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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:Platypnea Orthodeoxia Syndrome/尿路感染にCEZ vs CTRX/CDIの分類

カンファ 診断 泌尿器 循環器 呼吸器 感染症 消化器

カンファネタです。
今週はカンファなかったなあ(笑)

Platypnea Orthodeoxia Syndrome 扁平呼吸

 「立位や座位で低酸素血症が出現し、臥位で改善する」という病態は扁平呼吸として知られています。日常診療をしていても時折遭遇する病態です。なんかDr.Gでも取り上げられていたらしく(見てない)、普通に有名な病態になっているのかもしれませんね。

 そもそも初めての報告は1949年のBurchellらの症例報告(Am J Physiol 1949;159:563–564.)に遡ります。この症例は外傷後の胸腔内動静脈シャントの症例でした。この症例では、座位をとるとPaO2が15低下し、呼吸数が3倍になったと報告されています。

 鑑別診断は以下に示します。

f:id:tyabu7973:20160924101739j:plain

(Catheterization and Cardiovascular Interventions 47:64–66 (1999)より引用)

 
 原因は主にシャントです。シャントの種類としては心臓内の右左シャント
か肺内シャントが挙げられます。右左シャントは、基本的には交通があっても肺高血圧や右室流出路を狭窄する心臓腫瘍などがないと右左シャントにはなりません。また、立位によって卵円孔や心房中隔は引き延ばされて交通しやすくなるという特徴があります。
 
 肺内シャントで考慮すべきは、重症肺気腫・動静脈瘻・アミオダロン毒性などがあり、さらには肝硬変(肝肺症候群)や腸閉塞でも同様の所見が得られたとの報告があります。興味深いのは自律神経障害ですねえ・・・

 ✓ Platypnea Orthodeoxia Syndromeの病態を知っておくこと

 

尿路感染にCEZ vs CTRX Cefazolin vs Ceftriaxone for UTI

 「尿路感染症でちょっと広めにCTRXにしてみました」というプレゼンを聞いた後でのディスカッション。当院は尿路感染症の起因菌のほとんどが大腸菌です。(まあ、疫学的にもそうだと思いますが・・・)もちろん、他にもKlebsiellaやProteusなど尿路感染症の原因となる菌も検出されますが・・・

 なので、ESBL産生菌などをのぞけば、グラム染色でGNRがしっかり確認できていれば、ほとんどがCEZで治療可能だと思っています。もちろん、複雑性やショック症例はちょっと異なりますが・・・

 「CEZよりちょっと広めにCTRX」というのは気持ちは分かるのですが、実際これが意味があるのは肺炎などの場合です。第三世代でカバーできるGNRのほとんどが第一世代でカバーできると考えています。カバーする範囲を超えるとすれば、SPACEなどの院内起因菌をカバーするためにCFPM・TAZ/PIPCを使う、ESBL産生菌をカバーするためにカルバペネムを使用するなどの場合でしょう。もちろん一部のSPACEは第三世代でもいけますが、若干心許ない感があります。

 何が言いたいかというと、もしカバーする範囲を広げたいならそれでは足りないよ、ということ。何となく第二世代、何となく第三世代ってどうよ?と思うわけですね。もちろん、反論・異論はあると思います。「セファゾリンを黄色ブドウ球菌用に取っておきたい」とか。まあ、でも抗菌薬選択もロジカルにいきましょうという話題でした。

✓ 尿路感染症の第2・3世代セフェムってどうよ?

 

 

CDIの分類 Classiffication of CDI

 CDIは院内下痢症の最多の原因ではありますが、最近では市中で発症することも増えて来ています。一方で入院中に発症するだけではなく、退院後に発症するものもあります。まあ、サーベイランス上の定義ではあるのですが、以下の様に分類されます。

①院内発症型 Healthcare Facility(HCF)-onset 入院48時間後 
②市中発症型 Community-onset 退院4週間以内
③市中感染型 Community-associated 退院12週以降 

  ①は比較的分かりやすいですが、問題は市中で発症する②・③のパターンです。市中発症=市中感染ではなく、入院によって感染して潜伏期間を経て、市中で発症するCDIというのがあるということを知っておく必要があります。

 上記定義をみると4-12週は微妙なところでIDSAのガイドラインではIndeterminateと記載されており、判断困難としている模様です。
 

  ✓ 市中発症型CDIの定義を押さえておこう。市中感染?と思っても最近の入院歴確認を