栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Clinical Prediction Guide 内科入院中患者のVTE発症予測の4つのリスクモデルの検証

ACPJCまとめ。
ここ病院としてちゃんと取り組んでるところってあります?
うちは現時点では断念ちう。

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Validation of risk as- sessment models of venous thromboembolism in hospitalized medical patients.

Greene MT, Spyropoulos AC, Chopra V, et al. Validation of risk as- sessment models of venous thromboembolism in hospitalized medical patients.

Am J Med. 2016 Apr 21.

臨床上の疑問:
 重症の内科入院患者では、Intermountaion・IMPROVE・Padua・Kucherの各リスク評価モデルのどれが静脈血栓塞栓症を予測できるか?

方法:
デザイン:過去に作成された4つの臨床予測ガイド(CPG)の比較を行ったValidation cohort

セッティング:米国ミシガン州のミシガン病院医療安全協会(HMS)に所属する48病院。

患者:63548人の18歳以上(平均66歳、女性 56%)の患者で2日以上医療機関に入院した患者を対象。
 除外基準は、入院中の外科手術・集中治療室への直接入院・終末期ケア患者・VTE疑いの入院・過去6か月以内のVTE既往・経過観察入院・90日以内の再入院・入院1-2日目での抗凝固療法中・妊娠患者

リスク予測スコア
①Intermountain:過去のVTE/PICカテ/活動性の悪性腫瘍/臥床状態
②IMPROVE:過去のVTE/血栓傾向/活動性の悪性腫瘍/60歳以上
③Padua:過去のVTE/血栓傾向/活動性の悪性腫瘍/臥床状態/1か月以内の外科手術もしくは外傷/70歳以上/BMI>30/うっ血性心不全/1か月以内の心筋梗塞または脳卒中/ホルモン療法/敗血症・肺炎・関節リウマチや他の急性期感染症
④Kucher:過去のVTE/血栓傾向/活動性の悪性腫瘍/1か月以内の外科手術/70歳以上/BMI>30/臥床状態/ホルモン療法または経口ピル内服中

アウトカム:プライマリアウトカムは入院3-90日後の入院関連の画像で確定した静脈血栓塞栓症(上肢や近位DVTおよび肺血栓塞栓症)

結果:
 90日後のVTE発症は全体の1.1%だった。各モデルのHRとc-staticsが算出された。

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(本文より引用)

結論:
 重症の内科入院患者では、Intermountaion・IMPROVE・Padua・Kucherの各リスク評価モデルのどれも静脈血栓症をよく見積もることができるが、識別能は高くない

 まずは、VTE発症率の低さ!90日後に1.1%なんですねえ・・・これは治療対象としたときにovertreatmentの臭いがぷんぷんします。
 まあ、そもそもACCPはリスク評価モデル(RAM)を使いなされって推奨しているみたいですが、どれが良いかよく分からん!ということで今回のValidation cohortなわけです。
 残念ながらどの予測スコアもdihinitive!にならなかったので、まだ結論は出ていないわけです。重要なのは、非常に血栓リスクが高い人だけを正確に同定して、不適切な抗凝固薬や機械的予防を最小限にすることが目的だということです。
 今回のスコアには、集中治療室への入室や退室、D-dimerなどの血清マーカーを併用することも変数に組み込むことも考えられています。

✓ 入院患者のVTE予防はunderprophylaxisとoverprophylaxisの狭間の戦い