栃木県の総合内科医のブログ

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ACPJC:Etiology 非癌性の慢性疼痛に対する長時間作用型オピオイド使用は死亡率と関連

ACPJCまとめ。
やはりここは手を出すべきではない感じが満載。

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Prescription of long-acting opioids and mortality in patients with chronic noncancer pain. 

Ray WA, Chung CP, Murray KT, Hall K, Stein CM. 

JAMA. 2016;315:2415-23.

臨床上の疑問:
 非癌性の慢性疼痛患者では、長時間作用型オピオイド使用は通常の鎮痛薬や低用量の環系抗うつ薬(コントロール)と比較して死亡率を増やすか?

方法:
デザイン:Medicaidデータによる死亡関連データと退院データベースによる観察研究。平均フォローアップ期間は長時間作用型オピオイドが176日、コントロール薬剤が128日だった。

セッティング:米国テネシー州。

患者:メディケイド使用者で75歳未満(平均48歳、60%女性)の、過去90日以内に新規診断された慢性疼痛患者(背部痛・腹痛・頭痛・筋骨格系もしくは神経系)45824人が組み入れられた。1999-2012年の間に、新規治療として長時間作用型オピオイド投与群(n=22912人)、非オピオイド系薬剤:抗けいれん薬や三環系抗うつ薬等(n=22912人)が開始され、前年に研究で評価対象となる薬剤を内服していない患者に限られた。
 除外基準は、薬物中毒・癌・致死的疾患・ホスピス/終末期ケア・施設入所者・退院30日未満などが上げられた。
 長時間作用型オピオイド使用患者は、抗けいれん薬や抗うつ薬使用者と122の変数でPropensity matcg scoreを用いて割り付けられた。122の変数には、患者背景・疼痛関連診断・短時間作用型オピオイドや他の鎮痛薬使用・ベンゾジアゼピン系薬剤や精神科系薬剤使用・精神状態・心血管合併症・呼吸器疾患・医療機関利用などが評価された。

リスク因子:長時間作用型オピオイド(モルヒネ徐放製剤、オキシコドン徐放剤、フェンタニル貼付剤、メタドン)と、慢性疼痛に対する抗けいれん薬(ガバペンチン、プレガバリン、カルバマゼピン)または低用量の三環系抗うつ薬が比較され、治療期間は①30日以下、②31-180日、③181日以上で分類

アウトカム:プライマリアウトカムは全死亡

結果:
 患者は背部痛 75%、筋骨格系疼痛 63%、腹痛 18%だった長時間作用型オピオイドは、死亡率をあげ、10000人年あたり69人の死亡者数絶対増加だった。死亡率リスクは30日以下が最も高く31-180日も高かった。

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(本文より引用)

結論:
 非癌性の慢性疼痛患者では、長時間作用型オピオイド使用は通常の鎮痛薬や低用量の環系抗うつ薬(コントロール)と比較して死亡率を増やす

 米国ではこの慢性疼痛に対するオピオイド使用がだいぶ問題になっている様ですね。ただ、結局長期投与の効果が十分ないまま、副作用のエビデンスが蓄積されています。
 今回の死因の解析では過剰摂取が原因というよりは、半分が心血管イベントだったとのことです。今回観察研究の結果ですが、害の調査のためには質の高い観察研究が重要になります。もちろん交絡はありますが・・・
 リスクは使用開始4週間以内が問題になるため、少なくとも開始1か月は十分に注意しながら経過を見る必要がありますね。

✓ 非癌性の慢性疼痛に対する長時間作用型オピオイド使用は死亡率が4倍に増える