栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:赤芽球癆の原因は?/リツキシマブによる血球減少/急性未分化型白血病

カンファネタです。
しばらくお休みしておりましたが、ようやくブログもオンタイム追いついてきました。まあ、こっちを頑張ると本業や執筆等が間に合わなくなるのですが笑。
そして、今回は何だか血液ネタが・・・

赤芽球癆の原因は? Cause of pure red cell aplasia

 赤芽球癆は時折出くわすのですが、ついつい忘れてしまい易い貧血の鑑別診断です。パターンとしては正球性正色素性貧血を来たし、赤血球単独の低下がポイントです。難病情報センターの疫学を見たところ、年間100人程度の患者登録があるとされていて、実は結構稀な疾患と言えるかもしれません。

 原因を特定できない特発性と、基礎疾患を有する続発性に分類されます。また、診断後1か月以内に自然軽快する急性型もある模様です。続発性赤芽球癆の基礎疾患としては、

・胸腺腫
・リンパ増殖性疾患(大顆粒リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、非Hodgkinリンパ腫、Hodgkinリンパ腫、骨髄腫)
・骨髄増殖性疾患(慢性骨髄性白血病、MDSの前駆症状、骨髄線維症)
・固形腫瘍

・自己免疫性疾患(自己免疫性溶血性貧血、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ等)
・薬剤性(フェニトイン、ST合剤、ジドブジン(レトロビルⓇ)、クロルプロパミド、遺伝子組み換エリスロポエチン製剤、ミコフェノレート等)
・ウイルス感染症(パルボウイルスB19、HIV、ウイルス性肝炎)
・妊娠
・ABO不適合同種造血幹細胞移植

などが報告されています。
 
 頻度としての3大要因は、1.特発性(39%)、2.胸腺腫関連(23%)、3.リンパ球腫瘍関連(14%)と言われています。

http://cjasn.asnjournals.org/content/3/1/193/F1.large.jpg
http://cjasn.asnjournals.org/content/3/1/193/F1.large.jpgより引用)

 ✓ 続発性赤芽球癆の原因を覚えておこう


 

リツキシマブによる血球減少 Neutropenia induced by Rituximab

 正直なところ、薬剤としては使い慣れていないのですが、遅発性に好中球減少をきたすことがあると聞いて、調べてみました。

 薬剤投与数ヶ月後に見られるLate-onsetの好中球減少があるんですね。リンパ球性腫瘍の治療の際にはしばしば経験されている様ですが、リウマチ性疾患の治療の際には頻度が少ないために認識されていないことも多い模様です。

 発症時期についてのデータですが、リウマチ性疾患に対してリツキシマブ治療を行った患者をフォローアップしたSewdenの観察研究(Arthritis Rheum. 2011;63(8):2209. )では、平均102日フォローし、好中球減少の発症は40-362日だったと報告されています。ちなみに発症頻度は3%で、著しいB細胞の枯渇を伴っていたようです。他の研究結果も含めて、平均すると投与4.5ヶ月後頃に好中球減少が起こることがある様です。ほとんどは軽症ですが、重症で入院やG-CSFや抗菌薬投与を必要とする患者も少数ですが、存在する模様です。
 

✓ リツキシマブによる好中球減少の発症平均は投与4.5ヶ月後

 

 

急性未分化型白血病 Acute undifferentiated leukemia(AUL) 

 耳慣れない病名を聞いたので調べてみました。急性白血病のタイプとして、急性骨髄球性白血病(AML)と急性リンパ球性白血病(ALL)が有名です。今回聞いたのは、AULというやつでして。Acute Undifferentiated leukemia 急性未分化型白血病と言われております。

 急性骨髄性白血病には最も未分化なタイプでM0というものがありますが、それよりも更に白血病細胞が未分化過ぎて分類が困難という形態の様です。結局骨髄性マーカーもリンパ球性マーカーもどちらも系統特異的マーカーが発現していないということになります。

 もちろん、頻度はかなり稀であり、そのため実際にこのカテゴリーの白血病の病態や治療は確立されていません。もちろん、今度更に細分化されていく可能性もあります。治療はエキスパートオピニオンですが、AMLに準じて行う模様です。

  ✓ 急性未分化型白血病という病態がある