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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:自宅では不随意運動/癜風/頚動脈狭窄/妊娠糖尿病

MKSAP

出題者の意図を読み始め正解率が上がっております(笑)MKSAP始めます。

自宅では不随意運動 Involuntary movements at home

❶症例 
 17歳男性。3ヶ月前から無意識な発声、動き、繰り返す咳嗽。両親に聞くと他にも、頻繁な瞬きやしかめっ面、体を前後に揺らしたり、拳で机を叩いたり、いずれも律動的に動かすという。学校が終わった午後に起きやすく、20分続くこともある。なぜそのような動きをするのかと聞くと、「動かしたい衝動に抗えない」という。動き終わるとすっきりし、一時的になら動きを自分で止められる。学校ではいい学生で落ち着いており、情緒不安定なところはない。教師も変な行動はないという。社交的で友人もたくさんいる。2ヶ月前に咽頭炎にかかったが、現在内服薬はない。父親は子供の頃、一時的なチックであった。バイタル異常なく、身体所見も正常。不随意運動はない。

 適切な治療は?
A. クロニジン
B. ハロペリドール
C. テトラベナジン
D. 安心させる

 ❷チックの治療
 この患者は安心させる以外の治療は必要ない。運動チック、音声チックがあり、より精巧なタップする行動や衝動を伴っている。この患者のチックは行動する前の落ち着かない感覚と行動後の開放される感覚があり、家族歴もある。トゥレット症候群の診断基準を満たすが、症状は穏やかであり、他人に迷惑をかけていない。また、ADHDや強迫観念など精神疾患を合併していない。チックの治療目標は、社会面、職業面、学業面で患者が患うことのないように環境整備をすることであり、現段階では安心させることが治療となる。

 生活に支障のあるチックには、クロニジン、ピモジドのようなドーパミン受容体拮抗薬を用いるが、この患者には必要ない。またテトラベナジンは行動過多やハンチントン病のような舞踏運動に対して用いられ同じく不適切である。

Key Point
✓ チックの治療は安心から

Jankovic J. Differential diagnosis and etiology of tics. Adv Neurol. 2001;85:15-29. PMID: 11530424

 

癜風 Tinea versicolor

❶症例

 35歳女性。繰り返す胸背部の皮疹で来院。サーモン色で卵形、たまに痒い。市販の硫化セレン含有シャンプーを使ったが効果は乏しい。毎年、高温多湿な気候で再発する。バイタル正常。KOHはスパゲッティミートボールのパターン。

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 治療は?
A. 
 経口ケトコナゾール単回投与
B.  ステロイド軟膏
C.  ケトコナゾール軟膏
D.  治療不要

❷癜風

 この患者は癜風であり、ケトコナゾールのようなイミダゾール軟膏が一般的に処方される。他にもジンクピリチオンシャンプーも効果がある。よくある表在真菌感染症であり、Malassezia furfurが起因菌である。KOH法では胞子、菌糸がスパゲッティミートボールのパターンを取る。緩解しても再発することが多く、予防は難しい。

 経口アゾールが推奨されるのは、再発を繰り返し、皮膚の状態がひどい患者である。経口薬が初期治療で避けられるのは肝機能障害の副作用や薬剤相互作用が多いからである。全身投与は治療期間が長期になり、投与量も多いため治癒率は高い。単回の経口アゾールは複数回、数日から数週にわたって投与するより効果が乏しい。標準的な投与量はデータ不足だが、ケトコナゾール200mg/日を10日間、イトラコナゾール200mg/日を7日間もしくは100mg/日を2週間、フルコナゾール300mg/週を2-4週間が推奨されている。単回投与はほぼ例外なく再発する。

 ステロイド軟膏は一時的に掻痒感を改善するが、最終的には悪化を招き真菌を増殖させ大喜びさせる。

Key Point 

✓ 癜風には抗真菌薬軟膏、再発に注意

Hu SW, Bigby M. Pityriasis versicolor: a systematic review of interventions. Arch Dermatol. 2010;146(10):1132-1140. PMID: 20956647

 

 

頚動脈狭窄 Carotid artery stenosis

❶症例

 82歳女性。定期外来を受診。過去6ヶ月症状なく、健康に過ごしていた。既往に高血圧、NYHAⅡの心不全、2型糖尿病、脂質異常症、COPDがあり、アスピリン、ロサルタン、カルベジロール、フロセミド、メトホルミンを内服しており、必要時アルブテロールを使用。シムバスタチンを内服していたが、2ヶ月前、関節痛があり中止された。その時のCKは86U/l。バイタル正常で身体所見では左頚動脈のbruit、呼気終末のwheezes。MMSEは25/30。T-chol 242mg/dl、LDL 142mg/dl、HDL 36mg/dl。MRAでは左内頚動脈に60%狭窄。MRIでは脳は軽度萎縮している。

 治療は?
A. 
 プラバスタチン
B.  アスピリンをクロピドグレルに変更
C.  頚動脈ステント
D.  頚動脈内膜剥離術

❷無症候性の頚動脈狭窄

 この患者はプラバスタチンを始めるべきである。無症候性の頚動脈狭窄があり、脳梗塞やTIAは低リスクだが、手術リスクは高い。無症候の患者では70%以下の狭窄は血行再建の適応にはならない。脳梗塞の追加リスクとなる、80%以上の狭窄や、急速に進行する狭窄、現存する無症候性脳梗塞が存在しないため、薬物治療となる。患者の脂質異常はアテロームを生じやすく、脳梗塞の予防にはLDLコレステロールを100未満に下げることが推奨される。

 筋肉痛はスタチン内服患者でよく起こり、シムバスタチンで関節痛が生じている場合、プラバスタチンが第2選択となる。ミオパチーがあるかどうかCKを測定し、あれば横紋筋融解症、ミオグロビン尿、急性腎不全を起こしうる。ミオパチーは高容量のスタチンで起こりやすく、フィブラート、ニコチン酸、マクロライド、一部の抗真菌薬、シクロスポリンとの併用で起こりやすい。スタチン内服で脳梗塞の年間発症率は1%以下となる。

 脳梗塞の予防において、無症候性の頚動脈狭窄に対する、クロピドグレルの優位性は示されていない。

 患者は高齢で、合併症が多く手術侵襲は推奨されない。無症候性ならなおさらである。また、症状があっても、50-70%狭窄の女性の場合、血行再建の有用性は確立されていない。

Key Point 

✓ 筋肉痛が出てもめげずにスタチン

Marquardt L, Geraghty OC, Mehta Z, Rothwell PM. Low risk of ipsilateral stroke in patients with asymptomatic carotid stenosis on best medical treatment: a prospective, population-based study. Stroke. 2010; 41(1):e11-e17. PMID: 19926843

 

妊娠糖尿病 GDM is risk for

❶症例 
 31歳女性。産後6ヶ月の検査で来院。患者は妊娠前肥満があり、妊娠中は妊娠糖尿病の状態だったが、食事療法のみで体重を維持し、至適範囲に抑えていた。胎児は4139gで生まれた。

 この胎児でリスクが上がるのは?
A. 小児期肥満
B. MODY
C. 1A型糖尿病
D. 1B型糖尿病

 ❷妊娠糖尿病

 妊娠糖尿病は小児期肥満のリスクになる。妊娠糖尿病は妊娠中の高血糖状態であり、典型的には妊娠中期に発症する。胎盤由来因子に関連したインスリン抵抗性をβ細胞が代償できていない状態である。OGTTで診断するが、現時点ではコンセンサスは得られていない。母親の妊娠前の肥満や妊娠糖尿病は小児期肥満の高リスクとなる。明確な理由は明らかではないが、遺伝性の要因と後天的なインプリンティングと考えられる。妊娠糖尿病の患者が2型糖尿病になる頻度は10年で50%と言われる。

 MODYは10‐20代で発症し、遺伝形式は常染色体優性遺伝である。β細胞に影響する酵素や転写因子の欠損であり、妊娠糖尿病とは関係ない。

 1型糖尿病は自己免疫性のインスリン産生細胞の破壊による絶対的なインスリン欠乏であり、若年で発症する。1A型は一つ以上の抗体が検出され。1B型は特発性でアジア人、アフリカ人に起こりやすい。それぞれ妊娠糖尿病とは関係ない。

Key Point
✓ 妊娠糖尿病は小児期肥満のリスク

Landon MB, Gabbe SG. Gestational diabetes mellitus. Obstet Gynecol. 2011;118(6):1379-1393. PMID: 22105269

MKSAP for Students 5

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1MKSAP 16: Medical Knowledge Self-Assessment Program (Set of 2 Parts)

MKSAP 16: Medical Knowledge Self-Assessment Program (Set of 2 Parts)