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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics 糖尿病患者ではアスピリンはプラセボと比較して心血管イベントを予防しない

ACPJC 論文 薬剤 内分泌 循環器

ACPJCまとめ。
これはもうほぼ確実で良いでしょうね。
嗚呼、一次予防・・・

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Aspirin for primary prevention of cardiovascular and all-cause mortality events in diabetes: updated meta- analysis of randomized controlled trials. 

Kunutsor SK, Seidu S, Khunti K. 

Diabet Med. 2016.

臨床上の疑問:
 糖尿病患者において、心血管イベントや死亡の一次予防としてのアスピリンの効果や安全性はどうか

Review範囲:
 18歳以上の心血管イベントの既往の無い糖尿病患者において、12ヶ月以上アスピリンとプラセボもしくは無治療を比較した研究を対象として検索した。
 除外基準は、アスピリンと他の抗血小板薬を比較した研究や、過去に心血管疾患のある患者。
 アウトカムは、主要な心血管複合イベント(MACE:非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中・心血管死亡の複合アウトカム)、心筋梗塞、脳卒中、冠動脈疾患、心血管死亡、全死亡、出血とした。

Review方法:
 MEDLINE、EMBASE/Excerpta Medica、Webs of science、Cochrane Libraryを2015年11月まで検索し、リファレンスリストも含めてRCTを検索した。
 10RCT(n=16690人、年齢 18-90歳、治療期間は3.6-10年、アスピリン用量は 75-650mg/日)が選択基準を満たした。1つのRCTは、全体としてバイアスリスクが低かったが、6つのRCTは適切な隠蔽化がなされ、6つでは患者と医師の盲検化が適切になされていた。

結果:
 主要な結果は以下。過去に心血管イベントの無い患者では、アスピリンは、MACEも個々のアウトカムも全て減らさなかった

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(本文より引用)

結論:
 糖尿病患者で、心血管疾患の既往が無い方において、アスピリンはプラセボや無治療と比較して心血管イベントも予防しないし、出血も増やさなかった。

 実は過去のガイドラインなどでは、アスピリンの一次予防は非致死的な心筋梗塞を減らす目的で推奨されています。特に糖尿病患者ではリスクが高いとされていますが、今回CVDイベントの一次予防の効果は証明されませんでした
 現在、n>15000規模の最大級の臨床試験が進行中で有り、これによってアスピリンの一次予防についての結果がいずれ出てくるでしょう。
Cost-effective recruitment methods for a large randomised trial in people with diabetes: A Study of Cardiovascular Events iN Diabetes (ASCEND). Trials.
 まあ、最終的には個別化ということになりますが、現時点では積極的に処方するには至らないでしょうね。