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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:LST生検するなかれ/IPMNによる膵炎/尿管癌と腎盂癌

カンファ 内視鏡 腎臓 消化器 泌尿器 悪性腫瘍

カンファネタです。
ちょっと2週分まとめてしまいました。
専門家にとっては当たり前かもしれませんねえ。

LST生検するなかれ Don't perform the biopsy of LST

 側方発育型腫瘍(Laterally spreading tumor:LST)は、「最大径10mm以上の平坦型腫瘍で、腫瘍高と比較して腫瘍型が大きい病変」と定義されています。非顆粒型(non-granular type:LST-NG)と顆粒型(granular type:LST-G)に亜分類されています。難しいのは隆起しない病変であるため、注腸検査や大腸CTなどでは見落とされやすく、内視鏡でも場合によっては見逃されることが多いと言われています。

 LSTは側方型病変で治療にあたってはEMRが選択されることが多く、生検で病理確定してから待期的にEMRが予定されることが多いです。実は、この鉗子生検によって形態変化を来すことが多く報告されており、ひだ集中などのマクロの形態変化と粘膜下層の繊維化などの組織学的変化が生じるとされている。生検後の治癒機転によって粘膜下層に繊維化が生じ、粘膜と固有筋層の遊離が困難になるのだそうです。

 内視鏡専門医からすると、LSTを見つけたら、とにかくできるだけ生検しないで送って欲しいということです。プライマリケアで大腸内視鏡検査に携わる方は是非。

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http://www.intechopen.com/source/html/21169/media/image4.jpegより引用)

 ✓ LST生検するなかれ

 

IPMNによる膵炎 Pancreatitis of IPMN

 膵炎の機序としてあまり注目されていないのがIPMNかもしれません。IPMNによる膵炎発症の機序としては、大量の粘液産生に伴う膵管閉塞や腫瘍そのものによる膵管閉塞が考えられています。腫瘍は分かりますが、粘液そのものが詰まることがあるんですねえ。日本の過去の疫学報告では5.3-23.2%と比較的頻度が多いことが報告されています。

 また、そもそもIPMNは粘液を産生し続けるため、再発を繰り返しやすいことも知られています。悪性化も危惧され、IPMNに対する十分な精査が必要になります。まあ、稀な合併症ではありますが、粘液栓は結構粘稠度が高いので、ERCPを要することもあり、注意が必要です。

✓ IPMNからの膵炎は頭の片隅に入れておく

 

 

尿管癌と腎盂癌 Urpepitherilal carcinoma

 尿管癌と腎盂癌は基本的に双方合わせて語られることが多い癌です。というのも、どちらも尿路上皮粘膜に発生する悪性腫瘍であり、病理学的には90%以上が尿路上皮癌だからです。第2位は扁平上皮癌で8%ほど。場所がどこにあるかの違いと言うことになります。同じ泌尿器系癌の膀胱癌より頻度は圧倒的に少ないとされています。
 
 この広がり方に関与しているのが、”Drop metastasis”というやつでして。尿管癌はその近位にも遠位にもそして、膀胱にも転移を来しやすいとされています。時折逆行性もある様です。ただ、この場合、原発を特定するのは難しくなります。

 これらの癌の発症に関連すると言われているのが、喫煙や芳香族アミン(ベンシジンやβ-ナフタレン)の職業性曝露が重要です。また、バルカン腎症や漢方薬腎症も関連すると言われ、バルカン半島の風土病だけでなく、アリストロキア酸を含む漢方薬が問題になることがあります。ちなみに日本には現時点ではありませんが、個人輸入などは問題になるかもしれません。

  ✓ 尿管癌と膀胱癌の基礎知識を整理