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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Etiology 2型糖尿病患者に対する厳格な血糖コントロールは、病態が複雑な患者ほど低血糖と関連する

ACPJC JAMA 内分泌

ACPJCまとめ。
こういったComplexityでの層別化は重要です。
ちょっと使っていきましょうか。

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Intensive treatment and severe hypoglycemia among adults with type 2 diabetes. 

McCoy RG, Lipska KJ, Yao X, et al.

JAMA Intern Med. 2016;176:969-78.

臨床上の疑問:
 非インスリン治療中の2型糖尿病患者では、厳格な血糖コントロールと臨床的な複雑性、重度の低血糖との関連はあるか?

デザイン:
 OptumLabs Data Warehouseの処方データを用いた観察研究。

セッティング:米国

患者:
 31542人の18歳以上の成人(平均 58歳、51%男性、58%白人)で、2001-2011年の間にコントロールが安定した2型糖尿病の患者が対象。安定したとは、24か月以内にHbA1c<7%が連続して2回以上持続した場合を指し、過去120日以内にインスリンで治療されていない患者が対象。
 重度の低血糖と高血糖既往のある方は除外。3910人(12.4%)が臨床的な複雑性(75歳以上、終末期腎不全、認知症、3つ以上の慢性疾患)があると判断された。

リスク因子:
 厳格治療群および通常治療群、臨床的な複雑性は高いものと低いものがリスク因子だった。
 厳格治療群とは、
①HbA1c≦5.6%で何かしら内服薬を処方されている or 120日以内の新規処方
②HbA1c 5.7-6.4%で内服薬を2種類以上処方されている or  新規に1種類以上の処方またはインスリン追加
③HbA1c 6.5-6.9%で内服薬2種類以上もしくはインスリン追加
 上記以外の治療レジメンは標準治療と考えられた。

アウトカム:
 2年以内の重症低血糖

結果:
 初回検査時には、内服1種類 33%、内服2種類 38%、内服3種類 21%だった。臨床的な複雑性が低い患者の27%、臨床的な複雑性が高い患者の19%が、厳格な治療を受けていた。
 2年後の重症低血糖の頻度は、臨床的な複雑性が低い患者では1.2%、臨床的な複雑性が高い患者では2.9%だった。

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(本文より引用)

結論:
 非インスリン治療中の2型糖尿病患者では、厳格な血糖コントロールは、重症低血糖と関連する。特に臨床的な複雑性が高い場合に。

 今回分かることは、糖尿病患者の過剰治療の実態とその有害性です。臨床的な複雑性が高い患者で19%が厳格治療を受けて、低血糖をきたしています。そして、この患者層の88%が75歳以上といいます。
 
 ポイントは、メトホルミン使用が少ない、SU剤使用が多い、認知症や軽度認知機能障害(MCI)の合併、薬剤アドヒアランス、非糖尿病薬の使用などが関連します。

 重要なのは、各患者の処方内容を定期的に見直すこと。現時点で質の高いエビデンスは不足しており、血糖管理目標は、ADAが提唱しているような、患者の健康状態、機能状態、平均余命、利用可能な資源、価値などを元に設定すべきである。

 

✓ 臨床的に複雑性が高い患者に対する厳格血糖コントロールは低血糖を増やす