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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics 心血管疾患を合併した中等度以上の睡眠時無呼吸症候群に対するCPAPは心血管イベントを減らさない

ACPJC 論文 睡眠 循環器

ACPJCまとめ。
CPAPの効果についての検証が最近目立ちますね。

f:id:tyabu7973:20161203210816j:plain

CPAP for prevention of cardiovascular events in obstructive sleep apnea. 

McEvoy RD, Antic NA, Heeley E, et al; SAVE Investigators and Coordi- nators. 

N Engl J Med. 2016;375:919-31.

臨床上の疑問:
 心血管疾患(CVD)を合併した中等症〜重症の睡眠時無呼吸症候群では、通常治療にCPAPを追加することで、心血管イベントが減るか?

デザイン:
 ランダム化比較試験(Sleep Apnea Cardiovascular Endpoints:SAVE study)。

割り付け:隠蔽化

盲検化:盲検

フォローアップ期間:平均3.7年

セッティング:89施設、7ヵ国

患者:
 45-75歳(平均61歳、男性81%)で心血管もしくは脳血管疾患の既往がある中等度から重度の睡眠時無呼吸患者3717人が対象。最初の1週間のrun-in periodの間、sham CPAPのアドヒアランスが、少なくとも3時間/夜以上を対象とした。
 除外基準は、Epworth Sleepiness Scale(ESS)スコア>15/24、重度の低酸素血症、睡眠関連の事故リスクが高い、Cheyne-Stokes呼吸など。

介入:CPAP+通常ケア(n=1359人)または通常ケアのみ(n=1358人)。

アウトカム:
 プライマリケアは複合アウトカム(心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中、急性冠症候群の入院、心不全、TIA)とした。他のアウトカムには、各コンポーネント毎のアウトカム、全死亡、睡眠時無呼吸症状、重度の有害事象とした。
 サンプルサイズ計算に基づき、治療による25%のプライマリアウトカム減少効果を見積もると2500人が必要と算出された。90%パワー、平均フォローアップ4.5年。

患者追跡率:93%、ITT解析

結果:
 CPAPを追加しても心血管系のアウトカムや副作用は増えなかったが、日中の眠気症状は減少した。ESS スコアで -3.1点 vs -0.7点、p<0.001

f:id:tyabu7973:20161203210826j:plain

(本文より引用)

結論:
 心血管疾患(CVD)を合併した中等症〜重症の睡眠時無呼吸症候群では、通常治療にCPAPを追加しても、心血管イベントは減らない

 ポイントはCPAPの装着時間で、夜間平均3.3時間でした。これは十分とは言えないかも知れません。過去のCPAP装着による心血管イベント減少効果を示した2つのRCTは、一晩4時間以上の装着時間でした。また、今回のRCTもサブ解析では装着時間が長い群では効果が得られているとのことでした。また、そもそも一次予防効果についてはほとんど研究されていません。

 なかなか因果関係の証明は難しいですね。観察研究の結果では交絡因子も多く相関関係としては言えるかも知れませんね。CVDとOSAも相関関係があることは分かっていますが、今回の結果からも因果関係とは言えないのかもしれません。