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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics 腎不全患者では、DOACはVKAsと比較して出血性脳卒中リスクを減らす

ACPJC 論文 薬剤 神経

ACPJCまとめ。
徐々にDOAC時代に突入の予感が・・・

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Major bleeding and hemorrhagic stroke with direct oral anticoagulants in patients with renal failure: systematic review and meta-analysis of randomized trials.

Raccah BH, Perlman A, Danenberg HD, et al.  

Chest. 2016;149:1516-24.

臨床上の疑問:
 腎不全患者では、DOAC(Direct Oral Anticoagulants)はVKAs(ビタミンK拮抗薬)と比較して出血性脳卒中や大出血のリスクを減らせるか?

スコープ:
 非弁膜症性心房細動もしくは静脈血栓塞栓症に対するDOACs(アピキサバン・ダビガトラン・エドキサバン・リバロキサバン)とVKAs(ワーファリン)について、腎機能毎に安全性を比較した研究を組み入れた。腎機能はCCr<50ml/min、50-80ml/minなど。
 除外基準は、プラセボ・コントロール使用。
 アウトカムは頭蓋内出血、主要な出血、もしくは主要な出血の複合アウトカム、臨床的に有用な非主要出血とした

方法:
 本レビューは2015年11月までに、MEDLINE、EMBASE/Excerpta Medica、Cochrane Library、ClinicalTrials.gov、ウェブサイト、会議録、SRでRCTが検索された。
 9のRCT(CCr<50ml/min n=13996人、CCr 50-80ml/min n=40681人)が組み入れ基準を満たした
5RCTは心房細動患者対象(フォロー 1.6-2.8年)、4RCTは静脈血栓症に対する治療(フォロー 0.25-1年)。4RCTがリバロキサバン、2つがアピキサバンとエドキサバン、1つがダビガトラン対象だった。6RCTでDOACとワーファリンが比較され、3RCTではエノキサパリン投与後のワーファリンとの比較だった。
 全9RCTは、アウトカムデータなどへの隠蔽化は適切で、6つで患者・スタッフ・アウトカム評価者も盲検化されていた。全てのRCTが製薬企業スポンサーの研究だった。

結果:
 DOACsはVKAsと比較して、CCr <50ml/minでも、50-80ml/minでも、出血性脳卒中は減少した。
 DOACsは主要な出血については、CCr 50-80ml/minでは減らしたが、<50ml/minでは減らせなかった。

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(本文より引用)

結論:
 心房細動および静脈血栓症のある腎不全患者では、DOAC(Direct Oral Anticoagulants)はVKAs(ビタミンK拮抗薬)と比較して出血性脳卒中を減らした。また、DOACsはCCr 50-80ml/minの患者では主要な出血を減らした。

 

 一般的には腎疾患のある患者では、抗凝固療法を受けると出血リスクは高まりますが、同時に血栓リスクも高くなります。基本的に今までは適応がワーファリンしかありませんでした。DOACsは年齢や腎機能に応じて用量調節を行うことが可能であり、薬剤相互作用が少ないのが売りです。

 こういった有害事象や予防効果も加味して費用対効果を検証すると、DOACsの方が費用対効果が良かったという報告もあります。

 更にネットワークメタ解析によると、アピキサバン(エリキュースⓇ)がCCr<50ml/minの方では最も出血リスクが低かったようです。

✓ 腎機能障害のある心房細動・静脈血栓症患者に対するDOACsはVKAよりも脳出血の有害事象は少ない