者

Tです。
今回は看取りの経験が複数回あるグループホームに入居していた方で、最後を病院ですごし亡くなられた方の事をふりかえりました。
いつもの通り、臨床倫理の4分割法を使って情報整理しました。

【医学的適応】
認知症重度心不全、腎不全何回かの状態悪化時は、看取りも視野に施設療養継続腸閉塞状態で緊急入院し死去

【意向】
本人は施設の生活を楽しんでいました。家族は最後まで施設で過ごすことを希望していました施設スタッフも最後まで過ごしてもらう予定でした

【周囲の状況】
認知症が進行するなかで家族との同居が困難となる症状が多くなっていき、施設入所となった経緯があります。入所後も施設のスタッフがくじけそうになるほどの夜間の症状が続きました、何とか施設生活を維持できました。家族もこまめに来所し良い関係を維持していました。訪問看護が週1回の健康管理と状態悪化時の集中的な訪問でサポート

【QOL】
結構お出かけもしました。お出かけの時は楽しみの飲酒も。なるべく本人の良いように過ごしました。と言った具合です。施設看取りに向けて合意形成はできていたのですが、コントロールが難しかった嘔吐継続のため病院へ搬送となりました。その後一旦改善も、病院で亡くなられました。
(※情報は個人情報に配慮しています)

 皆さんが関わったらどんなもやもやが生まれるでしょうか?

 施設スタッフの中には最後までみてあげられなかったことで、もやもやとした思いが残った人もいました。ご家族は入院を契機に退職され、多くの時間を病院で付き添うことに使う事にしたようでした。
 一旦状態が改善傾向になったことで数週間は看護、介護に参加することが出来ました。家族や施設スタッフが対応に困難を感じていた認知症の症状も、重篤な状態となってしまった事でケアに影響するような症状が出ることはありませんでした。
 亡くなられたあとお会いしたご家族は、看護や介護に参加できた事を前向きに受け止めて、晴れ晴れとした表情でした。

 

ふりかえりの中でのコメント
・ご家族が最後になって入院を希望したのも、施設と良い関係になっていたからこそ、重篤な状態で施設にいることに申し訳なさを感じた面もあったのでは。
・入院を契機に看取り期のケアに家族が参加できて良かった。
・施設でケア継続の場合もご家族のケアへの参加は意識していたところでした。
・施設でケア継続が困難になるような認知症に関わる症状がある時は入院もやれることは限られ、どこでも難しい問題。これからも相談しながらいきましょう。
・入院にはなったけれど地域の中で連携を取りながら対応できたと思う。シームレスな感じになってきたのでは?・訪問看護や診療所との相談しやすい関係が心強かった。
・症状コントロールをもう少ししっかりできるようになりたい。(医師)

 

さて、今回のポイントです。
・看取りに関われない事での「もやもや」がある
・グリーフケアも意識した、家族のケアへの参加が大切

課題も多いですが、施設〜診療所〜病院の連携の質も、それぞれの力量も向上していることが感じられるふりかえりとなりました。では、また。

施設におけるエンドオブライフ・ケア:介護職が知っておくべき基礎知識

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