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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

症例:Lancet 77歳女性 発熱・意識変容・項部硬直

case report今回はLancetから。
まあ題名見ちゃうとなので隠してみます。
そいつそこにもいるのかあ・・・という感じ。
なんとなくAustrian症候群を疑いたくなりますが・・・
ちょっと問題風に意訳しておりますよ〜。

症例:77歳女性 発熱・意識変容・項部硬直
Lancet Infect Dis 2016; 16: 980

 77歳女性が発熱、意識変容、項部硬直を主訴に、イタリアのブレシアの救急外来を受診した。彼女は充喫煙者で、高血圧と脂質異常症の既往が有り、3日前から右肺部痛を訴えていた。
 頭部CTと胸部X線は正常で、腰椎穿刺と血液培養では肺炎球菌が検出され、肺炎球菌性肺炎と髄膜炎の診断となった。
 セフトリアキソン 4g q12hrが開始され、患者は速やかに状態が回複視、発熱や炎症反応(WBC 19700→14900、CRP 22.5→10.8)は改善した。しかし、入院12日後に初期に治療に反応してから1週間未満で、背部痛の悪化を訴え、炎症反応もWBC 19800、CRP 17.1mg/dLまで再上昇した。 

質問. 診断は

 

回答:感染性大動脈瘤 Abdominal aortitis

解説:

 腰椎CTは脊椎炎の所見はなかったが、腹部大動脈瘤を認め、大動脈周囲に大動脈炎を示唆する徴候を認めた。その後施行した腹部CT血管造影検査では、腹部大動脈瘤の切迫破裂を疑う所見を認めた(A)。

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(本文より)

 真菌性動脈瘤および細菌性大動脈炎は、大動脈壁にアテローム性動脈硬化性変化を有する人々に発症する稀な疾患群で、菌血症により大動脈表面に微生物が播種した結果として発症する。症状はしばしば亜急性経過で、診断は遅れるか死亡後に明らかになることも多い。肺炎球菌は菌血症の原因としてはよくある微生物だが、血管炎の原因になることは稀である。肺炎球菌性大動脈炎は、典型的な腹部大動脈瘤を持った患者や心血管リスクの高い敗血症患者では除外をすべきであろう。
 
 本患者は速やかに大動脈のグラフト置換術を施行された。術後に合併症なく回復され自宅退院となった。退院1ヶ月後に施行されたCT血管造影では、大動脈瘤の初期変化が認められた(B)が、患者は手術を拒否した。それ以降、特に病状の進行はなく、血液検査と画像検査で経過観察されている。術後1年が経過し、患者は健在で良好な経過である。