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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:急性単関節炎/皮膚Snap/妊娠中の甲状腺機能亢進症/心血管リスク評価

MKSAP 整形 膠原病 皮膚 内分泌 循環器 産婦

今週は肺結核の方がいて大変でした。MKSAP張り切って始めましょう!

急性単関節炎 Acute monoarthritis

❶症例 
 30歳女性。2日前から発熱、気分不良、増悪する右膝の腫脹、疼痛で救急外来を受診。2週間前にバレーボールをして両膝を擦りむいた。競技を続けたが後に左膝の蜂窩織炎を発症した。第一世代セファロスポリンを1週間投与され、2日前まで一時的によくなっていた。上気道症状や泌尿器症状なく健康。内服薬もない。体温38.1℃ 血圧117/78 脈拍72 呼吸数12 BMI19。両膝の傷は治癒傾向で皮疹や他の皮膚病変はない。右膝は腫脹し赤色調、著明な圧痛あり。可動域制限はあるが、不安定性はない。レントゲンでは軟部組織の腫脹と液体貯留があり、びらんや骨病変はない。

 

 診断は?
A. 痛風
B. 前十字靭帯断裂
C. Lyme病
D. 黄色ブドウ球菌感染症

 ❷化膿性関節炎
  この患者は黄色ブドウ球菌感染症である。グラム陽性球菌は化膿性関節炎の主たる起因菌である。典型的には、単関節に起こり、膝などの大関節に起こりやすい。数時間から1日2日の急性発症である。健常者の場合、皮膚のバリアが破綻して蜂窩織炎が起こり、血行性に感染が拡がる。

 痛風は単関節で膝に起きやすい。しかし、健常者で閉経前の女性には極めて起こりにくい。

 前十字靭帯断裂は関節が腫脹するが、炎症所見はなく、発熱も伴わない。この患者は転倒直後に発症したわけでもなく、前方引き出しテストLachmanテストで誘発されるような関節の不安定性がない。

 Lyme病は下肢の単関節炎で発症するが、典型的には急性というより緩徐発症であり、熱も伴わない。

Key Point
✓ 健常者の急性発症単関節炎は化膿性を考える

Mathews CJ, Weston VC, Jones A, Field M, Coakley G. Bacterial septic arthritis in adults. Lancet. 2010;375(9717):846-855. PMID: 20206778

 

皮膚Snap

Skin snap 

❶症例

 44歳男性。腋窩と鼠径に圧痛を伴う有痛性結節。病変は慢性的に浸出がある。患者は時々ある悪臭を伴う排出液を自覚している。外用薬や抗生物質内服は最小低限の効果しかない。重喫煙者であり、家族も同様の症状がある。腋窩、鼠径には炎症性結節があり、いくつかはにきびのようで排出液があり、いくつかは瘻を形成している。

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(本文より引用)

 診断は?
A. 
 尋常性ざ瘡
B.  化膿性汗腺炎
C.  化膿性肉芽種
D.  スイート病

❷化膿性汗腺炎
 最も考えられる診断は化膿性汗腺炎でありacne inversaとも呼ばれている。癤や癰、膿瘍とよく間違われる。思春期に始まる皮下の有痛性結節で時に破裂したり癒合したり、膿瘍を作ったりする。結果的に線維化したり瘻を形成したりする。初めは安定しているが二次感染を起こすこともある。腋窩や鼠径にできやすいが、陰部や肛門周囲にもできることがある。喫煙に強く相関があり、時に肥満と関係する。以前はアポクリン腺の炎症ないし感染と考えられていたが、現在は汗腺の閉鎖と考えられている。

 発症初期は尋常性ざ瘡と区別しづらいが、二重面皰や瘻形成、好発部位が鑑別の助けになる。

 化膿性肉芽腫は典型的には明るい赤色調でもろく、数日から数週で増悪する。これは毛細血管の増殖であり、感染の結果ではない。病変は一過性であり、美容的に許容できなかったり、痛みがあったり、予期せぬ出血がある場合は除去を検討する。

 急性有熱性好中球性皮膚炎(スイート病)は主に中年女性の上気道感染後に起こる。急性の発熱、関節痛、筋肉痛、皮膚病変で発症する。個々の病変は頚部、上半身、四肢に起こる有痛性で掻痒感のない、境界明瞭な結節である。瘢痕を残さず治癒する。

Key Point 

✓ 化膿性汗腺炎は思春期!喫煙!腋窩・鼠径!

Alikhan A, Lynch PJ, Eisen DB. Hidradenitis suppurativa: a comprehensive review. J Am Acad Dermatol. 2009;60(4):539-561. PMID: 19293006

 

 

妊娠中の甲状腺機能亢進症
Hyperthyroidism in pregnancy

❶症例

 23歳女性、2週間前からの不安、動機、悪心嘔吐、体重減少で来院。妊娠3週間で以前は健康であった。出産前であり、毎日多種類のビタミンを摂取しているが、その他の薬剤やサプリメント、市販薬は摂取していない。血圧130/70 mm Hg, 脈拍110/min 整, 呼吸数16/min; BMI 22. 心臓、肺、眼に異常なし,甲状腺は雑音を聴取するが、結節はなく、明らかに腫大している。頸部に圧痛なし、腹部に2cmの白斑を認め、両手に振戦と湿潤あり。下腿に粘液水腫なし。

Laboratory studies:

Complete blood count

Normal

Comprehensive metabolic profile

Normal

Thyroid-stimulating hormone

<0.01 µU/mL (0.01 mU/L)

Thyroxine (T4), free

4.0 ng/dL (52 pmol/L)

Triiodothyronine (T3), free

6 ng/L (9.2 pmol/L)

Human chorionic gonadotropin

Positive

Thyroid peroxidase antibodies

40 units/L (normal, <20 units/L)

Thyroid-stimulating antibodies

140% (normal, <130%)

超音波検査では、結節のない腫大した甲状腺を認めた。

 適切な初期治療は?
A. 
 メチマゾール
B.  プロピオチオウラシル
C.  甲状腺切除術
D.  安心させる

❷妊娠中の甲状腺機能亢進症
 症状、白斑があることから、妊娠中の甲状腺機能亢進ではなく、Graves病と考えられる。抗TPO抗体、抗TSH抗体は高値であり、診断される。
First choiceは抗甲状腺薬であるが、プロピオチルウラシルは治療を必要とする患者の妊娠初期に使用すべきであり、 メチマゾールは胎児奇形と関連があるため、妊娠中期・後期に使用すべきである。

 甲状腺切除は、悪性の腺腫や他結節を伴う甲状腺腫大や悪性の結節を持つ患者であれば必要となる。

Key Point 

✓ 妊娠中の甲状腺機能亢進症は治療適応

Bahn Chair RS, Burch HB, Cooper DS, et al; American Thyroid Association; American Association of Clinical Endocrinologists. Hyperthyroidism and other causes of thyrotoxicosis: management guidelines of the American Thyroid Association and American Association of Clinical Endocrinologists [erratum in Thyroid. 2011;21(10):1169]. Thyroid. 2011;21(6):593-646. PMID: 21510801

 

心血管リスク評価
Cardiovascular risk assessment

❶症例

 47歳女性の定期受診。40箱/年の喫煙歴あり、アメリカで生まれ育った。父は46歳でAMI、昨年母は64歳でAMIで死亡。患者は医学的な異常なく、薬剤内服もしていない。血圧148/90 mm Hg, 脈拍83/min,呼吸数18/min.

Laboratory studies:

Total cholesterol

201 mg/dL (5.21 mmol/L)

LDL cholesterol

100 mg/dL (2.59 mmol/L)

HDL cholesterol

45 mg/dL (1.17 mmol/L)

Total cholesterol/HDL cholesterol ratio

4.4

Glucose

89 mg/dL (4.9 mmol/L)

 最適なスコアリングは
A. 
 Framingham risk score
B.  Reynolds risk score
C.  QRISK2 system
D.  SCORE risk assessment

❷心血管リスク
 Framingham risk score (FRS)では、70歳未満の90%の女性は異常とみなされない。The Reynolds risk score は、家族歴やCRPなどのFRSにはない項目があり、FRS で引っ掛けられなかった女性40%を拾い上げることができる。

 The QRISK2 scoring system はEnglandとWalesに住む人の、The SCORE risk systemはヨーロッパに住む人のスコアリングシステムである。

Key Point 

✓ ReynoldsはFraminghamよりも女性のリスク評価を鋭敏にできる

Shaw LJ, Bugiardini R, Merz CN. Women and ischemic heart disease: evolving knowledge. J Am Coll Cardiol. 2009;54(17):1561-1575. PMID: 19833255

 

MKSAP for Students 5

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MKSAP 16: Medical Knowledge Self-Assessment Program (Set of 2 Parts)

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