栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

症例:Lancet 慢性腎臓病患者の石灰化腫瘍 Tumoral calcinosis in chronic renal failure

case report今回はLancetから日本の症例です。
北海道かな。

症例:慢性腎臓病患者の石灰化腫瘍 Tumoral calcinosis in chronic renal failure
Lancet Diabetes Endocrinol.2014; 2: 852

 80代女性が千歳市民病院に6か月前から緩徐増大性の腰部無症候性皮下腫瘤で紹介になった。彼女は慢性腎臓病で10年間週3回の透析を行っている。
 採血結果では、血清Ca値 1.95mmol/L(7.8mg/dL)、血清リン値 3.3mmol/L、血清intact PTH 142ng/L(10-65ng/L)、血清Cr値 787μmol/L(8.9mg/dL)だった。リン吸着薬の内服と摂取制限の遵守が不十分だった。
 身体診察では、硬く不整型の可動性不良な9cmほどの皮下腫瘤が右腰部大腿転子部に認められた。

f:id:tyabu7973:20161009064323j:plain

(本文より)
 CTスキャンでは腰部の石灰化腫瘤と繊維化被包を認めた。

f:id:tyabu7973:20161009064741j:plain
(本文より)
 Gaシンチでは病的取り込みが右腰部に認められた。

質問. 診断は

 

回答:腫瘤状石灰化症 Tumoral calcinosis

解説:

 腫瘤状石灰化症は、無症候性の皮下腫瘍として、腰・肩・肘・膝などの大関節周囲に出現する。葉状の石灰化腫瘤が特徴的で、確定診断はしばしば放射線科的特徴でなされる。

 腫瘤状石灰化症は慢性腎不全患者の重篤な合併症である。高リン血症と高カルシウム-リン含有物血症は、2次性の副甲状腺機能亢進症を来たし、本症を発症しうる。化学的蓄積に加えて、炎症性変化が起こることで、腫瘤状石灰化症の病変部位にガリウム蓄積が起こることが広く報告されている。治療は困難であり、外科的切除も治療選択肢の一つであるが、術後に再発することもある。リン酸低下や腎移植が効果があったという報告がある