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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:Retrocohort プライマリケア医の糖尿病診療の量と質

プライマリケア医の糖尿病診療の量と質
Primary care physician volume and quality of diabetes care

Ann Intern Med. doi:10.7326/M16-1056

【背景】
 患者をたくさん診ていることが、ケアの質やアウトカムを改善することは、急性期疾患の多くで知られるところである。量-質関係が慢性期疾患の管理でも存在するかどうかは明らかではない。
【目的】
 プライマリケア医の糖尿病の質と量の関係を調査する
【デザイン】観察研究
【セッティング】
 カナダオンタリオの国民データベースとリンクした情報データベースを用いて行われた。
【患者】
 2011年に9014カ所のプライマリケア医を受診した101万8647人の糖尿病患者が対象。医者毎に量の評価として、全ての1日あたりの患者受診数と、糖尿病診療人数を評価した。
【測定】
 ケアの質は、2年間で6つの疾患指標で評価をした。6つとは、眼科受診、HbA1c検査、LDL検査、ACE/ARB処方率、スタチン処方率、高血糖または低血糖での救急外来受診率
【結果】
 受診患者の増加は、適切な疾患モニター率や処方率の低下と関連した。一方、糖尿病経験症例数の増加は6つの指標を含めたケアの質の向上と関連した。

f:id:tyabu7973:20161218195850j:plain(本文より引用)

【限界】
 ケアの指標が限られたもののみで、交絡因子は除外し切れていない
【結論】
 プライマリケア医が忙しい外来では、糖尿病ケアの質が下がるが、糖尿病経験症例数が豊富な場合、ケアの質が向上する。急性期ケアで見られる量-質関係は慢性期管理でも確認できそうである。プライマリケア医では一日の患者数を制限することで、糖尿病診療の質の改善に繋がるかも知れない。

【批判的吟味】
・いつも通り、論文のPECOから
P:プライマリケア外来を受診する糖尿病患者
E/C:①一日の外来診療患者数毎の医師、②糖尿病症例経験人数毎の医師
O:6つの糖尿病関連指標(眼科受診、HbA1c検査、LDL検査、ACE/ARB処方率、スタチン処方率、高血糖または低血糖での救急外来受診率)
T:後ろ向き観察研究
・一日の患者数が増えるとアウトカムの達成率が下がるのはある意味分かりやすいとも言えます。
・いくつかの限界として、65歳以上の患者しか含まれていないコホートで若年データはないことがらります。
・また、下肢観察や行動変容、HbA1c値や血圧値などのアウトカムは指標としてとりいれられていません
【個人的な意見】
 まあ、でも一日患者数が多すぎるとダメというのは分かりやすいです。特に一日20人以下、40人以上までが細かく設定されており、多くの日本のプライマリケア医は40人以上になるんだろうなあと。
 こういった部分もQuality indicaterにしていく必要がありますよね。

✓ プライマリケア医の糖尿病診療は、一日の外来患者数が少ない方が質が高い