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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics 前立腺肥大症の下部尿路症状に対する新旧両世代薬剤で効果に差がない

ACPJC 論文 薬剤 泌尿器

ACPJCまとめ。
こうゆうのは非専門医にとっては非常に役立ちます。

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Newer medications for lower urinary tract symptoms attributed to benign prostatic hyperplasia: a review.

Brasure M, MacDonald R, Dahm P, et al. 

Comparative Effectiveness Review No. 178. Rockville, MD: Agency for Healthcare Research and Quality; May 2016.

臨床上の疑問:
 男性の前立腺肥大症(BPH)による下部尿路症状(Lower Urinary Tract Symptoms:LUTS)に対する新旧両世代薬剤の効果と害はどの程度か?

スコープ:
 FDAで認可されたBPHのLUTSに対する2008年以降の新規薬剤と旧世代薬剤それぞれとプラセボを比較した研究を組み入れた。
 アウトカムは、LUTSの国際前立腺症状スコア(IPSS)と副作用

方法:
 本レビューは2015年7月までに、MEDLINE、EMBASE/Excerpta Medica、Cochrane Central Register of Controlled Trials、ClinicalTrials.gov、FDAウェブサイト、リファレンスリストを英語言語のRCTが検索された。観察研究も検索され、100人以上の患者がいて、1年以上のフォローがあり、副作用も報告されているものが組み入れられた。
 57RCTと5つの観察研究が組み入れ基準を満たした。新規薬剤としては、シロドシン(ユリーフⓇ)・トルテロジン(デトルシトールⓇ)・ソリフェナシン(ベシケアⓇ)・セドテロジン(トビエースⓇ)・オキシブチニン(ポラキスⓇ)・ダリフェナシン(本邦未発売)・トロスピウム(本邦未発売)・ミラベグロン(ベタニスⓇ)・タダラフィル(シアリスⓇ)・バルデナフィル(レビトラⓇ)・シルデナフィル(バイアグラⓇ)が検索された。旧世代薬剤としては、タムスロシン(ハルナールⓇ)・ドキサゾシン(カルデナリンⓇ)・テラゾシン(バソメットⓇ)・アルフゾシン(本邦未発売)・フィナステリド(プロペシアⓇ)・デュタステリド(アボルブⓇ)が評価された。
 ほとんどの研究は短期間(6か月未満)だった。エビデンスの強さはそれぞれ比較し評価された。

結果:
 新規薬剤と旧世代薬剤の効果の差は以下の通り。エビデンスの質が強い研究は亡かった。結果は累積評価された。中等度のエビデンス強度の薬剤比較を見ると、抗コリン薬+α遮断薬はα遮断薬単剤と比較して効果は変わらず、副作用が増加した。

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(本文より引用)

結論:
 男性の前立腺肥大症(BPH)による下部尿路症状(Lower Urinary Tract Symptoms:LUTS)に対する新旧両世代薬剤の効果は差がないが、新規薬剤の方が副作用が多い傾向がある。

 BPHのLUTSに対する治療は泌尿器科医のみならずプライマリケア医も関わることが多いと思います。この分野は、いくつかの新しい機序の新規薬剤開発が進んでいる一方、医療費が意外とかかっており、米国では年間10億ドルとも言われています。

 結局のところ、今回のレビューでは、まず推奨される薬剤としては、タムスロシン(ハルナールⓇ)などの旧世代のα遮断薬であろうということが確認されました。α遮断薬と5α還元酵素阻害薬:5-ARI(アボルブⓇ)の併用については、今回は検証外です。

 コスト・副作用の観点からも新規薬剤に安易に手を伸ばすなかれというところでしょうか。実臨床では、まず旧世代薬(タムスロシン等)で治療開始され、前立腺肥大が強い場合には、5-ARIなどが併用されるかもしれません。また、抗コリン薬使用の場合には、十分効果が得られる量まで副作用を見ながら漸増していく方法も提唱されています。

✓ BPHのLUTSに対する内服薬の効果は新旧あまり差が無く、新規薬剤の方が副作用が多い可能性がある