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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

症例:BMJ 冷たい足 Cold feet

case reportというか一発診断か。
今回もBMJから。これな〜んだ。

症例:冷たい足 Cold feet
BMJ 2016;354:i4584

 70代男性が病院にせん妄・低体温で来院した。アルコール摂取歴があり、3日前から彼の姿を見た人がいなかった。その後、濡れた服を着てバスタブの中にいるところを発見され搬送された。入院時期の外気温は10℃。潰瘍や壊疽部位の感覚は低下している。

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(本文より)

質問. 診断は

 

回答:塹壕足 Non-freezing immersion injury-"trench foot"

解説:

 患者は、低体温で来院時32.3℃だった。また、徐脈と低血圧があり経静脈的昇圧剤の使用を必要とされた。入院後市中肺炎とアルコール離脱が治療された。潰瘍や壊疽部位の感覚低下や全体の特徴が、”trench feet 塹壕足”または”Non-freezing immersion injury 非凍瘡性浸水損傷”として矛盾しない。
 塹壕足は、通常長時間の冷たく濡れている環境に曝露された兵士などで発症したり、身体的・精神的トラブルを抱えた方に起こることが報告されている。
 足を復温している間は非常に強い痛みが出現し、患者の中には疼痛が遷延したり血管機能障害が出現する者もいる。本疾患の管理として重要なのは、神経障害性疼痛に対する適切な鎮痛と関連疾患の治療である。また、温かい輸液を投与し、ブランケットで強制復温するが、患肢は低灌流組織を過剰に温めることによる組織障害を避けるために外に出しておくべきである。専門看護師によって適切な処置がなされ、彼の感覚は改善し、10日目までには疼痛も軽減した。7週間後に退院し、自力で80m歩けるように回復した。2ヶ月後に、アルコール摂取を止めて足の潰瘍も治癒していた。

参考文献

  1. Frost HM. Trench-foot. Boston Med Surg J 1917;176:301-4doi:10.1056/ NEJM191703011760903.

  2. Golden FSC, Francis TJR, Gallimore D, Pethybridge R. Lessons from history: morbidity of cold injury in the Royal Marines during the Falklands Conflict of 1982. Extrem Physiol Med 2013;2:23. doi:10.1186/2046-7648-2-23 pmid:24070118.

  3. Ramstead KD, Hughes RG, Webb AJ. Recent cases of trench foot. Postgrad Med J 1980;56:879-83. doi:10.1136/pgmj.56.662.879 pmid:6115374.

  4. Imray C, Grieve A, Dhillon S. Caudwell Xtreme Everest Research Group. Cold damage to the extremities: frostbite and non-freezing cold injuries. Postgrad Med J 2009;85:481-8. doi:10.1136/pgmj.2008.068635 pmid:19734516.