栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

Dトレ(ポリファーマシー連載11月号):記憶が良くなる薬??

連載第8回目です。

いやあ、連載って大変。
そして、テーマが膨大。我ながら大風呂敷広げたなあという感じです。
たためるのでしょうか?笑

今回は認知症薬がテーマです。

ご興味ある方は「治療」か「薬局」どちらかに掲載されておりますので是非本文をお読み下さい。 
今回の薬局の特集は「統合失調症」。
相変わらず安定の守備範囲の広さ。すごし!

薬局 2016年 11 月号 [雑誌]

薬局 2016年 11 月号 [雑誌]

 

 

症例) 87歳男性

 グループホーム入所中の方。3年前に施設に入所され、その後程なくして訪問診療で在宅医が、訪問薬剤で保険調剤薬局の薬剤師が関わるようになった。5年ほど前から物忘れが目立つようになり、入所1年前には徘徊が目立つようになって近医大学病院神経内科でAlzheimer病と診断されている。

 既往歴として、60歳頃から高血圧で近医に通院されており、昨年施設内で転倒して右大腿骨頚部骨折を受傷し、総合病院に入院して観血的整復固定術が行われた。それを契機にADLは低下し、現在は車椅子に移乗するのも介助が必要なADLである。また、この入院中に膀胱カテーテルが留置され、神経因性膀胱の診断となったが、投薬で退院前にはカテーテル抜去となっている。

 以前はアルコールを飲んでいたが、施設入所後は飲酒なし。煙草は吸ったことはない。長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)は先月確認して9/30点で、見当識障害、近時記憶や計算機能が低下していた。

 バイタルでは、血圧 132/65mmHg、脈拍 52/分 整。

 食事は車椅子乗車でほぼ自力で食べるが、移動や着替えは部分介助で、入浴は全介助状態である。IADL(Instrumental Activity of Daily Life: 手段的日常生活動作)としては、金銭管理は自分ではできず、公共交通機関の利用はできない。訪問診療では、特に自覚症状はないとのことだった。

 現在の内服薬は以下の通り。
 
・アムロジンⓇ 10mg 1錠/分1 朝食後 73.1円
・アーチストⓇ 10mg 1錠/分1 朝食後 56.9円
・アリセプトⓇ 10mg 1錠/分1 朝食後 537.4円
・メマリーⓇ 10mg 1錠/分1 朝食後 246.0円
・ハルシオンⓇ 0.25mg 1錠/分1 眠前 13.8円
・ポラキスⓇ 2mg 3錠/分3 毎食後 91.2円

合計 1018.4円/日

 

質問)この患者さんの処方について誤っているものはどれか。2つ選べ。
A:本患者の様な程度の認知症患者にはアリセプトⓇとメマリーⓇの併用よりもメマリーⓇ単独投与の方が認知機能を改善する
B:アーチストⓇとアリセプトⓇの併用は徐脈を助長する可能性がある
C:ポラキスⓇとアリセプトⓇの併用はADL低下を来たす可能性がある
D:アリセプトⓇよりもレミニールⓇの方が認知機能改善効果が高い
E:失神は、ドネペジルⓇ、メマリーⓇともに有意に増える

Key Learning Points!)
・アルツハイマー病に対する各種薬物療法の適応を整理し、治す薬剤ではなく対象的な薬剤であることを意識しよう
・薬物療法の副作用に留意し、診断・対処できるように
・個別性に配慮しながら必要性を定期的に再評価すべし


そして!
治療のテーマは大事です。
半年経過してここで振り返ることの重要さ。
よく読ませて頂きます。

治療 2016年 11 月号 [雑誌]

治療 2016年 11 月号 [雑誌]