栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:食道ウェブ/視床下部機能障害/蓄尿Cペプチドの有用性

カンファネタ年越ししましたが・・・
元に戻してみますね。

食道ウェブ Esophageal web and esophageal ring

 意外といる様ですね。今回初顔合わせ。相撲みたいですが・・・笑。日本ではあまりringという言い方はしないみたいで、多くの症例が食道webとされている様です。厳密には食道輪と食道ウェブは発生部位が異なる模様です。

 食道輪にしても食道ウェブにしても、食道内腔に薄い微細な膜構造を来し、固形物の嚥下障害を来す疾患群です。食道輪は基本的には下部食道に存在し、典型的には粘膜構造ですが稀に筋肉の輪が認められることもある様です。部位としては扁平円柱上皮接合部付近に出現する様です。

 一方、食道ウェブは、扁平上皮で覆われている薄い非全周性の粘膜構造で扁平上皮で覆われています。典型的には頚部食道に認められ、輪状軟骨後部に狭窄を認めるのだそうです。典型的には鉄欠乏性貧血との合併でPlummer Vinson症候群を来すのが有名ですが、近年は稀とされています。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/5/5d/Esophageal_web.jpg
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/5/5d/Esophageal_web.jpgより引用)

 ✓ 嚥下障害の原因に食道ウェブや食道輪を鑑別にあげよう


 

視床下部機能障害 Hypothalamus insufficiency

 時折副腎不全に中で三次性を考慮することがありますが、視床下部機能障害の鑑別は複数あると言われています。最も一般的なのは、長期の高用量グルココルチコイド治療の中断や、CUsging症候群の治療です。

 前者は非常にコモンな病態であり、安易なステロイド(特に花粉症などでのセレスタミンⓇや整形外科領域のステロイド注射)投与には多くの警鐘を鳴らしておく必要があります。病歴で分からないこともありますし、患者さんも自己申告しないこともあります。
 後者については、個人的な経験はありませんがCushing症候群の治療なので下垂体腺腫や副腎腺腫の術後切除後にも起こりうる様です。慢性的にコルチゾール高値が続き、視床下部抑制が強くかかっており、それが突然なくなると三次性の機能不全になることがあります。

 その他では、視床下部部分の腫瘍・サルコイドーシス・頭蓋内放射線治療などの報告があります。また、稀ですが、CRH欠損症がありインスリン低血糖試験の結果で判断します。あとはPrader-Willi症候群も鑑別だとか・・・

✓ 副腎不全の責任病巣を明確にすることは重要

 

 

蓄尿Cペプチドの有用性 Urine C peptide

 Cペプチドの蓄尿検査は日常診療で良く行われているのですが、海外ではほとんどが早朝空腹時Cペプチド値やクレアチニン補正での尿中Cペプチドで評価しています。ところが、蓄尿Cペプチドの有用性は十分検証されていないのが現状です。

 この辺りのエビデンスの蓄積は少しずつされていて、混合食負荷試験(MMTT)の90分後のCペプチド値は≧0.2nmol/Lが正常範囲とされていましたが、このMMTTというのがなかなか実践が難しそう(やったことない)なので、クレアチニン補正での尿中Cペプチドが最も良い様です。これはカットオフ値として、≧0.7nmol/mmolとすると、感度100%、特異度97%で1型DMを鑑別可能と報告されています。(Pediatr Diab 2013, 14:181-8

 蓄尿は安定化剤を混ぜてはいますが、やはり不安定で測定値の再現性の問題があり、あまり推奨されていない&検証されていないのが現状と考えた方が良いです。

 まあ、まだまだ分からないことも多く、Cペプチド値のみで1型かどうかを判断するのは難しいし、高血糖の急性期には低めに出ることも多いのでくれぐれも気をつけましょう。

  ✓ 蓄尿Cペプチド値の判断には要注意